地球外の宇宙空間にもアンモニアなどの有機物の存在が確認されている。宇宙物理学者によれば、これらの有機物質が自己組織化により、高度なたんぱく質となり、非常にまれな偶然が重なって生命が誕生したことになる。まるで、様々な部品を箱に入れて振動させていると、自然にロボットが誕生するような話だ。お話としては面白い。しかし、天才たちが発言するにしては説得力のある科学的根拠が示されていない。
私は、生命誕生は物質から生命への進化であり、生物の進化と同じ仕掛け、レールのような共通の仕組みが有ったのではないかと考え、またその駆動力を循環論理の評価システムと推定した。すなわち、有機物質に論理循環の評価システムが(等価的に)形成され、単細胞の生命、単細胞から人間へ進化する共通の駆動力となったのではないかとの仮説を立てた。この私の考えは電気学会全国大会に2度ほど発表した。1回目は座長から疑問点が指摘された。もし、そのような評価システムが有ったとして、誰がその判断をするのか?と聞かれた。
このため、2回目の発表では細胞が破損した場合の修復を例に挙げた。あなたはけがをしたことが有ると思うが、けがをすると、健康な人なら自然に傷が治る。何故か?まともに考えるとこれは実に不思議なことである。細胞が破損した場合に、どのようにしてこの破損を知ることができるか?また、破損の修復は何を基準に実施されるのか?修復できたとの判断はどのようになされるのか?明らかに、体の設計図である遺伝子との比較がなされているのである。この比較評価を実施する生命コンピューターが存在し、判断しているのではないかと発表した。座長から反論は出なかったが、免疫システムについても検討してみてはどうかとの意見が有った。
生命コンピューターとは何なのか?残念ながら、私は生物学の専門家ではないので、自分で提唱しておきながら突き止めることが出来ない。論理的な推論の帰着として、生命コンピューターや循環論理システムが存在することを発表している。そして、来年には第3回目の電気学会発表を計画している。現在のところ、この仮説に関してはおそらく世界中で私しか提唱していない。だから、その根拠は可能な限り発表しておきたい。若い学生に混じって発表するのは少し気が引けるところはあるが。
証明するためのアイデアが湧いてくるし、時間とお金が有れば、このテーマをじっくり研究したいと思うが、忙しすぎるし、潤沢な金が有るわけでもない。しかし、生命の根源にかかわる研究であり、成功すれば、有力な説が見当たらない中で、特に進化・発展の分野で画期的な成果が期待できる。
残念なことであるが、現在のところ、私の考えを積極的に支持する動きはない。しかし、否定もできない。全くこれまでにない議論であるから、それこそ評価できないのだ。おそらく1,000年後には私の仮説が認められていることであろう。