「十年前のクリスマス」
妻の買い物に付き合って宝飾品売り場にいた銀行員の永島は ある人物の意外な姿を目にする
それは十年前 銀行からの融資は受けられず会社を潰した男
まだ新人の永島を可愛がってくれた経営者
しかし永島はその社長を助けることはできなかった
何故 あんなに羽振りがよくなっているのか
疑問に思った永島は 昔の書類を調べ直し あるカラクリに気付く
そうして昔 心ひかれた女性の幸せそうな姿に
知ったカラクリはそのままにして ひそかに立ち去る
「セールストーク」
銀行員にも正義はある
やってはいけないことも
銀行員のあるべき姿
それを部下に見せる男
「手形の行方」
消えた手形
捜しても見つからなかった
そこには男を恨みに思う女がいた
「芥のごとく」
頑張ってきた女社長
応援したかった銀行員
だがー
頑張りが報われないことも多い
「妻の元カレ」
妻の浮気に気付きつつ 信じたくなかった
だがー妻は
「かばん屋の相続」
一緒に働いてきた息子にこの店はつぶれるーそう言っていた父親
おまえは新しく会社をおこせ この店は相続するな
その父親が畑違いの銀行員の長男の方に店を相続させる遺言をのこしていた
偽装された遺言ではないのか
店を出た次男は別に店を出し 前の店からの従業員も引き受けて商売を始める
その結果
競売にかけられた以前の店を取り戻すことができた
ミステリー書評家 村上貴史氏の解説も詳しく 丁寧に書かれています
ちなみに再読です
2015年3月での感想はこちら↓
「十年目のクリスマス」
財政的に破綻したかつての顧客の神室を見かける永島
驚いたことに随分と羽振りが良さそうだった
何故?! 自分は何かを見落としていたのだろうか
調査をすすめてそのカラクリに気付くも かつて心ひかれた神室の娘の幸せそうな姿に「いいじゃないか これで」「よかった」と
ーよかったな ちいちゃん メリークリスマスー
心の中で届かない言葉を
そしてひそかに去っていく
「セールストーク」
立場を利用した「個人的な融資」その悪辣さ卑劣さを暴く銀行屋ならではの戦い方ー北村の下で若い江藤も育っている
痛快な一作
「手形の行方」
消えた手形
その手形を隠した人間はー
心が縺れた意趣返し 誰も幸せにはなれないのにー
「芥のごとく」
新人の山田は女社長の会社を助けてやりたいと思っていたー
辛い経験も人を育てる
「妻の元カレ」
妻の浮気を疑いつつ確かめられない男ー
子供のいない夫婦 妻は夫より昔の男を選ぶのか
男はつらいー
「かばん屋の相続」
父親は仕事を手伝う息子には会社を相続させなかった
銀行員の兄が父親の遺言書持ち 乗り込んでくる
弟は自分の会社を作る
父親が誰にも会社を相続させようとは思わなかったーその理由
そして雨降って地固まる結果にー
村上貴史氏の解説も詳細かつ丁寧で読みごたえあります