局の道楽日記

食道楽、着道楽、読書道楽  etc
生活色々を楽しんで暮らしている日々の記録です

やっぱり初対面って大切だと思う

2009-06-04 21:39:49 | 見る(映画 劇場 美術館など)
昨日は例年行っている 歌舞伎鑑賞教室に行った。

今年は華果西☆記(☆は遊です)



これは毎年、対象はおもに中高生だろうか? 歌舞伎の初心者のためにわかりやすい演目を選んでの1時間くらいの上演。
私は 着物関係の人たちと共にここ5,6年は毎年行っております。

  

そして ここ数年の中で 昨日のが一番おもしろかった。

まず、劇が始まる前に 若手の役者さんによる 歌舞伎のみかたの解説がある。

昨日は市川 笑三郎 と 市川 春猿 お二人より。

例年ね、中高生を対象にというのを意識してのあまりか、コンピューターの画面をスクリーンに映してハイテク風に演出したり、観客の女子高生を舞台にあげてみたりが多かった。それはそれで悪くはなかったが、昨日のはその手の手段には一切頼らない 二人のかけあいが中心のもの。

それが すんごくよかったのよね~  赤字で書いても伝えきれない、拍手を差し上げたかった。

真っ暗になった会場で緞帳が開いて舞台上のステージが廻る。BGMにゴダイゴのモンキーマジックが そして舞台に一人 花道から一人 せりあがってきた笑三郎 と春猿

息の合ったかけあいで 歌舞伎について 歌(うた)舞(まい)伎(わざ)に分けて解説していく。
義太夫と常磐津の違いなんて 同じ言葉「はっとしておどろいた」を語り比べるとどうなるか なんぞ 中々舞台で聞けるものじゃありませんでした。今更だけど勉強になったわ。

また女形を作るとき 腰をかがめて 肩甲骨を左右から寄せたあとに肩を落とし、ひざに紙一枚挟むような感じで歩くと女性らしさを表せると実際に歩いてみせ、また女踊りの一節を踊ってみせる春猿さん。
そして 見得を切ることの意義をつけうちの音とともにやってくれた笑三郎さん。

客席の中高生たちも私語一つなく聞き入っていた。

昨日の解説を聞いて観客が中高生だからと言って彼らに迎合するやりかたで解説しようとする必要はないんだろうなと思った。
逆にパソコンなんて彼らにとって珍しくもなんともないのである。歌舞伎そのものが彼らの大多数にとってワンダーランドなんだから それをそのままにちゃんとした役者が伝えれば、まともな中高生はついてくるものなんじゃないだろうか と思ったわ。

そして 今回の 西☆記 華果というのは猿之助さんの俳号で この演目が市川一門によるものだそうな。

何年か前にスーパー歌舞伎がブームだったころいくつか見たけど、私ははっきり言ってあんまり趣味じゃないな~ とは思っていたんですが・・・

でも 昨日のはおもしろかったな~ 

笑也の三蔵法師(端正~)がおなじみの猪八戒とさごじょうを連れて女性しかいない国にさしかかる。美しい女王と妹(笑三郎と春猿)は実は蜘蛛の妖怪でとらえられてしまう。
そこに右近の孫悟空があらわれて猪八戒らと大立ち回り、さらわれた三蔵法師を救いに蜘蛛の女王と戦う。

猪八戒らと一緒に蜘蛛の妖怪の侍女たちと戦う場面は新体操みたいな棒のワザを見せ、自分の毛を使った分身の術では子役たちによる小猿のかっぽれ踊りを見せ、美しい姫から恐ろしげな隈取をして蜘蛛の妖怪に変身した様子や 豪華な御殿が怪しげな岩屋に変わっていくさまなど 役者や舞台の変化、立ち回りのおもしろさ、歌舞伎の派手で楽しいところをぎゅっと圧縮したような オモダカ屋さんらしさ満載の舞台だった。

ここ数年 周りを見渡すと爆睡している高校生たちが見られたが、昨日は寝ている子は全く見られず 笑ったり拍手したり、舞台にひきこまれている様子が見られた。
また役者さんたちも相当乗って演じてるのが感じられて楽しかったな~
私は前から二列目、花道のすぐそばという 首が痛くなりそうな良い席だったのだが、花道で引っ込みをする右近さんの顔から花道にしたたる汗がよく見えた。蜘蛛の女王姉妹が投げつける糸も飛んできた席だった。

人情物もいいけど、まず中高生が初めて見る歌舞伎としてはこういうのが一番じゃないだろうか?

おととしだっけか 双蝶々曲輪日記から 引き窓の場 なんて私の後ろの列がすべて寝ていたもんな~
あの子たちと 昨日見ていた高校生たちと どちらが幸福な歌舞伎との初対面かは明らかだと思うわ~









コメント (2)
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