年度が変わりました。我が家では、子供達がそれぞれ高校3年、中学3年に進級。そろそろ受験に向けてエンジンをかけてほしいところですが、娘のほうはまだまだクラブ活動に明け暮れています。しかも最上級生としての責任も重くなります。
先週の土曜日、平成24年度締めくくりとなる定期演奏会が開催されました。この1年間吹奏楽部を牽引してきた3年生が卒業式を終えてもこの定演のために活動を続け、企画・構成・演出の全てを考えてきたそうです。そして新たな道を歩んで旅立つ3年生から新3年生へクラブの運営がバトンタッチされていきます。
今年は休日の開催で、しかも一日に2公演。超ハードスケジュールですが、せっかくの機会なのでホールまで足を運びました。第1公演は13時、第2公演は18時開催で、自由席は1時間前から並ぶことができます。立ち見が出るほどの盛況と聞いていたので12時過ぎに会場に到着したところ、すでに200名近い行列。奥さんはボランティアで会場整理にあたっているため、その分の席も確保しなければなりません。午後12時30分に管楽器のメンバーが現れ、素晴らしいファンファーレが館内に鳴り響きました。気分の高揚と共にいよいよ開場。そして猛ダッシュ。席取りが始まりました(笑)。
めでたく2階の6列目をゲット(5列目までは指定席)。第1公演は昼の部ということで満席です。しかも会場に入りきれないお客さんは立ち見です。地元の高校とはいえ、このホールが超満員になるほど大盛況になったのは、今年度は座奏、マーチング、アンコン(アンサンブルコンテスト)と東京都代表として全国大会へすべて出場したため注目されていたのしょう。第2公演でも一時間前から並び、同じ2階の6列目をゲット。こちらも超満員でした。
各公演共に休憩を入れて2時間30分。合わせて5時間。待ち時間を入れると7時間のイベント。聞いているほうもクタクタですが、演奏しているほうはもっと大変だったことでしょう。娘はクタクタになって帰ってきました。5時間を超える上演となると、ワーグナーの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」、「神々の黄昏」あるいは「パルジファル」を思い出しますが、公演時間としてはそれらに匹敵。でも長さを感じさせない充実した素晴らしい演奏会でした。
定演の直前には合宿もあり、ゲネプロ、本番と息つく暇もありません。それだけに部活へかける熱い熱い想いが伝わってきました。公演途中に作曲家のインタビューがありましたが、この高校の吹奏楽部の演奏は大人の音楽だと言っていました。私もそう思います。重厚すぎることも輝かしすぎることもなく、でも音楽性に溢れて安心して聞いていられる、そんな大人の音楽です。さらに付け加えると、バリバリの体育会系でしょう(笑)。吹奏楽部は文化系クラブの代表として取り上げられることが多いですが、間違いなくこの高校の吹奏楽部は体育会系です。ステージ上でのキビキビした動きや音楽にもそれが表れていますね。吹奏楽部の紹介の中で一年間で7日しか休日が無いと司会の方(稲村なおこさん)がコメントしていました。人によっては正月休みが一日もなく、実際は2~3日しか無かったはずだと思わず心の中で叫んでしまいましたが、そのような猛練習の中で培ってきた伝統を大事に引き継いでいってほしいですね。
今年の3年生は自らに厳しく妥協を一切許さなかったと顧問の先生がコメントされていました。ロビーに掲げられていた”常熱”の一言に凝集されているのでしょう。娘に聞いても同じコメントです。その伝統を引き継いでいくのが新3年生の使命。大丈夫かな・・・受験勉強よりもまずはこちらを頑張って欲しいですね。
このブログ、部員の誰かが偶然見つけてしまったらしく、厳しく監視されています。従って、音楽についてコメントを書くことは控えています。検索できないように学校名やホール名も記載しません。翌日には非公開日記として完成したのですが、公開するかどうか悩んでいました。娘に怒られそうですが、ちょこっとだけ公開します。感想ではなく紹介なので許してください。
第1公演、第2公演共に、1.ブラスの響き、2.ポップスインブラス、3.楽しいブラス、4.フィナーレの4部構成です。第1部は50~60名に出演者を絞って演目ごとにメンバーが入れ替わり、得意の曲や新しい曲を演奏します。第1公演で演奏された「ローマの祭り」は全国大会出場メンバーで再演されました。何度も本番で演奏してきましたが今回で本当の最後です。会場の観客も熱演に聞き入っていました。第2公演で演奏された「エル・カミーノ・レアル」は前回聞いた時より完成度が上がってきた感じです。両公演共に「Bye Bye Violet」では名誉顧問の先生が指揮棒を振りました。第1公演の「フェニックス・マーチ」と第2公演の「勇者のマズルカ」は三澤慶さん作の曲です。舞台上で三澤さんのユーモア溢れたインタビューが繰り広げられていました。
