先日、市川雷蔵の古い映画を3週連続でBSテレビ放映していた。その中で、「剣鬼」というのがあり、思わず見てしまった。
少々、荒唐無稽なところがある作品だった。
何しろ、犬の子と言われて育ち、馬鹿にされぬように、一芸に秀でろと養父に遺言される。
すると、花を育てる特殊な能力を発揮する。更に、馬に負けずに走れる能力もあることに気が付く。
更に、居合を練習する武士を見て、居合を習得するのだ。
誰 . . . 本文を読む
大名倒産(上下)を読み終えた。
正直言って、上下巻は、長かった。
今まで読んだ、浅田次郎の作品とは、ちょっと、違う世界だった。
いわゆる、ドタバタコメディー的とでも言うのか。
経営破綻しかけてる小藩で、長男が亡くなったので、突然、4男の主人公がお殿様になって、立て直しをはかる。
一方、引退した元藩主は、ある計画を画策していた。
一見、普通の時代劇っぽいが、ハチャメチャになってくるのだ。 . . . 本文を読む
「いのちなりけり」「花や散るらん」「影ぞ恋しき」の雨宮蔵人三部作を読み終えた。
最後の「影ぞ恋しき」は、葉室麟にとっても、66年の生涯の最後の作品とのことだ。
葉室麟にとっても、この主人公、雨宮蔵人の武士道への強い思い入れがあったと思われる。確かに、自分のことは、顧みず、他人のために命を捨てても守ろうとする姿には、心を打たれる。
敵であるものたちでさえ、その姿に、心に躊躇が生じるほどだ。
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三部作の2つ目だ。雨宮蔵人と咲弥の物語だが、今回も、幅広く、種々の歴史的人物が関わってくる。
特に、本作品では、赤穂浪士の吉良家への討ち入りの謎が明かされる。
まったくもって、独創的ではあるが、それが、ごく自然に感じられるから不思議だ。
前半部分は、やや、重く感じられたが、後半に入り、一気に、加速され、読み進めることができた。
あいも変わらず、雨宮蔵人の剣が、冴えわたる。
また、武士の生 . . . 本文を読む
平成を代表する超人気時代小説と言われる本作品の第一巻を読んでみた。外伝を除くと、51巻まであるらしい。
映画やNHKドラマにもなって、見ている。
2019年の映画版は、あまり、人が入らなかったようだが、TVで見て、結構、面白かった。主演は、松坂桃李だった。
その映画版とほぼ同じなのだが、若干、異なっていた。
NHKドラマの方の主演は、山本耕史だった。何故、これほど、長編になったか、作者のコ . . . 本文を読む
最近、時代劇小説で、読んだことのない作者のものを読んでみようと思っている。
文庫書下ろし小説で話題にあがった奥右筆秘帳シリーズというのを選んでみた。
この作者は、珍しい役に付く主人公をもとに、剣豪小説と政治小説という二つの要素を盛り込んでいるとのことだ。
この作品も、徳川家の公式文書を一切管理する役職だ。
読んでみて、剣豪小説の部分は、非常に面白かった。
しかし、政治小説の部分は、少々、 . . . 本文を読む
書評か、広告を見て、この本を選んだと思う。
読んだ感想としては、ちょっと、変わった時代劇である。
用部屋手附同心というお役目も初めて聞いて、ピンと来ないが、簡単に言えば、市中を見回る普通の同心から、左遷されて内勤専門の同心になった感じだ。しかし、理屈っぽいが、洞察力があり、なぜか、頼りにされたり、相談されたり、事件解決に一役をかってしまう主人公の物語だ。
4つの短編集なのだが、主人公の生い立 . . . 本文を読む
風の市兵衛シリーズの4作目を読んだ。
読み続けてしまう一つの理由は、剣劇が、必ず期待できるせいかも知れない。
今回は、姫君を守る役につく。
