2月11日、建国記念日は、国民の祝日として玄関に国旗を立てるくらいのことで、特にこの日を祝う集会に参加するといった行動は起こしたことがない。
それよりもこの日は、ずいぶん前から延命地蔵尊ご縁日とのご縁を頂いて、ここ数年お参りに出かけるのが通例となっている。
岩国市街地から約20㎞ばかりの山あいにあるこのお寺は、京都に本山を持つ黄檗宗「通化寺(つうけいじ)」という。
徳川幕府による長州征伐の折、芸州口の戦いを左右する長州軍遊撃隊の屯所として使用された。そんな歴史と広大な寺領を有した古刹である。雪舟作と言われる「心字池」もしつらえられていて、本来なら参拝者が後を絶たないはずなのだが、時の流れとともに紆余曲折があって、今は訪れる人とてない寂れたお寺となっている。聞くところによると、檀家さんも極めて少なく、高齢の人が中心で、再興の夢が遠いらしい。
そんな古刹ゆえに、年に一度のご縁日と「通化寺祭り」にはできるだけ顔を出すようにしている。特に今回は、昨年暮れから今年初めにかけて、身近な葬儀が相次いだ。いずれも様々な事情があって気持ちがすっきりすようなお見送りが出来ていなかった。何かしら中途半端な形が多かった。そんな思いを、宗派や方法は異なっても、自分の気持ちの中で故人に手向けをする機会をうかがっていた。
塔婆回向とお炊き上げ供養という願ってもない法要の案内を頂いて、万全な寒さ対策で出かけたが、ささやかな仏心が通じたのか、今日は昨日までとは打って変わって暖かく穏やかな日であった。
胸につかえていたモヤモヤがお炊き上げの煙と共に少しだけ、山あいの空気に溶け込んでいったようないい一日となった。お参りのお接待として頂いた田舎牡丹餅のお味も最高であった。 いま一度 合掌。