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1950年12月と言いますから、朝鮮戦争の時代ですね。
調べてみました。
一旦は南に押入って来た北の軍を、アメリカや他の連合軍の支援を受けた南の軍が押し返し、一気に38度線を超えて進軍。
しかし、そこに中国が北の支援で参戦してきたことから、また、南に押し戻されたころの話です。
国連軍は、避難民を興南の港に集め、南への脱出作戦を開始しました。
多くの兵や民間人が興南に殺到したため、大混乱となったようです。
この混乱に、グムスンと夫のジョンムン、そして生まれたばかりの息子ヨンフンは巻き込まれていました。
それでも、必死に停泊中の船に辿り着きました。
縄梯子を登って行く途中、見知らぬ子供が海に転落。
ジョンムンは、その子を救いに戻りました。
船の上からグムスンは必死に手を伸ばしますが、ジョンムンとその懐に抱かれていたヨンフンはロープが切れて海に転落してしまったのです。
命は助かりましたが、それが最後でした。
失意のうちに南に降り立ったグムスンは、一人で『楽園』と言う名前の宿屋を始めました。
海の見える場所に建てました。
そして、いつも海を見ていました。
いつか、あの海の向こうから夫と息子が現れるのではないかと、思いながら・・・でしょうね。
宿屋『楽園』は時代を経て、大企業に発展しました。
行く宛ての無い人の癒しの場にしたいと言うグムスンの願いを込めて作ったホテルは、今では全国に15か所もの支店を持ち、韓国一歴史のあるホテルとなったのです。
そして今、新たなホテルが誕生しようとしていました。
その総支配人がセヨン=ハ・ジウォンさんです。
セヨンはホテルの誕生を祖母のグムスンと一緒に祝いたいと思っているのですが、そうはいかない様子。
グムスンはがんに侵されていて、余命3カ月と診断されていました。
家族と言えど、面会は自由には出来ないようです。
新ホテルのオープニングパーティが開かれました。
感慨に浸るセヨンですが、思いもよらない事態が裏で進行中だと分かったのです。
長兄のセジュンと常務のキム・スンドがホテルを売却しようと、その日に緊急取締役会を開催したのです。
最大株主であるグムスンが闘病中を狙ってのことのようです。
連絡を受けたセヨンが会議に乗り込み、抗議していると、そこにグムスンが登場しました。
闘病中で意思決定もままならないと言う話でしたが、グムスンは杖を突きながらではありますが、自分の足で歩いてドアを入って来ました。
グムスンは、余命を病院のベッドで過ごすより、愛する家族たちと愛するホテルで過ごそうと決意したのです。
病院で延命治療をしても1年、ここで自由に過ごして3か月。グムスンは後者を選択しました。
グムスンの存在感は大きいもので、もう誰も彼女の意向には逆らえないと言う雰囲気がその場を満たしました。
グムスンにかかれば、常務のキム・スンドも赤子のようです。
さっきまでの偉そうな態度は消え失せ、グムスンに頼まれてコーヒーを淹れに行くほどです。
グムスンは、役員たちを退出させ、家族だけになりました。
グムスンが何か言う前に、セジュンはキム常務を促して部屋を出て行きました。
セジュンは売却を諦めたわけではありません。
20年前の2002年、離散家族の再会を目的とした会にグムスンは参加しました。
その時、52年ぶりに息子のヨンフンと再会出来ました。
ヨンフンは息子のムンソンを連れての参加でした。
涙々の再会でした。まさか、生きて会えるとは思っていなかったグムスンでした。
ヨンフンは、父から聞いていた通りの母親だと言いました。
ただ、ヨンフンはグムスンが再婚していることに少なからず反感を抱いているようです。
父は、母を想い続けていくら再婚を勧められても受け入れなかったのに・・・と。
それより、根本的に考え方に距離が出来ている事が分かったグムスンとヨンフン。
南北統一が叶ったら、ヨンフンは北に家を建てて一緒に住むつもりでした。父の墓を守りながら。
しかし、グムスンは、ヨンフンとムンソンを南に連れて来るつもりでした。
ヨンフンは、母に失望しました。最期まで母を求めていた父が可哀想だと思いました。
決して嫌っているわけではないけれど、どうしても相容れられない心の距離でした。
「来年、また会いましょう。約束よ。」
そう言って、グムスンはヨンフンとムンソンと別れました。
それがヨンフンと会った最期になりました。
翌年の会に、2人は参加しなかったのです。グムスンを待っていたのは、ヨンフンの死亡通知書だけでした。
孫のムンソンの行方は分からないままでした。
グムスンは、もうこれ以上の長生きを望んでいません。
ムンソンに会える可能性もほとんどありませんから。
ホテルの元総支配人のサンチョルは、そう言うグムスンの気持ちを一番理解しています。
グムスンを一日でも長生きさせたいと思っていますし、大きな心の傷となっているムンソンとの再会を果たしてあげたいとも思っています。
知り合いの興信所に頼んで、ムンソンの行方を探してもらっていました。
そして、ようやく消息を掴んだのです。
ムンソンは、何と危険な人物に成長していました。
北朝鮮と中国を一人で行き来し、麻薬の密売をしていました。
それだけじゃなく、暴行や誘拐、殺人の請負まですると言う噂でした。
お金になるなら、なんでもするというのです。
「こいつはクズだ。極悪非道のクズ。」
と、興信所の所長テジュは言いました。
サンチョルは悩みました。
ユ・ジェホン=カン・ハヌルssiは無名の舞台俳優。
デリバリーのアルバイトをしながら、小さな舞台に出演しています。
現在上演している演劇で、ジェホンは北朝鮮兵士の役をしています。
ただ、客の入りはごくわずか。
ある日、ジェホンの前にサンチョルが現れました。
「私と一緒に一芝居打たないか?人生を変えられる大きくて美しい舞台で。」
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