昨日、ドン・ジョヴァンニの初日公演を聴いてきました。
インターネットでチケットの状況を調べたところ空席がかなりあり、チャンス!と仕事帰りに新国立劇場へ直行しB席を購入。この劇場のサイド席(3階L列前方)は初めての経験でしたが、舞台に近くオーケストラピットも見下ろせるため、値段の割にはお得でした。しかし、開演5分前まで携帯電話で仕事の話しをしていたため、プログラムを読む事前準備も無いまま本番突入!
実はこのオペラ、ビデオでは何度も見ていますが生で見るのは初めて。いきなり舞台奥にヴェネツィアの映像、そして手前にはゴンドラに乗って登場するドン・ジョヴァンニ。あれあれ?舞台は確かスペインのセビリアだったはず。初演はプラハ。何故ヴェネツィアなのか?と思いつつも美しい舞台に吸い込まれていきます。グリシャ・アサガロフの演出は劇場の奥行きと舞台装置を活用したもので古典的。光や色彩へのこだわりを感じました。「カタログの歌」では、巨大な人形が天井から降りてきたのはびっくり。レポレッロ曰く、スペインでは既に1003人・・・やっぱり舞台はスペインだ!この謎は幕間の休憩にプログラムを読んで解決しました。それは台本作家ロレンツォ・ダ・ポンテと親交の深かった稀代の色男ジャコモ・カサノヴァの存在です。カサノヴァとドンジョヴァンニの人物像には多くの共通点があったことを意識し、カサノヴァが生まれ育ったヴェネツィアに設定したとのこと。なるほど考えたものですね。でも時代を18世紀末に設定されていたため作品との違和感は感じませんでした。
音楽は歯切れが良い。このオペラは"明"の軽妙さと"暗"の重厚さの交錯に特徴がありますが、前者に重点が置かれた音楽作りのように思えました。指揮者のコンスタンティン・トリンクスは1975年のドイツ生まれとのことで30才台前半、新国立劇場のHPには古楽の分野でも造詣を深めると紹介されています。レチタティーヴォでは自らチェンバロを演奏していました。
歌手は秀でたソリストがいない代わりに粒揃い。準主役級でもレチタティーヴォとアリア、重唱などバランスのとれたアンサンブルでモーツァアルトの世界を楽しめました。タイトルロールのルチオ・ガッロは演技、歌唱共に素晴らしかったです。今までビデオで見た主役に比べると軽めかな?という印象ですが、この舞台とアンサンブルには適役。レポレッロやドンナ・エルヴィーラとのやり取りも絶妙です。レポレッロのアンドレア・コンチェッティは身のこなしも軽く低音が魅力です。ドンナ・アンナ役のエレーナ・モシュクは全ての音域でムラが無く透明感ある声で、最後のジョヴァンニ邸晩餐の直前に歌われるアリアを完璧に決めていました。一方ドン・オッターヴィオ役のホアン・ホセ・ロペラは艶のある声で丁寧な歌唱に好感もてました。コロンビア生まれで医師の資格を持っているそうです。ドンナ・エルヴィーラ役のアガ・ミコライは高音が素晴らしかった。それにしてもモシュクさんもミコライさんもとても美しい方でした(^^♪。そして忘れてはいけない、ツェルリーナ役の高橋薫子さんも大奮闘。招聘キャストに引けをとらない美声を響かせていました。騎士長の長谷川顯も堂々とした演技と歌声です。真っ白な大理石の石像として登場した2幕は楽しめました。最初は墓の上で微動だにしなかったので、石像が歌ったり頷いたりした時にはジョヴァンニやレポレッロだけでなく観客の私もビックリ。ジョヴァンニ邸の晩餐に石像が招かれジョヴァンニを地獄へ引き込む場面は・・・ネタばれになってしまうので秘密にしておきます。予想外の展開でした。
モーツァルトのオペラを見たのは1994年のウイーン国立歌劇場公演「フィガロの結婚」以来なので実に14年ぶりです。ロココ様式の中にも古典派を通り越してロマン派の香りまで垣間見る、そんなモーツァアルトの音楽は、いつものヴェルディーやワーグナーに比べると人間の原点に戻れるような心の安らぎ与えてくれます。今日のようにふと思いつき気軽に音楽を楽しみたい時はモーツァルトがお薦めなのかもしれません。
幕間のロビーの風景です。すっかりクリスマスの装いでした。
ところで、今日は”うっかり”をやってしまいました。開演直前、仕事の件でドタバタしたため3階と4階を間違えてしまい、第一幕は何と1階上の4階サイド席で開演をむかえてしまったのです。さすがに舞台まで遠く、前のお客さんの頭が影になり全体を見渡すことが出来ません。でも予想外に音響は良く、特にソリストの声が響いてくるのにはびっくり。一方、正しい席に戻った第2幕は、舞台が近いにもかかわらずレポレッロの声が響いてきません。いつもは1階正面席で聞いているため響きを気にしたことがありませんでしたが、席によってこんなに聞こえ方が違うのですね。今回は予算をケチってしまいましたが、おかげで思わぬ発見がありました。
インターネットでチケットの状況を調べたところ空席がかなりあり、チャンス!と仕事帰りに新国立劇場へ直行しB席を購入。この劇場のサイド席(3階L列前方)は初めての経験でしたが、舞台に近くオーケストラピットも見下ろせるため、値段の割にはお得でした。しかし、開演5分前まで携帯電話で仕事の話しをしていたため、プログラムを読む事前準備も無いまま本番突入!
