レビュー一覧は、こちらから。
昔、ジスが自分に付きまとい、学生運動の集会やデモに参加するのを、ジェヒョンはヨシとしませんでした。
興味本位で、信念も持っていないと思えたからです。
「私にとっては、先輩が信念であり、すべてです。」
と、ジスは引き下がりません。説得しても無駄ですからと。
ふっとジェヒョンは息を吐きました。
ジスの想いに負けたと言う感じです。或いは、自分の想いに正直になろうと決めた感じ。
「今日から付き合うぞ。」
ふいに言いました。
冷たくしてもジスは一切怯まずに自分に向かって来ます。最初はウザいと思ったかもしれません。
でも、ジスの想いが決して浮ついたその場限りのものじゃ無いと感じたようです。
いつの間にか、ジェヒョンもジスに惹かれていたようです。
この時のことは、2人にとって忘れられないものでした。
会社前のデモを収めるため、デモの主導者と話し合いの場を持つと会社側が申し出ました。
しかし、会社側では特に話し合う議題がありません。結論は変わらないからです。
話し合いを持ったという既成事実を作るためだとジェヒョンは言いました。
その後、警察を投入し、デモ隊を強制的に排除するつもりなんです。
ジェヒョンが読んでいた本を見たソギョンは、その裏表紙に“ジス”の名前を見つけました。
それが、先日会ったジェヒョンの後輩でジュンソと問題を起こした学生の母親の事だとすぐに気づきました。
あの後、気になったソギョンは、ジスについて調べさせていたのです。
離婚し、女手一つで子供を育てていると知りました。そんな事をジェヒョンが知ったら、もっと援助するに違いないと思い、一切を知らないフリすることに決めたところだったのです。
ソギョンは父に連絡を入れました。
何をどう説明したのかは分かりませんが、チャン会長はジェヒョンに何の報告も無く、すぐにデモ隊排除に動きました。
ジェヒョンは、デモ隊の主導者との話し合いの後、警察による鎮圧を中止しようと考えていたのですが、既にチャン会長からの命令が出てしまっていたのです。
既にデモ隊から抜けていたジスですが、話し合いに向けて応援だけでもと現場に向かった時、目の前でデモ隊は警察によって鎮圧されてしまいました。
その向こう側に、ジェヒョンが立っているのが見えました。
ジェヒョンも慌てて駆けつけた所だったのですが、ジスの目には、ジェヒョンの指示だと見えますよね。
ジスはじっとしていられず、思わず混乱の中に駆け込んで行きました。
ジェヒョンは、学生時代のデモ隊の騒動に巻き込まれたジスの姿が思い浮かびました。
助けたい思いが募りましたが、こぶしを握って我慢しました。
チャン会長とソギョンが、遠くはなれた所から他人事のように眺めている姿に気づきました。怒りがこみ上げたジェヒョンです。
ジェヒョンは、チャン会長にやり方がまずかったと抗議しました。
ちゃんと自分が筋書きを描いていたのにと。
無理に排除すれば、必ずしっぺ返しが来ますと、血相変えて言うジェヒョンに、流石にチャン会長もそうかもしれないと思ったようです。
ジスはデモ隊のメンバーと共に警察に連行されました。
保証人がいないと、釈放できないと言われましたが、ジスには誰もいません。
ジスは昔、学生時代にも同じような事があったのを思い出しました。
ジェヒョンがデモに加わっているのを見て、急遽自分も参加した時の事でした。
やはりあの時も警察がデモ隊排除に動き、逃げ遅れたジスは連行されてしまいました。
実は、ジスの父親は当時検事長でした。
迎えに来た検事長に、刑事はぺこぺこと頭を下げ、ジスはあっさり釈放されました。
父は、警察を出た直後、ジスの頬を叩きました。
その様子を、ジェヒョンが目撃してしまったのです。
この時まで、ジェヒョンはジスの父親が検事長だと言う事を知りませんでした。というか、ジスについて殆ど何も知らない事に、ジェヒョンは初めて気づく始末でした。
ジェヒョンはジスから何の連絡も無いことが心配でたまりません。
家に行ってみても、呼び鈴を推す勇気はありませんでした。
塀の外から、暗い窓を見つめるばかりでした。
そのうち、ピアノの音が聞こえ、やっとジェヒョンはほっとしました。
そのまま踵を返したジェヒョンを、ジスが追って来ました。
窓を開けた時、背を向けたジェヒョンに気が付いて、追いかけて来たのです。
ジスを送りながら、ジェヒョンは話しました。
戦争が嫌いなのはもちろんだけど、戦争映画も主人公の将校も嫌いだと言いました。
将校は後ろのほうにいて、前にいる兵たちに命令するだけだからと。
「誰でも自分の人生の主人公なんだ。どんな理由があろうと、他人を蹂躙させない世の中にするために僕は運動を続けてるんだ。僕は無宗教だけど、神はいると思ってる。人は皆、神の子なんだ。神にとって人間は誰でも平等で大切なんだ。誰にも粗末に扱わせるな。たとえ家族だろうと。君は大切な大切な神の子だから。」
ジスは涙があふれて来ました。
ジェヒョンの優しさが沁みて来ました。
ソギョンはジェヒョンにジスとの関係を聞きました。直球ですわ。
最近、以前のジェヒョンでは考えられないような事をする事が多く、その時は必ずジスが関わっていると気付いていました。
ジェヒョンも下手な言い訳とか弁明とかはしません。
「そうかもしれない。昔を思い出すから。かつて僕が正しいと信じてたことを。」
そして、今までとは違う選択をすると言いました。
「幸せになるためだ。」
ソギョンには理解出来ません。ただ、ジスのことは見張っているからと言いました。
チャン会長が、またジェヒョンに何やら責任を押し付けようとしています。
ジェヒョンは引き受けようとしています。その代わりに、ジスたちを釈放させてくれと言いました。
ジスたちは釈放されました。
厳重注意という処分を会社側が提案したためです。
ジスは何かおかしいと感じていました。
デモ隊を一掃すると言ったかと思うと、話し合いの場を持つと言って来たり、警察の投入の時も、困惑していたようにジスの目には映っていたからです。
出迎えてくれたヨンウに、その疑問をぶつけました。
ヨンウは、ジェヒョンが変わったのは確かだと言いました。父親が死んだからかもしれないと。
「人が変わるのは、宇宙でいうビッグバンを経験した時よ。」
と、ジスは言いました。
君こそビッグバンを経験したのに・・・とヨンウ。
何何があったの
この様子は、カン秘書からジェヒョンに報告されました。
ジェヒョンは、豆腐をジスに差し出す人物が、大学の後輩ヨンウだと気付きました。
昔から、ヨンウはジスが好きだった・・・と思いだしました。
デモ隊の要求を受け入れた会社は、復職希望者を募りました。
名簿を見たジェヒョンは、そこにジスの名前が無いことに気が付き、ジスを呼び出しました。
アルバイトだけじゃ生活が苦しいと分かっています。
だから、内勤だろうと、正社員として務めた方が良いのでは?と、言いました。
「何も無くてパッとしない毎日でしたが、だからこそ気が楽でした。」
と、ジスは言いました。
先の事を考えるのに忙しくて思い出に浸る事も無かったと。
しかし、ジェヒョンと再会して、何度も振り返ってしまって気が重い・・・と。
美しい思い出だったのに・・・とジスが言うと、ジェヒョンは怒ったように言いました。
「美しい別れなんて無い。僕はまだ君が去った理由が理解できない。」
僕も思い出には浸らない、思い出だったことは無いから・・・とジェヒョン。
思い出にしてください・・・とジスは言いました。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます