百田尚樹の自伝的ピカレスクロマンの「錨を上げよ 1出航篇」を読んだ。
普通、全部読んでから、書評を書くところだが、4部作であるし、続けて読むかどうか決めてないので、書いておこう。
まず、著者と自分は、同年代である。この書の主人公も同年代である。
したがって、時代背景や事件などは、ほぼ、理解できるし、体験している。その辺から、興味を持ったのも事実だ。
しかし、東京と大阪という場所の違いと、環 . . . 本文を読む
「この時代小説がすごい!」のランキングアンケートで上位5位の作品を収めた時代小説傑作選を読んでみた。(2016年刊行)
実は、直木賞受賞作の池波正太郎の「錯乱」が読みたくてこの傑作選を選んだのだ。池波正太郎の作品は、シリーズものの鬼平とか剣客商売は、随分と読んでいるが、代表作の一つの「錯乱」は読んでなかったのだ。しかし、他の4作品(伊東潤、笹沢佐保、山田風太郎、坂口安吾)も、中々、面白かった。
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直木賞受賞作のおすすめトップ10というネットのサイトの一番に上がっていた「心淋し川」を読んでみた。
先日読んだ「流れ」や、「理由」などは、どちらのランキングにも入っている。江戸時代のうらぶれた長屋にくらす人々の6つの珠玉の短編からなる作品だが、どの短編にも一人、共通して登場するのが、差配の茂十だ。
かといって、5編目までは、いたって、目立たない地味な役回りだ。
それが、最後には、主人公となっ . . . 本文を読む
直木賞受賞作で、おすすめミステリー10というのをネットで見つけた。
私が読んだ中には、佐々木譲の「廃墟に乞う」や、宮部みゆきの「理由」、藤原伊織の「テロリストのパラソル」など、面白いものが入っていた。
そこで、その中の他の作品も読んでみようと思った。最初は、NO.1にランクされている「流」だ。
もう一つは、台湾のことが書かれているとのことで、興味を引いた。読んでみて、著者の東山氏も、実は台湾 . . . 本文を読む
クリフトン年代記の4作目を読み終えた。
まあ、よくもこれだけ、めまぐるしい展開が書けるのかとと思わずにおれない。
もう、ストーリーで一部、思い出せなくなっている部分もあるぐらいだ。
前作の最後に、セバスチャンが運転する車が悪漢たちのトラックに狙われる。次の主人公になりえるセバスチャンなのに死んでしまうのだろうか?
それから、悪漢たちの、終わりのない復讐が始まる。
豪華客船を作るかどうか、 . . . 本文を読む
葉室麟の「川あかり」を読んだ。
藩で一番の臆病者と言われる若侍が、派閥争いの中で、家老を暗殺する刺客に命じられ、川止めがあけて、対岸からわたってくる家老を、木賃宿に泊まって待つ話だ。
その木賃宿には、一癖も、二癖もある連中が泊まっている。ちょっと、「雨あがる」の設定を思い出させるが、まったく、異なる。
最後の解説で、何度、泣いたことか、何度、笑ったことか。この書は、読者にとって、忘れられない . . . 本文を読む