実はこのオペラ、ビデオでは何度も見ていますが生で見るのは初めて。いきなり舞台奥にヴェネツィアの映像、そして手前にはゴンドラに乗って登場するドン・ジョヴァンニ。あれあれ?舞台は確かスペインのセビリアだったはず。初演はプラハ。何故ヴェネツィアなのか?と思いつつも美しい舞台に吸い込まれていきます。グリシャ・アサガロフの演出は劇場の奥行きと舞台装置を活用したもので古典的。光や色彩へのこだわりを感じました。「カタログの歌」では、巨大な人形が天井から降りてきたのはびっくり。レポレッロ曰く、スペインでは既に1003人・・・やっぱり舞台はスペインだ!この謎は幕間の休憩にプログラムを読んで解決しました。それは台本作家ロレンツォ・ダ・ポンテと親交の深かった稀代の色男ジャコモ・カサノヴァの存在です。カサノヴァとドンジョヴァンニの人物像には多くの共通点があったことを意識し、カサノヴァが生まれ育ったヴェネツィアに設定したとのこと。なるほど考えたものですね。でも時代を18世紀末に設定されていたため作品との違和感は感じませんでした。
音楽は歯切れが良い。このオペラは"明"の軽妙さと"暗"の重厚さの交錯に特徴がありますが、前者に重点が置かれた音楽作りのように思えました。指揮者のコンスタンティン・トリンクスは1975年のドイツ生まれとのことで30才台前半、新国立劇場のHPには古楽の分野でも造詣を深めると紹介されています。レチタティーヴォでは自らチェンバロを演奏していました。
歌手は秀でたソリストがいない代わりに粒揃い。準主役級でもレチタティーヴォとアリア、重唱などバランスのとれたアンサンブルでモーツァアルトの世界を楽しめました。タイトルロールのルチオ・ガッロは演技、歌唱共に素晴らしかったです。今までビデオで見た主役に比べると軽めかな?という印象ですが、この舞台とアンサンブルには適役。レポレッロやドンナ・エルヴィーラとのやり取りも絶妙です。レポレッロのアンドレア・コンチェッティは身のこなしも軽く低音が魅力です。ドンナ・アンナ役のエレーナ・モシュクは全ての音域でムラが無く透明感ある声で、最後のジョヴァンニ邸晩餐の直前に歌われるアリアを完璧に決めていました。一方ドン・オッターヴィオ役のホアン・ホセ・ロペラは艶のある声で丁寧な歌唱に好感もてました。コロンビア生まれで医師の資格を持っているそうです。ドンナ・エルヴィーラ役のアガ・ミコライは高音が素晴らしかった。それにしてもモシュクさんもミコライさんもとても美しい方でした(^^♪。そして忘れてはいけない、ツェルリーナ役の高橋薫子さんも大奮闘。招聘キャストに引けをとらない美声を響かせていました。騎士長の長谷川顯も堂々とした演技と歌声です。真っ白な大理石の石像として登場した2幕は楽しめました。最初は墓の上で微動だにしなかったので、石像が歌ったり頷いたりした時にはジョヴァンニやレポレッロだけでなく観客の私もビックリ。ジョヴァンニ邸の晩餐に石像が招かれジョヴァンニを地獄へ引き込む場面は・・・ネタばれになってしまうので秘密にしておきます。予想外の展開でした。
モーツァルトのオペラを見たのは1994年のウイーン国立歌劇場公演「フィガロの結婚」以来なので実に14年ぶりです。ロココ様式の中にも古典派を通り越してロマン派の香りまで垣間見る、そんなモーツァアルトの音楽は、いつものヴェルディーやワーグナーに比べると人間の原点に戻れるような心の安らぎ与えてくれます。今日のようにふと思いつき気軽に音楽を楽しみたい時はモーツァルトがお薦めなのかもしれません。
幕間のロビーの風景です。すっかりクリスマスの装いでした。
ところで、今日は”うっかり”をやってしまいました。開演直前、仕事の件でドタバタしたため3階と4階を間違えてしまい、第一幕は何と1階上の4階サイド席で開演をむかえてしまったのです。さすがに舞台まで遠く、前のお客さんの頭が影になり全体を見渡すことが出来ません。でも予想外に音響は良く、特にソリストの声が響いてくるのにはびっくり。一方、正しい席に戻った第2幕は、舞台が近いにもかかわらずレポレッロの声が響いてきません。いつもは1階正面席で聞いているため響きを気にしたことがありませんでしたが、席によってこんなに聞こえ方が違うのですね。今回は予算をケチってしまいましたが、おかげで思わぬ発見がありました。