敵は、地元の地回りのヤクザ30数名と刺客軍団20数名と、いまだかってない数にものを言わせた敵が襲い掛かる。そのうえ、最後には、首切りの剣豪が待ち構えている。
過去最高の危機に陥る市兵衛が見られる。
また、次も読んでみたくなるから不思議だ。 . . . 本文を読む
葉室麟の「風かおる」を読んだ。
2017年、葉室麟が、亡くなる2年ほど前の作品だ。
「妻敵討ち」の旅から帰った養父は、死病に侵されながら妻敵討ちをさとした誰かと果し合いをするという。
何とか、思いとどまらることができないかと鍼灸医の娘は、思い悩む。
何やら、今までの葉室麟とちょっと違った話のように思えた。
後半までは、謎解きに近い形で、延々と続く。なぜ、誰と果し合いをするというのだ。しか . . . 本文を読む
辻堂魁の風の市兵衛シリーズの第3作目を読んだ。
最後の解説で、「読み心地の良さを、これほどまでに味わえる作品にはなかなか出会えまい」という言葉があったが、なるほどなと思った。
今回は、抜け荷を暴いて、悪を成敗するといった、やはり、せいせいする市兵衛の活躍が見れる。
また、船上の戦いという、はらはらどきどきも味わえる。
気が付けば、3作目まで来たが、また、きっと、4作目も読むことになるのかも . . . 本文を読む
映画「碁盤 斬り」を見てきた。
時代劇であり、草薙ファンであり、かつ、原作が、落語とあっては、見ないわけにいかない。
事前に、ユーチューブで、志ん朝の「柳田格之進」を聞いておいた。
久しぶりに落語を聞いたのだが、志ん朝の人情噺は、やはり、うまかった。
さて、映画だが、かなり、脚色され、登場人物も変えられていた。しかし、上手に変えられていたので、違和感もなく、また、すっきりまとめられていた。 . . . 本文を読む
山本兼一の「命もいらず名もいらず」を読んだ。
以前から、読みたい本だったが、上下巻の分厚さに尻込みしていた。
内容は、幕末の3舟の一人、山岡鉄舟の史実をもとにしたフィクションだ。
山岡鉄舟という人物は、ドラマでも、坂本竜馬や、勝海州にような主役では、あまり見たことがない。しかし、今回、読んでみて、江戸城の無血開城に最終交渉したのは、西郷と勝だが、その前に 、西郷に説得に行ったのは、山岡鉄舟で . . . 本文を読む
池波正太郎の群像シリーズの忍者群像を読んだ。
忍者というと、どうしても、甲賀と伊賀の戦いを思い描いてしまう。また、屋根裏をうごめいたり、堀の中を泳いだり、手裏剣をなげあったりである。
しかし、この忍者群像に出てくる忍者は、少し違う。
どちらかというと、スパイなのである。
敵の中に入り込んで、信用され、必要な情報を得たり、敵の作戦を頓挫させるような戦国時代のスパイとしての活動なのだ。
本作 . . . 本文を読む
辻堂魁の「雷神」を読んだ。
これは、風の市兵衛シリーズの第二弾だ。
最後の広告で、何と、既に22巻まで続編が出ていることに驚いた。
さすがに、テレビドラマ化しているだけのことはある。
テレビドラマのキャストを頭に描いて読むと、頭には入りやすい。
主だったキャストについては、うまいこと選んだものだと思う。
さて、2巻目だが、内藤新宿で、不当に立ち退きを迫られた老舗に主人公がやとわれ、陰謀 . . . 本文を読む
読売新聞の書評で、興味をもって、本書を読んでみた。
山本周五郎賞、直木賞、山田風太郎賞の候補になった作品という。
題名が、なかなか、刺激的だ。
最強と呼ばれた剣豪、宮本武蔵と対戦した相手側からの物語かなと想像させた。
7章に分かれているが、最初の3章は、それに近く、中々、面白く読めた。
しかし、4章以降、ちょっと、話が込み入ってきた感じがした。第六章で、4~5章の謎めいたものが整理されて . . . 本文を読む