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昨年も暮の三十日に二人の若者が年越し蕎麦を届けてくれた。
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綺麗なパッケージの蓋には「越後魚沼」の変体漢字。
そして、「イチカラ畑」の文字も見える。
彼らが何もない、廃棄された牧草地を文字通り一から耕し、作った蕎麦です。
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こんなに美味しそう、いや、無農薬、無肥料の本当に美味しい蕎麦です。
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彼らが農天市場を初めて訪れてきたときは「俺達も百姓をやりたいんすよ」、
なんて言っていたのが思い出される。
正に「男子三日会わざれば・・・」の格言通り。彼らは格段の成長を見せてくれた。
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初めて彼らの蕎麦畑を訪れて、その自然の豊かさに驚いた。
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古い、廃棄された牧草地は正に内地離れした、北海道のような風景。
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小型の家庭用耕運機を持ち出したり、一条播きの「種蒔きごんベー」を買ってきたり、
「おい、それで何町歩もどうやって耕し、蕎麦を播くのー」なんて驚いていたが、
有る日訪れて大型機械が活躍する姿に驚いた。
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この新鋭機の能力は素晴らしく、一見原野に見えた旧牧草地を見事な蕎麦畑に仕上げた。
一昨年は七町歩あまり、そして昨年は八町歩あまりでの栽培となった。
でも、彼らには「これからが本当の勝負だ」と言っている。
生産から加工、そして販売と彼らは着実に成長の足跡を見せてくれてはいるが、
冬場の仕事の確保も含めて、本当に採算と暮らしを支えるためにはまだまだ工夫と努力が求められるのです。