かれこれ7.8年前に同じ著者の『戦後史の正体』を読んでいるので、取り立てて目新しいことはなかった。また、孫崎享の見解を反芻するよい機会となった。
そうだ、彼は「私は日本がアメリカとの戦争に突入したのはアメリカの謀略だと考えている」ということを明言している。
今の此の圀の政治状況において、安倍氏の事件の後、アメリカからブリンケン国務長官がもの凄い速さで飛んできて岸田首相に会いに来た不思議に啞然とした。想像するに、何やら「安倍との約束を必ず履行して欲しい」と言ったのだろうが。
此処にこそ、孫崎享の云うアメリカの属国日本の姿があり、過去には、「有事駐留」を主張した芦田均は7ヶ月で、「最低でも県外」と言った鳩山由紀夫は9ヶ月で政権瓦解させられたことを思い起こされる。
アメリカと主権国家として対峙しようとした首班は悉く短命で終わり、尻尾を巻いて犬となった小泉と安倍が長期政権となる。
小泉と安倍によって何が失われたか、既に解り始めている。郵政民営化によってどこの国の誰が侵食したのか。
直近では、正規雇用が崩れたことにより、この國は少子化となり、自衛隊の人数確保もできないのに、高額な武器を買わされ、トイレット・ペーパーもない所で女性隊員にハラスメントが行われる。これが今の日本の防衛能力の実態でもあろう。
自民党の清和会系の右傾化議員たちの目指す敵地攻撃能力だって、その前に自国の原発を何とかしなきゃ、まるで身体に原子爆弾抱いて敵にミサイルを打つ、そんな程度の防衛意識と枯渇した頭脳能力でどうする気なのだろう。
彼らの台湾有事の為の軍備増強はアメリカの子分としての前線の軍備増強だろう。
自民党の此の系譜の派閥議員は今回の統一教会と心中して政界から一斉に立ち去ってもらいたいものである。
彼らこそが「国民の代表ではなく、アメリカのポチ」のような気がしてきた。
ふとこの本を読み終えて、そういう思いが巡った。