中学の時、化学の先生が「化学は兎に角、暗記しろ」と仰り、あれですっかり化学が嫌いになった。僕は丘や山の中で犬と遊びながら のびのび育った自然児だったから理由も無く記憶する事が出来ない。化学式も人工的すぎて馴染まなかった。
その化学音痴がすっかり魅せられたのが、1990年代の終わり リン・マーギュラスの共生説だった。深夜のBS放送で、彼女が語る共生説は説得力が有った。ダーウィン説が最初から疑問だらけだったのに対し、理路整然として分かり易く、また新鮮だった。今もって共生が進化に及ぼした影響力の大きさは強く感じる。
一方、1990年代後半から、ビジネス 開発 社会などの全てにわたって評価が重要という概念が形成されてきた。対象に関わらず、評価無しには物事は解決も発展もしない。そこで、生命体には評価システムが等価的に形成されているとする仮説に至った。
僕は評価システムの判断を得て生体システムが維持され、また新たなシステムが選択されてきたと考えた。その処理は細胞など生体内の生化学的な計算機やソフトウェアが実施する。このメイン仮説が凄いのは、そこから生じる様々な小仮説が正しいらしいと判断できたことだった。
例えば、細胞に生化学的なハードソフトが有れば、容易に書いたり消したり読んだりできるゲノムが有るはずだとの推定(仮説)になる。そこで、固定的な遺伝子では機能せず、数量も足りないから、当時ジャンクと言われたDNAが使われているはずと発表した。その後、これらはエピジェネティクスによって確認された。
生物分野で次々発表される科学的事実も、僕の仮説とは整合性が有り、全て受け入れられる。
昨年発表の「原始海に現れたタンパク質工場」説は、池原先生のGADV仮説にもヒントを得たもので、誰でも理解しやすいからプロテインワールド説を強力にサポートでき、物質進化を想定し易くなった。また、進化を様々なケースや角度から担ってきた働き手としてタンパク質(ワーカーと称する)を取り上げた。
生物及びその進化にとって、タンパク質は主役中の主役だから、物質進化起源の候補としてRNAワールド仮説が定説の様に扱われていても、全く比較にならない。
今年は、「進化はタンパク質とソフトウェアの連携で進めてきた開発プロセス」としたテーマ設定で発表した。タンパク質は全ての担い手だが、一方、ソフトウェア無しに進化のダイナミックな展開は無かった。タンパク質が様々な情報を記憶させ、ノウハウを蓄積させ、活用する事で進化が実現したんだ。
そして、いよいよ来年度以降は、本丸の評価システムの等価的形成の解明だ。未知のゾーンへ踏み込む。アバウトな構想が出来ており、今後、どこまで具体的なメカニズムが示せるかだ。非常に非常に難しいテーマだ。難しいながら、僕の頭のなかでは、僅かながら生命の根源に近づきつつあるのを感じるのだ。
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