我が家の庭に小じんまり生きている八重の白梅が、小さな春の訪れを告げるように一輪ほころんで見せてくれている。今日はまだ一輪でしかないが、その周りには「ヨシ、オレも明日はほころぶぞ」とふくらんでいるつぼみがいっぱいある。どれもみんな自分の領分を心得て、時節が来れば間違いなく一斉に花開く準備をしている。まさに健気というか季節の移り変りを教えてくれる。
そんな梅の木の下には、丸くて固い氷を張らせたメダカの水槽が置かれている。さすがにメダカは活動していない。その証拠に、この時季はエサを入れても食べに上がって来ない。メダカにとっては春はまだ先の話と言うことなのだろう。季節を知る花々はどんなことがあろうと時節が来れば花開く。梅に続いて間もなくツバキがひらく、そして桜が咲く。この自然の法則にはなんら変わりはない。
高校球児によって春を呼ぶのは甲子園選抜野球大会であろう。震災に耐える能登地方や石川県にも、地元で育った球児が甲子園で活躍する姿は大きな癒し効果があると思う。その意味では、日本航空石川や星稜高校が選出されたことは嬉しく思う。特に日本航空石川高校の選手は、震災に遭って集団で移転という困難を強いられた。そんな辛苦を乗り越えてのセンバツ出場には意義がある。郷土に灯りを灯したと言える。
何を申し上げても役に立たないほどの強烈な寒さと不便さに追い詰められている、能登半島地震の被災者の方々に送る言葉も見つからない中で、今年も梅がほころび始めました。春はすぐそこまで来ています。どうか生き抜く気持ちを忘れず、明日のあることを信じて欲しいものです。