笹本稜平の最後の作品とも言える「山狩」を読んだ。
笹本稜平と言えば、警察小説や山岳小説が有名だが、両方を併合したような作品だ。
舞台は、千葉県の伊予が岳で、登ったこともあり、親しみがあった。
しかし、その伊予が岳で、山狩りがなされようとは、.......。
さて、伊予が岳で、女性の遺体が発見される。事故として処理されそうになるが、実は、ストーカーされていたことがわかり、事件の可能性も検討さ . . . 本文を読む
山女日記の続編を読んだ。4編からなる。
従って、一編が、若干、長く感じた。
前半の2編は、ちょっと、いまいちに感じた。
後半の2編は、行ったばかりの山のせいか、親近感もあったが、内容的にも、良かった。
特に、「立山、剱岳」は、面白かった。
娘と母親の登山だが、娘は、登山ガイドを目指す。母は、実は、亡くなった父親と、付き合っていた時に、この山に来ていた。そして..
中々、最後は、感動もの . . . 本文を読む
本屋の山関係の書籍の棚に、一冊の漫画が置いてあり、以前から気になっていた。
今回、購入して、読んでみた。
10篇からなる山に関連した短編の漫画集なのだが、一編のみ、ブラックジャックがあった。
少年サンデーやジャンプなどに一話完結で1959年から1982年に掲載されたもののようだ。
40年~60年前の作品とは思えない質の高さを感じた。
山登りに関するのは、最初の「魔の山」だけだが、他の作品 . . . 本文を読む
湊かなえの「山女日記」を読んだ。湊かなえの作品では、「告白」以来である。
この「山女日記」は、山ガールの人生を描きながらそれぞれの山に登る8篇の連作になっている。自分の登ったことのある山も一つあり、前半は、結構、面白く感じたが、後半、特に、一番、長い作品だった「トンガリロ」は、15年前と現在の二部構成が、ちょっと、わかりずらくもあり、退屈に感じてしまった。しかし、普通の山岳小説とは、ちょっと、違 . . . 本文を読む
最近、BSなどで、梓林太郎原作の山岳ドラマが再放送されている。
もう、20年以上前の作品ながら、結構、楽しめた。
梓林太郎氏は、今年の1月に亡くなっている。それを追悼して、かってのドラマを再放送しているのかも知れない。
山岳ミステリーは、随分、読んでいたが、梓林太郎氏の作品は、読んでなかったので、今回、読んでみることにした。
本作は、本格山岳ミステリーの傑作と言われている。女性登山者の転落 . . . 本文を読む
岩井圭也の山岳小説、「完全なる白銀」を読んだ。
中々、面白かった。まず、主要登場人物が3人の女性ということだ。アラスカの温暖化により、いずれ、海の下になって、なくなってしまう島に住む2人の現地人女性と日本人女性が主要登場人物だ。
温暖化を世界に訴えるため、まず有名人にならなければならない。そのために、女性で初めて、冬のデナリ(アラスカ最高峰)登山を目指す女性リタ、彼女をサポートするシーラ。それ . . . 本文を読む
久しぶりに、山関係の作品を読んだ。読売新聞の書評で見つけた本だ。
”世界一不気味な遭難事故”と副題がついている。
1959年に、ソ連のウラル山脈に登山した9名の若者がテントから一キロ半ほども離れた場所で、凄惨な死を遂げた。
氷点下の中で、衣服もろくに付けていなかったり、靴も履いてなかったのだ。
最終報告書では、「未知の不可抗力によって死亡」と記載されていた。
地元 . . . 本文を読む
山と渓谷の2018年1月号の中の、登山者のためのブックガイド2018は、登山関係の本を読み漁るきっかけになった。
そのノンフィクション部門で、印象に残っていた題名の「外道クライマー」を読んでみた。
その表題から、もしかして、ヤーさんかもと想像していたが、それは、あっさり外れた。沢やとして生きる宮城公博氏の冒険の記録なのだ。
那智の滝での逮捕の記録があるので、外道というのも一部、あっている。
. . . 本文を読む
笹本稜平の「ソロ」を読んだ。
久々に、本格的な山岳小説を読んだ満足感でいっぱいだ。
伝説的な登山家、トモ・チェセンは、ソロでローツエ南壁を登頂したが、その難易度や、証拠写真などから、疑惑の登頂とされていた。
トモを尊敬する日本の新進気鋭のクライマーが、その疑惑を払拭するため、同じローツエ南壁に挑戦するという話だ。驚いたことに、トモ・チェセンは、実在の登山家で、その疑惑の登頂というのもあったこ . . . 本文を読む
エベレスト初登頂は、1953年のエドマンド・ヒラリーとテンジン・ノルゲイによるが、その30年ちかく前、1924年に、伝説の登山家、マロリーによって、登頂された可能性が、謎とされてきた。
驚いたことに、1999年、この謎を解くべく、調査隊が結成され、マロリーの遺体を発見したのだ。
マロリーと言えば、あの有名な言葉、「そこに山があるから」で知られるが、本書のエピローグで、この言葉は、何度も同じ質問 . . . 本文を読む
1950年に刊行された希代のクライマー、松濤明氏の山岳紀行集だ。
私が、読んだのは、2000年に刊行された5番目のものだ。
槍ヶ岳北鎌尾根で遭難死する直前、テントの中で書いた「全身凍って力なし」という詩的な遺書で有名だ。
紀行集は、非常に細かく、詳細が記載されており、最初と最後の方を除いて、飛ばし読みになってしまった。
ただ、感じたのは、16歳から遭難死するまでの26歳までの記録なのだが、 . . . 本文を読む
マッターホルン、アイガー、グランドジョラス等、6つの北壁登行した名クライマー、レビュファの山岳文学の名著として名高い、「星と嵐」を読んだ。岩山ばかりの、とても、想像のできない北壁ばかりを次々に征服していく様は、信じられない。
恐怖はないのだろうか?その体力や技術は?
数々の名クライマーと呼ばれる人も、最後は、遭難してしまう場合が多いが、彼は、64歳にて、肺がんで亡くなっている。
この本が、名 . . . 本文を読む
浅田次郎の本を読んでみたく思っていたが、図書館の予約が多くて、読めないでいた。
そんな中で、ちょっと、面白そうな本を読むことができた。奥多摩、御嶽山の神官屋敷での物語だ。
御嶽山と言えば、私も、2度ほど登ったことがある。一度は、御嶽山から日出山へ。一度は、ロックガーデンを歩いた。物語の中で、子供たちに登ってはいけないと言われていた天狗岩にもよじ登ったことがある。大岳山は、いつか登ってみたい山だ . . . 本文を読む
「山は見ていた」とは、何とも、意味深で、目を引く表題だ。
新田次郎の短編集を読んでみた。
15編からの短編集なのだが、何と、山や登山が出てくるのは、最初の’「山靴」と、最後の「山は見ていた」の2編だけだった。
一番、面白かったのは、最後の表題作「山は見ていた」だ。理由は、自分が、興味を持っている大岳山の登山が書かれているからかも知れない。終わり方が、希望を持てる終わり方だからかも . . . 本文を読む
新聞か、「山と渓谷」かに、山歩き好きの人向けのお勧め小説として、紹介されており、手に取った。
図書館で他の人の予約が入り、途中で、返却して、また、借りるという手間をかけて、読み終えた。(おそらく、同じお勧め記事を読んだ人が予約を入れたのか?)
雑誌の編集者の40歳前後の女性が、日常からの脱却のため、山登りを始める。初心者には、少し、チャレンジングな山に登るのだが、5つの登山、縦走の中で、この女 . . . 本文を読む