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巨大ブラックホールの衝突が新宇宙を形成⇒循環宇宙論、有機物質から人間への進化メカニズム(循環論理の評価)⇒戦略的進化論

ガラクタと言われ無視されていたジャンクDNAのエピジェネティクス修飾が極めて重要であることが分かってきた

2018年04月20日 21時38分44秒 | 生命
 2000年にヒト遺伝子(全体の約2%)の全読み取りが出来た時、残り98%のゲノムはジャンク(ガラクタ、ごみ)と呼ばれ、全く無視されていた。ところが、遺伝子だけでは様々な生物現象や病気などが解明できないことが分かった。

 例えば、受精卵が分化して脳、心臓、肝臓、皮膚などになるよう制御するのがジャンクDNAから作られる長鎖ncRNA(ノンコードRNA)である。全タンパ質の製造についてスイッチON、OFFし目的の器官を作っている。長鎖ncRNAは200~100,000個と塩基数が大変大きい。

 従来は遺伝子の塩基が変化し神経、骨、目などに分化するとの説もあった。しかし、遺伝子の塩基は変化させず、長鎖ncRNAの修飾で働く遺伝子を指示し、機能を変化させてそれぞれの器官を作っていたのだ。

 女性が持っている二つのX染色体は一つが不要になる。卵が受精した後、二つのX染色体が2~3時間ぴったりとくっつき一つが選ばれる(多分、十分な長さか、良し悪しをチェックしている)。選択されなかったX染色体の機能を全部ストップさせるのがXistRNA(エピジェネティックな効果)であり、この選択が一生を左右させる。

 ネッサ―・キャリー博士(*)は前述の、「二つのX染色体が2~3時間ぴったりとくっつく」状態を一夜の情事みたいなものと書いています。女性にしては面白い表現です。
*ジャンクDNAの著者、女性研究者、エジンバラ大学でダーウィンの後輩になる

 男の場合は、X染色体が1つしかないので、女性の様に良い方のX染色体を選択する事が出来ないために、染色体異常に伴う疾患が起きやすくなる。

 ネッサ―・キャリー博士は、上記の事などから、とてもジャンクDNAとは呼べないと書いている。遺伝子が大切かジャンクDNAが大切か との議論は意味が無く、両方が協力し合って、複雑で高度な生体システムが出来上がり、維持されているのです。