ふくい、Tokyo、ヒロシマ、百島物語

100% pure モノクロの故郷に、百彩の花が咲いて、朝に夕に、日に月に、涼やかな雨風が吹いて、彩り豊かな光景が甦る。

南洋編 10 ~整理整頓~

2010年07月05日 | 人生航海
こうしてまた、私の新しい仕事が始まったが、主な仕事の内容は、一週間分の献立と予定表を作ること。

そして、それらを軍医と主計将校に提出して許可を得たうえで、現場の炊事兵の責任者が実施する。

ナマノモノ(生の物)の都合で、幾分異なる場合もあったが、予定と実施は多少の違いはあるが、その都度報告していた。

軍には、糧秣廠という処があり、食料専門を取り扱う部隊があった。

主食やその他調味料まで一切の食料品は、そこの糧秣廠に行って伝票を出してトラックで受領して来るのが、私の仕事であった。

他に週に何回か現地人の案内で、近くの漁師町まで、買出しに出かけて、新鮮な海老や魚介類を仕入れて買って来た。

その頃には、私は、既に現地のマレー語で少しぐらいの会話が出来るようになっていた。

また、同じ頃、敵潜水艦の攻撃を受けて沈没した元徳島丸の司厨長が、調理の指導をしてくれるとの事で、本格的に献立を作るようになった。

調理も素人の兵隊よりも随分良くなり、私もやり甲斐のある仕事だと、いつしか思うようになっていた。

停泊場部隊では、移動部隊の世話をするのが仕事なので、兵隊の衣服から日用品まで全てを取り扱い、嗜好品や飲み物類の支給も行っていた。

事態の急変に備えて、いつも炊事場の倉庫の中には、酒やビール、サイダー類があり、他にも煙草や甘味品等のストック品まであり、いつなんどきでも間に合うように準備して置いてあった。

在庫品の数量は、毎日整理しておかないと、いつ監査があるのか分からないので、いつでも綺麗に整理整頓してあったのは、勿論の事であった。

そして、新しい炊事場が出来上がり、それまでのオレンジ色屋根の綺麗な宿舎が少し離れていて、不便でもあった。

そこで、井上軍曹と私の二人分の寝る場所を確保して貰い、新しく別に宿舎を作って貰ったのである。