「首が“へし折れる”ほどの金メダルをあなたに」(『世界』2021・10月号)という論考を書いた高橋純子という朝日新聞の人がいる。このヒトはサンデー・モーニングに過去に出たことがあるので、細面の知性的な方とお見受けした。
この特製の金メダルを掛ける人は「アンダー・コントロール」のアベに対してであり、首相として在ること自体が無責任なスガだ、と彼女は言っている。新聞紙上を離れると、此処まで勇敢に言葉を使える新聞人なのか、と考えを新たにした。
私は「東京オリンピック」とは、日本人にとって国民的に成功体験のあった戦後唯一無比の大事業だった、と思う。
しかし昨年の「オリンピック2020」は、それをもう一度体験しよう、もう一度儲けよう、もう一度世界に日本を発信しようとした。実は、米国に、戦争でも、経済でも、二度敗れた此の圀の“悪あがき”だったような気がする。
首が折れれば当然全身がマヒして歩行不能となる。首が折れた原因がこれからひとつずつ露わに可視化される筈だ。その意味でしか捉えられない「金の亡者の祭典」を推進した者たちのあさましい顔をとっくりと拝見したいものだ。
だが、この庶民のやけっぱちの欲望にパンを投げてくれるだけの度量が今の自民党政権に果たしてあるだろうか?それができれば、岸田氏も一端の政治家になれるのだが。
20世紀は懐かしい。変わらずに昔の味だった。