ふくい、Tokyo、ヒロシマ、百島物語

100% pure モノクロの故郷に、百彩の花が咲いて、朝に夕に、日に月に、涼やかな雨風が吹いて、彩り豊かな光景が甦る。

南洋編 9 ~新しい献立~

2010年07月01日 | 人生航海
その後も穏やかな日々が続いたが、二ヶ月ぐらいが過ぎた頃に、主計局長と武市軍曹から話があると言われた。

新たに井上軍曹が、責任者となって炊事場を作るので、是非手伝って欲しいと頼んで来たのである。

井上軍曹は、上官である主計中尉に相談された時に、私の話が出て、本部の許可を得たうえで、私の移動を武市軍曹に頼んだとの事らしい。

結局、軍隊の事であった、私も命令と思う以外なく承知したのである。

そんなことで、私は、本部の事務員から、炊事の事務所に移動することになったのである。

それから、直ちに、現場を見る事にした。

班長からも話しを聞いていたが、もとは大きな倉庫で広かった。

私は、まず事務所を作って、冷蔵庫の設置を打診した。

早速、敵方だった軍関係者を調べて、放置してあった工場を探して、大型の冷蔵庫を見つけた。

そこで大勢の人夫を連れて、トラックに積んで帰ることにした。

だが、詳しく調べても、その大型冷蔵庫の操作方法が、誰にも解らないのである。

ガスと電気の併用で使用する業務用の大型冷蔵庫なのは解るのであるが、結局は、氷を入れて使用する事にしたのである。

このような不便さもあったが、皆が便利に作業出来る様にして、スラバヤの停泊場部隊の新しい炊事班が出来上がったのである。

炊事軍曹のうえに、主計将校と軍医がいて、献立表の書類には、その二人の将校の承認印が必要であった。

私は、毎日の献立表を書き終えると、必ず、両将校の印を貰いに行くことになった。