懇意な人から誘われるままに「一度顔をだしてみようかねー」などと、ちょっとやる気を出した「男の料理教室」。
これまでも色んな人から色んなお誘いを受けて、無下に断ったことが何回あったろうか・・・。
というくらいに、お声が掛かったら、どちらかというと賛同に回る側の、お人好しというのか、単なる優柔不断というのか。
もう一つ言うなら、「このオレに出来ることかできないことか、やってみようじゃないか」「やってやろうじゃないか・・・」などと思うタイプなのかな。
そこについて回るのが「もう歳だから」「この歳になって・・・」などという、半歩引いた負のイメージである。
どうもこの「この歳になって・・・」は、何故か好きになれない言葉の一つである。
なんでじゃろう。「歳」つまり年齢にかこつけて、新たな挑戦や、ややこしいことを避けるための方便に使っているような気がするからだろうか。
なんかしら、逃げを打つ時の決まり文句のような気がしているからだろうか。まあどちらでもいいが・・・。
「この歳なって・・・」と、自分でも苦笑いしながら、胸にエプロン、頭にバンダナ、右手に包丁握って踏み出した新たな一歩。「男の料理教室」
「台所でお手伝いしたことないじゃろう」「ちょっと、猫の手猫の手!!」と、食生活改善推進協議会のおばちゃまから、厳しい指導の声が飛ぶ。
なんかしら足元を見透かされているような。おっと足元ではなく、包丁を持つ手許を見つめて叱られる。
それもそのはず、水にふやかせてふにゃふにゃになったシイタケを、バラ寿司に混ぜるよう「みじん切り」にしてくださいとおっしゃる。
これは意外に難敵。手も滑るし包丁もすべる。しもうた、早くニンジン切りに回っておけばよかったと思っても後の祭り。
そんなこんなで、取り敢えずその日のメニュー5品目を短時間で調理する。
出来上がりをみんな輪になって試食会。大真面目に味付けを評価する人。煮え過ぎだの、もうちょっと煮たほうが・・・だの。
これがまた何とも滑稽な雰囲気があって楽しい。大盛りの昼ご飯を笑いながら食べる。健康的ではある。
生徒さんはみんな知った顔ばかり。指導のおばちゃまも、かつてのPTA仲間であったり、幼馴染であったり。
あれこれナンクセつけられながら、次回も行くぞ~と張り切る自分がいる。
それこそ手遅れかもしれないが、生涯に一度くらいは台所に立って、包丁握って惣菜の一品も作ってみるのも悪くはないかも。
感謝される?そりゃないじゃろうね。却って心配させるかもしれんので、やっぱり今の状態がベストかも。
まぁいい。「この歳になって」一つのチャレンジをする気になったことだけでも、チラッと自分をほめておこう。