第2部は、雰囲気が一転してポップス。表情豊かな音楽に照明の効果も加わりディズニーやジブリなど楽しめました。両公演で披露された「HEY PACHUCO!」は、ますます磨きがかかってすっかり十八番になりつつありますね。キビキビ踊りながら演奏するスタイルは、この吹奏楽部ならではです。
第3部は、3年生が中心となって作り上げていきます。館内の非常灯も全て消され、舞台で繰り広げられる高校生が作り出す総合芸術の素晴らしさ。それは言葉では表現できません。ステージドリルはマーチング全国大会出場常連校の実力を発揮。狭いステージならではの迫力と美しさに魅了されました。そして、第1公演のブラックライト音楽劇「美女と野獣」は本公演の白眉でしょう。脚本、道具、衣装、演出、役者全て3年生が手掛けています。受験勉強が終わり進学先が決まってから短期間でよくここまで仕上げることができたものかと感心してしまいます。1、2年生は演奏を担当。暗闇の中、タクトの発光だけを頼りにディズニーの演奏を繰り広げます。もちろん全て暗譜。先生がタクトのタイミングを間違えてちょっと混乱したとか言ってましたが、全然分かりませんでした。第2公演ではブラックライトに代わって3年生のダンスが披露されます。これも見事。やはり体育会系です(笑)。そして全員による合唱「僕が守る」。何と美しい音楽なのでしょう。やはり文化系かな?
合唱の伴奏はちょっとミスタッチがありましたが、伴奏者へのインタビューがありました。若くて長身で、イケメンらしい雰囲気が漂っていたので、てっきり部員が弾いていたと思い込んでいたところ、なんと副顧問の先生だったようです。それも昨年教職についたばかりとか。子供の頃にピアノをやっていたと語っていました。娘に聞いたら直前の合宿で猛練習してあそこまで仕上がったようです。最初はどうなることかヒヤヒヤしたとか。
FINALEは再び吹奏楽に戻ります。全員が参加しているようです。第1公演では「ダフニスとクロエ」、第2公演では「ミス・サイゴン」が演奏されました。皆さんクタクタの中で最後の力を振り絞った熱演でした。「ダフニスとクロエ」は難曲ですね。
両公演共に、途中で「はちおうじくん」が特別出演しました。実は、会場の至るところで、はちおうじくん(蜂王子くん)を見かけたのでついでに紹介しちゃいます。それは指定席の座席カバーです。たまたま指定席直後の自由席に座っていたので気づいたのですが、高校専用のシートカバーがあるのですね。そしてよく見ると「はちおうじくん」の姿も・・・
ところで日曜日の朝日新聞(多摩版)に自治体キャラの記事があり、市の観光PRキャラクター「はっちお~じ」が紹介されていました。こちららは可愛らしい高尾山の天狗キャラクターです。紛らわしいですね。いっそのこと、「はちおうじくん」と「はっちお~じ」のツーショットはどうでしょうか。そのためにも、来年度は全国大会で金賞を目指してほしいですね。
予定の演目が終わると3年生が舞台に並び、一人づつ名前が読み上げられます。そして演奏会の締めは「かっぽれ侫武夛(ねぶた)」です。最近「HEY PACHUCO!」が十八番になりつつあって忘れていましたが、カッポレは毎年新1年生が一番最初に単独で演奏する思い出深い曲だったのですね。
第2公演の最後には、3年生の学生指揮者がタクトをとり本当に最後の演奏が始まります。そして、1人づつ3年生が楽器を片手に舞台を去っていきます。舞台正面で頭を下げるたびに、客席後方から名前を呼ぶ掛け声がかかります。いかにも高校生ですね。最後に指揮者も2年生にバトンタッチされて1・2年生が舞台に残りました。実は第1公演終了後に大急ぎで自宅へ戻り双眼鏡を持参してきました。双眼鏡で一人一人の様子を見ていると、3年生はみな満足感や充実感で満たされた爽やかな表情をしています。一方、去っていく3年生に言葉をかけられ舞台に残った1・2年生は、寂しさと緊張の様子が伺えました。
クラブ活動に青春のすべてを捧げる高校生を見ていると、人生で最も充実した時期を過ごしているのだなと思ってしまいます。その一方で自分の高校生時代はこんなではなかったなと反省も・・・
新2・3年生には、良き伝統を引き継ぎ、頑張って欲しいですね。
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