OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

転がる!

2006-06-10 17:40:15 | Weblog

最近また、ジャズ・モードに入らなくなってきました。

何年かごとのサイクルで、必ずそういう時期がやってきます。

原因は様々ですが、根源は不明というところ……。なんか聴く気がしないんです。

で、昨日の夜からはストーンズとサンタナばっかり聴いています。

特にストーンズはミック・テイラー在籍時のライブが最高で、実はこの時期のライブ盤は公式発売されていないのですが、実は海賊盤で優れものが存在しているのは言わずもがな――

Bedspring Symphony / The Rolling Stones (TAKRL)

海賊盤に取り付かれると必ず地獄に落ちるのは必定、マニアの宿命です。

で、私をその道に引きずり込んだのが、このアルバムです。

海賊盤とは非合法のレコードのことで、通称ブートと呼ばれていますが、それはコンサートの隠し録りや放送音源等々が主なソースで、もちろん音質はほとんどが劣悪です。

日本で海賊盤が流通するようになったのは昭和45年あたりからで、それから数年の間に新宿西口には専門店が林立するようになりました。しかも当時の海賊盤は2千円前後と安く、バーゲンだと3枚千円とか、投売りまでありました。

ただし音質と共に盤質も悪く、ジャケットも白いボール紙の袋にレコードを無造作に入れ、そこに安っぽい印刷のデザイン・ジャケットの紙を貼りつけ、シールドしただけの体裁でした。

ですから、実際に聴いてみると絶望と困惑のブツばかりというのが実状です。

しかしその中に、極、稀に素晴らしい作品が混じっているのです。そしてそれがあるから、次もまた♪ と期待して浪費の道に突入という悪循環……。

私にとっては、その悪魔が、これというわけです。

内容はストーンズが1973年秋に敢行した欧州ツアーからのライブ音源で、元ネタは放送用録音ですが、実はストーンが公式ライブ盤を製作しようと録音したものも含まれているようです。したがって演奏&録音は最高! サポートメンバーにはビリー・プレストン(key,vo) が参加しています。

A-1 Gimme Shelter
 いきなり何かのラジオ放送があって、グレン・ミラー調の音楽が流れ、タイトル曲のライブ音源に繋がりますが、それは如何にもブートという音質です。ところがナレーションが続くうちに、極上な音質で曲本篇がスタート♪
 どうやら昔はこんな音でしか録音出来なかったけれど、今ではねっ♪ という趣向になっています。
 肝心のストーンズの演奏は、決まり文句の最高! これしかありません。チャーリー・ワッツを中心とした重くてシャープなビートとリズム、流麗なミック・テイラーのギター、そしてミック・ジャガーの勢い満点のボーカル!

A-2 Tumbling Dice
 こんな緩~い曲をダレずに演じるストーンズは、これまた最高! 他のバンドは絶対に到達出来ない境地だと思います。ブラス陣の南部リフとミック・テイラーの対決にはゾクゾクしてきます。

A-3 Brown Sugar
 ストーンズ流儀の爽快なR&R! ちょっと危なっかしいキース・リチャーズのイントロから、後は一気呵成! そのコード弾きにからんでくるミック・テイラーのスライド・ギターが大暴れです。さらに後半ではビリー・プレストンまでもが!

A-4 Heartbreaker (Doo Doo Doo Doo)
 当時の最新盤からの新曲です。最近のストーンズとは違い、この全盛期には積極的に新曲をライブで演奏していたんですよっ! 前半はハードロック、後半はビリー・プレストン中心のファンキー大会という構成になっており、ミック・テイラーのギターはフュージョンしている瞬間までもっ!

A-5 Angie
 ご存知「哀しみのアンジー」です。ここではビリー・プレストンの生ピアノが泣いていますし、ミック・ジャガーのボーカルも芝居気たっぷり♪ ミック・テイラーとキース・リチャーズのギターの絡みも上手くいっています。そして大団円はビリー・プレストンのオルガンがっ! 本当に熟成したアレンジ&演奏です。

B-1 Honky Tonk Woman
 お待ちかね、ストーンズ十八番のノリが楽しめる名曲です。キース・リチャーズが変則チューニングのコード弾き、チャーリー・ワッツの恐いドラムスがキメですが、ミック・ジャガーのボーカルも力が入っています。
 そしてサビからはベース&ホーン、コーラスが一体となって怒涛のノリ! そこへミック・テイラーの流れるようなギターが執拗にからんでいくのです。
 間奏ではキース・リチャーズが毎度お約束のフレーズを弾き、後半は徐々にテンポが上がって痛快至極です。あぁ、最高だぁ~♪

B-2 Midnight Rambler
 当時のストーンズの恐いもの知らずの勢いが凝縮された、驚異的な演奏です。
 いきなりグイノリのリズムで突進していくバンドは、誰も止めることが出来ません。ビル・ワイマン&チャーリー・ワッツはキース・リチャーズのリズム・ギターに合わせているのでしょうか、どっかしらツンノメッタような不思議なグループが編み出されていくのです。
 そしてこのライブではビリー・プレンストンも大暴れ、オルガン&シンセで濃い味付けをしています。
 それにしてもこのテンポの設定とか変幻自在なノリは誰がリードしているのでしょうか? やっぱりキース・リチャーズでしょうか? 流石のミック・テイラーも悪戦苦闘していますが、徐々に余裕を取り戻し、あまり上手くないリズム・ギターを聞かせ、得意なブルース・ロックに引張っていくところが憎めません。
 う~ん、どうやらチャーリー・ワッツがカギを握る男か? とにかくバンド全体で観客を自在にノセてしまう、物凄い演奏です。

B-3 All Down The Line
 前曲の興奮をさらに加速させる怒涛のR&Rです。これを聞いてノレない人はストーンズを理解する能力が欠如していると、私は決め付けます。
 なにしろミック・ジャガーの荒っぽい歌、ビシバシのリズム隊、前半はスライド、後半は流麗なリードで大暴れするミック・テイラーの白熱ギター、轟音のようなホーン隊! 途中で演奏が暴走して破綻しそうになり、ミック・ジャガーが焦ったりするところまでもが素敵です。何度聞いても痛快です!

B-4 Street Fighting Man
 そして最後は暴動誘発曲がついに登場!
 この頃のキース・リチャーズは、まだちゃんとギターを弾いていたという証明でもあります。ミック・テイラーの物凄いギターソロにちゃんと合わせてサイドギターの役目を果たしていますからねっ♪ 最後はハードプログレになって大団円です。

ということで、これはストーンズのどんな公式ライブ盤よりも素晴らしい逸品です。しかもこれが出た少し後には、同一音源を使った拡大盤の「Nasty Music」というアナログ2枚組アルバムが登場し、海賊盤業界は一気に景気づくのです。

もちろんファンは、たまりません。同時期に来日公演が中止になっていた反動も加わって、こんな素晴らしいライブを聴かされては、ますます海賊盤地獄に落ちていくのでした……。

現在では、もちろん海賊盤ですがCD化もされております。あまりにも危ない道ではありますが、何か海賊盤を、とお考えならば、これか「Nasty Music」から聴いてみて下さい。1970年代ストーンズの物凄さが体験出来ますよ♪

コメント
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