柚月裕子の「孤狼の血」を読んだ。
柚月裕子は、この作品を書くにあたって映画の仁義なき戦いを見て、多いに影響を受けたらしい。
物語は、広島、ヤクザとの癒着の噂される刑事、大上に新しい若い部下、日岡が配属される。
大上の強引で、違法な捜査に戸惑いながら、日岡は、次第に、魅力を感じ始める。
いわゆる悪徳デカなのだが、これほど魅力を感じる悪徳デカを描かれたことがあったであろうか?
正義とは、何か . . . 本文を読む
今年の初洋書は、MICHAEL CONNELLYのVOID MOONを選んだ。
MICHAEL CONNELLYのシリーズ物ではない作品だ。
それだけに、ハリーボッシュや、他のシリーズものと全く違った印象を持った。
何しろ、主人公は、女性の盗人なのだ。
それからして、いったい全体、どんな作品なのだろうかと思ったが、最初の方は、やや、説明も多く、スピーディーさに欠ける感じがした。
勝手、カ . . . 本文を読む
津本陽の直木賞受賞作、「深重の海」を読んだ。
津本陽と言えば、時代劇、剣豪の物語と思い浮かべるが、この作品は、まったく違う。紀伊半島の太地湾での、鯨取り漁の物語だ。
伝統的な捕鯨漁を生業とする数百人の漁師が小舟を使って、クジラに向かう様子は、まさに、人間と鯨の戦いといっても良い。
代々、その組織の頭を受け継いできた若者が主人公だ。
面白く読めたが、これでもか、これでもかと、試練が続く。そし . . . 本文を読む