トロルお爺の”Satoyaman”林住記

生物生産緑地にて里山栗栄太が記す尻まくりワールド戯作帳

こけら版 「とりこし苦労…」 2 (幼鳥受難)

2018-07-29 | 旅行記
 滞在先の庭に小鳥ならぬ中鳥が来る。初めて見たのだが「カササギ」で間違いなかった。本邦では天然記念物の扱いであるが普通に出会う鳥であった。

 周囲の木立の中で営巣でもしているのか庭で植生などを眺めていると近くに来て警戒音を出す。日本では電柱の天辺で営巣する事は知っていたから木々の間も覗いていたものの巣らしきものは見つけれなかった。
        見守るも骸となりし幼鳥

 ところがである。庭に出たあるおり、親鳥の声もなくひと回りしていた眼前に1羽いるではないか。尾羽が短いので直ぐに巣立ち後の子カササギと分かったのだが、それよりも左頬の異様さに度肝を抜かれる。傷跡とは思えない円形の物体が付着しているように見える。
 寄生虫なのか悪性腫の様なものなのか判断は出来なかった。弱っているようには見えなかったけれど数日間の観察で飛翔力はないようにみえた。

 隣地との境界の空き地に日本からの侵入種イタドリの繁みがあるのだが、ここをよりどころにしているようだった。そのためか庭に出て植生を見たり小鳥を撮影しようと立ちんぼなどしていると親鳥が煩い。飛翔力は期待できないし、採餌や給餌が可能だとしても狙いに寄っただろうカラスの存在や猫も出没するとの事だったから予想された事態はいくばくも経ず到来したのだった。

 数日後の朝、いつも通り庭に出たら身体の一部だけが残っている。捕食者は不明だけれど弱肉強食・食物連鎖の中に組み込まれ他者の命の糧となったのだけは理解した。何度か姿を見ただけの幼鳥であったけれど幼鳥の受難に想いを馳せた。南無阿弥陀仏…。
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                   親鳥や愛別離苦のど真ん中