何を書くやら(笑)
主人公は亀 最初にその気になったモノをおさめなくてはならなかった亀奉行
亀の世界も平和ではない あれこれあって 最後はウッフン―
え~バカバカしいお話を一つ
書いた創作落語のような世界です
亀たち かく戦えり
何を書くやら(笑)
主人公は亀 最初にその気になったモノをおさめなくてはならなかった亀奉行
亀の世界も平和ではない あれこれあって 最後はウッフン―
え~バカバカしいお話を一つ
書いた創作落語のような世界です
亀たち かく戦えり
幸吉とおりんが新しい所帯に慣れ しばらくした頃 お照は新しい仕事を探そう 独立しようと考えていた
やはり新婚の夫婦は若い娘には 気詰まりであったのだ
姉のお千加が持ってくる縁談(はなし)も ぴんと来ない
それでも顔を立て 会ってみる約束はした
だが―太平(たへい)は それが待てなかったようだ
お照が店の前を掃いていると 声を掛けられた
「もしや お照さんかい?」
お照が顔を上げると 若い男が 野菜を入れた籠を持って立っていた
「話は聞いているだろ おいら 太平って言うんだ これ食べてくんな
また くる」
言うだけ言って太平は照れくさかったのか 駆け出した
呆気にとられたお照は 複雑な思いで野菜を見る
―どうしよう
会うだけでいいからと姉のお千加は言ったが 会うだけではすまない
事の重大さ 自分一人の気持ちだけではすまない流れにのせられたような・・・いっそ逃げ出したい そう追い詰められる感じすらある
人の女房になるということ
一生その男と暮らすこと
きゅっと唇を噛む
較べている相手がある だがそれはいけない事だ
なら いっそ太平さんのお嫁さんになった方が蓋できる
こんないけないことを考えてはいけない
おもっちゃいけないんだ
野菜の入った籠をお勝手に置き おりんに頼む
「すみません 少しだけ 出てきていいですか 」
「顔色が あんまりよくないわ ずっと頑張ってくれたもの
人手は足りてるし どっかで美味しいもんでも食べてらっしゃいな」
おりんは財布から少し小遣いを出す
遠慮なく帰れる家が欲しいと思う
あったかい きらきら屋 そこは お照が一番行きたい場所
いけない いけない しょんぼり途方にくれる
その頃お千加は 張り切っていた
太平が お照を見に行き いたく気に入って お嫁さんにほしい―とさんざ頼んで帰ったのだ
こうなりゃ 話を決めるまで 子細を平介に 言いに行く
きらきら屋の店先に顔覗かせると 平介が気付いて出て来た
「どうした また亭主と喧嘩でもしたのか」 「そんなんじゃありませんよ」と お千加は 膨れてみせる ほつれ毛を撫でつけながら 「お照のことですよ」と言う
「お照に何が 怪我でもしたのか」
「やだわ 縁談ですよ 嫁に欲しい 青物売りの太平って若くて働き者で お照とは お似合いだと思うのですけど」
「お照は何を言ってる」
「あの子はウブですからね 好きにさせてたらいき遅れっちまいますよ」
くすくす笑ってお千加は手柄顔だ
「その青物屋は間違ない野郎なんだろうな」
「何 兄さん怖い顔して」
「犬猫の子をやるのたぁ違うんだ」
平介は眉間に皺寄せたまま身を翻し 店に戻っていく
「な・・・なんだい あっかんべ―だ」
なんとなれば お照は 平介のことを 兄だと思っている
はなから対象外で当たり前だ
お照がいいなら仕方ないが むざむざ
理屈は どうでも 心が納得しないのだ
お店を閉めてから平介は お照に会いに行った
南伸坊さんの表紙も楽しい
各章冒頭に古文の言葉の意味もあり お勉強にもなります
上品なユーモアに 時々読み返して確認しつつ
控え目ながら前向きな生き方にも感心する
老け込むことは ないだろうな などと
そして読後 感じるのは 彼女の今は亡き父親への思い
穏やかで深く静かな水面から 浮かび上がるがごとく
広がっていく
解説は瀬戸内寂聴さん
旅の あれこれ
日々に思うこと
静かな充実した時間が過ごせる一冊です