トマス・H・クックの「緋色の記憶」を読んだ。
エドガー賞受賞作品で、ミステリーの歴代傑作作品の一つにあがっているのを思い出してのことだが、なるほどと思える作品だった。ミステリーという枠組みの中に入れるのが適当なのかと思えてしまうほどの人間を描いた重厚な作品だ。文体も、まさに美しい精緻な文体で、その美意識は、日本の美意識にも通じるものがある。
展開も、過去の「チャタム校事件」へ導入される出来事が . . . 本文を読む
葉室麟の歴史文学賞受賞作の「乾山晩愁」を読んだ。
浮世絵師にまつわる小説は、読んだ記憶があるが、それ以前の絵師たちの物語は、なかなか、珍しい気がする。
おそらく、浮世絵から、庶民のための絵となり、それ以前は、襖絵だったり、肖像画だったり、山水画だったり、仏画だったりと、地味なもので、物語にし難いからかも知れない。表題作は、緒方乾山だが、他の4つの短編の主人公は、それぞれ、狩野永徳、長谷川等伯、 . . . 本文を読む
今年初めての洋書も、JOHN GRISHAMになった。
JOHN GRISHAMに短編集があるというので、この本を選んだ。
7編からなる短編集である。表題のFORD COUNTYを調べて、面白いことに気が付いた。FORD COUNTYは、イリノイ州とカンサス州にあるが、JOHN GRISHAMのFORD COUNTYは、ミシシッピー州の架空の群なのだ。さて、JOHN GRISHAMの短編集だが . . . 本文を読む