ー振袖異聞ー
幾ら上品寿(かみしな ひさし)に言われても 関わる気は無かったんだ
結構 疲れるし
なのに とっ捕まってしまった
絡めとられる・・・・・・
僕の意識は他の者と重なりー夢の中・・・・・・
ー振袖狂乱ー
男がほんの気紛れにした事が女の心を奪う
その純な焦がれる想いに 慕う気持ちにとっつくモノもある
ただの片恋であったのに
伴の者とはぐれ迷った人気無い裏道で いつか妙な男達に大店のお嬢さんである娘は囲まれていた
狭い道の前にも後ろにも薄気味悪い男達・・・
進むに進めず・・・娘は一歩も動けなくなる
不気味な笑いを浮かべながら輪を狭める男達の手が怖さに震える娘の細い肩に今にも触れそうになった時・・・・
男達と娘の間に割り込んだ影一つ
くすんだ朱色の着流しのんびり懐手
髪はただだらしなく一つに紐で縛っただけ
「邪魔するな 痩せ浪人」
たかをくくって数をたのんで男達は居丈高
彼等は獲物を奪われたくない
きちんと結われた髪には綺麗な簪 櫛
小町娘と評判のお嬢様がなんでこのような所に・・・・・
娘自身にも分からない
ふらふらと娘は朱色の着物の背中ばかりを見つめていた
朱色の影は襲い掛かってきた男達を刀を抜くまでもなく素手で叩きのめし うずくまった娘の様子に溜息一つ
天を見上げて
「置いてもいけないか」
背中を見せて「おぶってやるからつかまりな」
さすがに消え入るような声で娘が礼を言い 名前を告げようとすると
「知ってるよ小町娘のおしずさん てぇした評判のぺっぴんさんだ」
店まで送って店の者達が大騒ぎしている間に姿を消した
朱色の着物の浪人にはそれで終わった事だったのだ
暫くして小町娘おしずがおかしくなったと噂が流れるようになる
濃い派手な強い化粧 見事だが薄気味悪い振袖ばかりを着ていると
気が触れたのだーなどと言う者もいる
朱色の着物ばかりで「朱の字の旦那」と呼ばれる浪人・・・静森主膳(しずもり しゅぜん)は その噂がどこまでのものなのか多少気にはなった
白い貌が思い出される
それがいけなかったのか
ーとっつかまった・・・・・
何とも怖ろしいモノに
いや とっつかまっていたのはおしずの方か
幾ら上品寿(かみしな ひさし)に言われても 関わる気は無かったんだ
結構 疲れるし
なのに とっ捕まってしまった
絡めとられる・・・・・・
僕の意識は他の者と重なりー夢の中・・・・・・
ー振袖狂乱ー
男がほんの気紛れにした事が女の心を奪う
その純な焦がれる想いに 慕う気持ちにとっつくモノもある
ただの片恋であったのに
伴の者とはぐれ迷った人気無い裏道で いつか妙な男達に大店のお嬢さんである娘は囲まれていた
狭い道の前にも後ろにも薄気味悪い男達・・・
進むに進めず・・・娘は一歩も動けなくなる
不気味な笑いを浮かべながら輪を狭める男達の手が怖さに震える娘の細い肩に今にも触れそうになった時・・・・
男達と娘の間に割り込んだ影一つ
くすんだ朱色の着流しのんびり懐手
髪はただだらしなく一つに紐で縛っただけ
「邪魔するな 痩せ浪人」
たかをくくって数をたのんで男達は居丈高
彼等は獲物を奪われたくない
きちんと結われた髪には綺麗な簪 櫛
小町娘と評判のお嬢様がなんでこのような所に・・・・・
娘自身にも分からない
ふらふらと娘は朱色の着物の背中ばかりを見つめていた
朱色の影は襲い掛かってきた男達を刀を抜くまでもなく素手で叩きのめし うずくまった娘の様子に溜息一つ
天を見上げて
「置いてもいけないか」
背中を見せて「おぶってやるからつかまりな」
さすがに消え入るような声で娘が礼を言い 名前を告げようとすると
「知ってるよ小町娘のおしずさん てぇした評判のぺっぴんさんだ」
店まで送って店の者達が大騒ぎしている間に姿を消した
朱色の着物の浪人にはそれで終わった事だったのだ
暫くして小町娘おしずがおかしくなったと噂が流れるようになる
濃い派手な強い化粧 見事だが薄気味悪い振袖ばかりを着ていると
気が触れたのだーなどと言う者もいる
朱色の着物ばかりで「朱の字の旦那」と呼ばれる浪人・・・静森主膳(しずもり しゅぜん)は その噂がどこまでのものなのか多少気にはなった
白い貌が思い出される
それがいけなかったのか
ーとっつかまった・・・・・
何とも怖ろしいモノに
いや とっつかまっていたのはおしずの方か