―本書は中島みゆきさんの楽曲「ファイト!」から、作品の構想を得ていますーとの言葉があります
解説は大矢博子さん
神室幼稚園に赴任した新人の喜多嶋 凜
彼女は保護者会のモンスターペアレンツ団体様のような保護者会に驚く
園側が決めた遠足の目的地すら変更させる
唯々諾々と従う園長
凜は少しでも理想に近づけるべく奮闘するが
園にも秘密があり それに絡んで・・・凜にも秘密があった
忌まわしい過去の殺人事件
犯人とされたのが凜の父親だった
この街に暮らしていられず 他の土地へ
だが 街には凜を覚えている人間もいた
人殺しの娘
前を向いて生きようとする凜
この昔の事件を調べにきた刑事がいる
中山七里作品にはお馴染みの渡瀬刑事
かなり人相が悪いらしく
作中これだけの表現がある
ー齢の頃は五十代半ば、中肉中背で声がやけに渋い 聞きようによってはかなりの濁声に感じるだろう
だが何と言っても一番の特徴は顔だった
目 鼻 口 それぞれのパーツは普通なのに それらが収まった顔は凶暴のひと言に尽きた
不用意に近づいたら問答無用で殴られそうな気がする
いったいどこのヤクザかと怪しんでいるとー
ーただ後ろにいるだけなのに 殺気じみた空気が背後から漂ってくる
武闘派のヤクザなのだろうかー
「キョーアクハンが出るんだよ」
「きょ凶悪犯?」
などと さんざんな書かれようである
渡瀬刑事は この昔の連続殺人事件の犯行現場を見つけ出し 真犯人も見つけた
物語としても楽しめますし 自分達は善意の人間 正義側だから相手に何をしてもいい
身勝手な迫害についても書かれています
問題提起の物語と言ってもいいでしょう