闇医者おゑん秘録帖-花冷えて (中公文庫) | |
あさの あつこ | |
中央公論新社 |
「闇医者おゑん秘録帖」に次ぐシリーズ第2作
異国の血を引き 今は江戸で暮らすおゑん
色白く背が高く 瞳の色は時に紫色にも見えるという
「竹が鳴く」
おゑんが縁あって借りた家には竹林がある
風が強い日は竹林が鳴るという
裕福な商家の女房お江代に連れられて来たのは お竹
お江代の夫が手をつけてー妊娠
その腹の子をおろせーとお江代は言う
この時代 産むも堕胎も女は命懸け
おゑんが事情を尋ねるうちに お竹は自分は産みたいと言う
お江代は家持ち一人娘
婿養子が女好きなのは知っていた
悋気などではないーと話す
不思議な女 恐ろしい女 おゑんはお江代に対し奇妙な感想を抱く
やがてー
夜 訪ねてきたお江代からは血の匂いがした
夫を殺したのだと
まだ ほんの子供の頃 弟も殺したと
江戸を離れると行方をくらますお江代
「花 冷えて」
江戸の町に奇妙な病気が流行っているという
娘コロリ
妙齢の娘が倒れてそのままー
おゑんの目の前でも一人の娘が倒れた
けれど おゑんが診ても異常は無かった
なのに居合わせた別な娘が婚礼の数日前に死んだ
ある考えを持って おゑんは死んだ娘達について調べて・・・・・
犯人を突き止めた
娘を殺された母親は 自分がまだ子供が産める体か診てほしいとおゑんに言う
子供を取り上げられたままではいないと
物語の中の人ではあるけれど 強い人だなと思う
嫁入りできる年齢まで育てた娘が殺されてー
死んでー
それからまた 産んで 育てていこうという何というバイタリティーだろうかと
↓「闇医者おゑん秘録帖」を読んだ時に書いたものです
女医者
産んでは世間を憚られる腹の子を堕胎する闇の医者
そんな人間がいるという
背の高い女だそうだ
割と腕も立つ
凄味も見せる
本当におろしたいのか
産めない赤子なのか
どうしようもないのか
尋ねると言う
自分の言葉で本当の思いを話しなさいよとー
「春の夢」
縁談が決まっている若旦那は女中のお春に腹の子をおろすように言って 人から聞いたおゑんのところへ行けという
お春は おゑんに自分の思いを話して 腹の子と生きたいのだ 産みたいのだと気付くも
若旦那に階段の上から突き落とされた・・・
血だらけになっておゑんの所へたどり着き救いを求めるお春
流れてしまった赤ちゃん
後悔の若旦那はー
「空蝉の人」
鬼が毎夜 襲ってくるという その身を抱きに
そして鬼の子を身ごもってしまったのだと
謎を解き その女性の持つ本来の強さを思い出させるおゑん
鬼よりも恐ろしいのは人の心・・・・
「冬木立ち」
縁談も決まっているのに・・・・・お鈴は初めて愛した男の子を宿した
母親は言う
おろして元の体に戻ってもらわないと困るんです
妊娠する前の娘の体になぞ 戻れるはずもない
腹の子をかきだして
身も心も傷つくのだ
風の強い夜
お春の言葉に誘われるようにー
おゑんは自分の生い立ちを語る
その身に流れる血のことも