銘香 しののめ 京老舗 松榮堂
このブログに文字や写真以外のものを載せられるものなら、香りを載せてみたい。
そんな思いに誘われるような、たおやかな、ぬくもりさえ感じさせる芳香。
先だっての京都時代祭り見物のお土産のひと品である。
丁寧に包装された箱から、新たに一束を取り出しお線香立てに納めた。そのときの香りが得も言われぬ香り。思わず今一度、買い求めたお店の名前など確かめた。
『仏さまに供養する香・華・灯の中でも香を供養することは仏さまの最も愛好されるものであると共に人の心を清浄ならしめる功徳のあるものです。香は信心の使いとして捧げる人の真ごころを仏さまに供えます』と、箱から出て来た和紙にしたためられている。
「仏壇にお供えするお花は造花はいけません。たとえ粗末な花でも生きている花を供え、枯れて行く花の命を仏さまに差し上げるものです」と教わったことがある。
そこへいくとお線香は、我が身を燃やしながら、豊かな香りとほのかに消えてゆく煙をお供えすることになるのだろうか。
時にお線香の煙は、風もないのに、ゆらっとすることがある。まるで生き物が呼吸しているような仕草を見せ、不思議な気持ちになることがある。
今なにゆえにお線香の話題なのか、自分でもよくわからないが、このところ仏壇やお墓とご縁の深い日々を過ごしたせいだ。と言うことにしておこう。
線香は、香木や香料に松脂(まつやに)などの糊や染料を加えて練ったもので、主な原料には、白檀(びゃくだん)・沈香(じんこう)・伽羅(きゃら)だそうである。
一つだけ付け加えておくと、花街では芸者さんの花代を線香代と呼んだそうである。これは、線香が1本ともる間を単位に時間計算をしたからだそうな。(ネット拝借)