あまんだれ
この地方では、楢茸、楢茸もどきを総称して「あまんだれ」と呼ぶ。
所によっては「くずれ」とか、「らっこうキノコ」の呼び名も有ると聞く。
何の木にでも寄生し、杉の木にさえ出たのを目撃した事がある。
楢の木に多く出るので楢茸の名前が付いていると思うが「あまんだれ」の語源はまだ聞いた事も無い。
楢の他に胡桃、カイドウ、(この二種に出るのは巨大になる)、モミジ、桑、その他どんな雑木にも出る。
弱った木に寄生するのだから、新たに道を切るため、ブルドーザーで押した周辺など、絶対の狙い目だ。
何年か前、土曜日に山に入りマッチの先ほどの「あまんだれ」を見つけた。
山の好きな義母を日曜に呼び翌日採ってもらった。仕事から帰って驚いた。
朝から夕方まで採り続けたと言う「あまんだれ」は車庫の床に大山になっていたのだ。
丁度よい大きさで、これから考えると出て数日の命のようだ。人によっては、ナメコより美味いと言う。
妻と義母と私と三人で何時間も整理し、塩漬けにもして長くその味を楽しんだ。
そしてその後、降って湧いたような、あの思い出したくも無いような中越地震も、
急斜面から抜け落ちた大きなコナラの木などが、
二、三年後に信じられないほど大量の「あまんだれ」を恵んでくれる事となった。
忌まわしい地震も悪い事ばかりでは無かったとほくそ笑んだのは私だけだったのだろうか。