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巨大ブラックホールの衝突が新宇宙を形成⇒循環宇宙論、有機物質から人間への進化メカニズム(循環論理の評価)⇒戦略的進化論

裁判員制度の狙いと重大な欠陥

2008年04月05日 11時56分42秒 | 思考空間

 アメリカ映画でしばしばお目にかかる陪審員制度の日本版がいよいよ平成21年5月までに導入されるらしい。東芝の1100億円などをはじめとし日本企業が多額の賠償金を取られたことでも知られ、悪名高い。日本の国益を守り、で市民が採決する裁判として期待が持てると思ったら、ちょっと違うようだ。

 陪審員は一般市民から選ばれた12名で協議しながら決定するのに対して、裁判員は6名でここに3名の裁判官が加わる。一般市民で裁判所に馴染みのある人は殆どいないし、対象となる犯罪が殺人など罪の重いもので選ばれた人も尻込みする。発言は裁判官から口火を切る。その後、6人の裁判員が発言する。とてもじゃないが裁判官と全く異なる意見を主張できる一般市民はいない。現実に、模擬裁判では、裁判官の発言によって、裁判員の意見が大きく影響してしまったらしい。

 アメリカと日本では国民の習慣やメンタリティーが全く異なる。アメリカでは自己主張し、相手を議論で打ち負かさないと存在価値を認めて貰えない。これに対して、日本では有力者の発言に一言でも逆らったら、一生干されてしまうなどごく当り前の社会だ。東大の法学部でトップになる秘訣は「レポートに自分の意見を書かない」ことと、現にトップで卒業した本人の意見が文芸春秋の記事で紹介されたりする国だ。

 裁判所がどんなものなのか少なくとも5回ぐらい法廷の傍聴席に行き、じっくり経験しないとなかなか雰囲気も掴めない。おまけに裁判官は高い地位と権限を持ったつわものだ。会社で例えると、裁判員は裁判に関して、新入社員、裁判官は課長以上の権限と経験を持つ。裁判官の発言は素人の裁判員には重く決定的に響く。その後で自由な発想の意見などできにくい。例えばあなたが、「この件は〇〇のように感じる」と発言した後、裁判官が即座に「刑法第△条第△項を知らないのですか?」と突っ込めば、多分あなたはビビッて次の発言ができなくなる。

 裁判員制度の狙いは、裁判のスピードアップと責任を裁判員に押し付けることにありそうだ。つまり、3人の裁判官が6人の裁判員を上手にコントロールして、意図する方向へ導き、責任は多数を占める6人の裁判員にあるとして逃げることができる。スピードアップは良いとしても、うまく利用される一般市民はたまらない。ストレス一杯の内容を憂さ晴らしに喋ることも出来ない。いかにも、国民を見下し、自らの利益のみを優先する法務省「官僚」の考えそうなことだ。

 衆議院選挙の際、おまけで投票?する最高裁判事は前もってきちんとした実績や人物像が紹介されるわけでもない。信任しない判事に×を付ける仕組みだから、殆どの人が何も書かずにそのまま箱に入れてしまい、全員が自動的に信任され実質的な無投票信任に等しく、形骸化している。法務省は、積極的に過去の実績などを紹介し、本人もテレビなどで自己主張するチャンスを作るべきである。その上で、投票は信任を〇、不信任を×とすべきだろう。最高裁がおかしいからこの国がいびつでおかしい。まやかしの根源である。

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