書評で高い評価であり、エドガー賞受賞作の本作品を読んでみた。
先日、読んだ佐々木譲の「エトロフ・・」と同じく、真珠湾攻撃の時期を舞台にしているのに興味を持ったのも一つの理由だ。
読んでみて、驚いた。自分のイメージしていたものとは、全く、違っていたのだが、自分の好みの文体と、好みのストーリー展開、見事な結末だったのだ。
近年、読んだ小説の中でも、5本の指に入る傑作と言っても良いだろう。ストーリ . . . 本文を読む
浅田次郎「天国までの百マイル」を読んだ。
心臓病を患う母の命を救うため、天才的な心臓外科医のいる病院まで、母を車で運ぶ破天荒な末っ子の物語だ。
映画やテレビにもなった作品だ。
親子の絆、男女の悲しい恋模様を描いた感動の傑作と背表紙にあるが、その通りだと思う。
今、何故か、この作品を読んでみたく思った。
ちょっと、幸せの黄色いハンカチを連想させるロードムービー的な作品だ。ピーターポール&マ . . . 本文を読む
池波正太郎の鬼平犯科帳の番外編とも言える本書を読んでみた。
ちょっと、不思議な作品と言えるのではないか。
主人公は、「お松」という薄幸の女性だが、美人でもなんでもないのだ。しかも、亡父から顔に傷を付けられている。
捨てられた亭主にも、「不作の生大根」などと怒鳴られていたのだ。
この作品では、その「お松」の数奇な人生が描かれていく。
並行して、鬼平の盗賊の捕物が描かれていくのが、中々、接点 . . . 本文を読む
MICHAEL CONNELLYのTHE OVERLOOKを読んだ。
前作が、ECO PARKのようだが、読んだのに、ほとんど、記憶がなかった。
書評の中で、短かったというのがあったが、確かに260ページというのは、短い方かも知れない。
ストーリーとしては、殺人の上、放射性物質が、盗まれる。
FBIは、放射性物質の行方を追うのを、安全保障のための、最優先事項として動く。
ハリーボッシュは . . . 本文を読む
佐々木譲の「エトロフ発緊急電」を読んでみた。
山本周五郎賞受賞作だ。
真珠湾攻撃前の情報戦が主なストーリーなのだが、非常に内容が濃密であり、大作とも言えるページ数(623ページ)だった。
南京大虐殺も描かれており、残虐な戦争犯罪にぞっとした。
一方で、主人公である日系米国人の不思議な魅力と、ハーフの女性や、朝鮮人、アイヌなどが、複雑に絡み合い、人種というものの難しさや、愛憎までも描かれてい . . . 本文を読む