OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

やっぱりフレディ・レッドが好き

2007-08-02 17:52:47 | Weblog

今日は暑くて、流石に参りました……。風も無く、これがフェーン現象なんでしょう。

樺太方面では大きな地震があったようですし、北海道や伊豆諸島あたりでも連鎖的な揺れが頻発し、やっぱり最近の気象はヘンテコです。

政治も大相撲の世界も可笑しいし、せめて個人がしっかりしないと、何かあったらどーしようも無いと、独り気分を引き締めておりますが、いやはやなんともの毎日ですねぇ。

ということで、本日は――

Freddie Redd In Sweden (Metronome / LHJ)

ジャズ者の琴線のふれる曲作りとシビアなピアノタッチで人気のフレディ・レッドが、1956年9月にスウェーデンで吹き込んだ音源を復刻したCDです。

ということは、先日ご紹介した「Tommy Potter's Hard Funk」と同じ時のセッションというわけですが、元々は3枚のEP盤として発売されていたものを、我国のテイチクレコードが1970年代にLPとして纏め、発売していた時期があります。このジャケットは、そのデザインの流用です。そしてそのLPですら、今や超幻のブツとして、海外のコレクターさえも血眼になって探していたのですから、これは嬉しい復刻!

個人的には大好きなピアニストなので、迷わずゲットして連日楽しんでいます。

ちなみに本篇は12曲で、ボーナストラックとして6曲が追加収録というのも、ニンマリです――

☆1956年9月5~18日録音
01 Dawn Mist 
02 Beautiful Adela 
03 I'll Remember April 
04 Reminiscing 
05 Get Happy 
06 Bye Bye, Blackbird
07 Blues X
08 People's Park 
09 A Night In Nalen 
10 Blue Hour 
11 Studio Blues 
12 Farewell To Sweden

 以上が、お目当ての演奏です。メンバーはフレディ・レッド(p)、トミー・ポッター(b)、ジョー・ハリス(ds) というトリオ編成♪ フレディ・レッドのオリジナル曲を中心としながらも、混ぜ込まれたスタンダードの選曲が実に興味津々です。
 まず「I'll Remember April」は定石どおり、テーマ部分にラテンビートを用いた楽しい展開を聞かせてくれますし、溌剌とした「Get Happy」の迫力が素晴らしいです。このあたりはビバップの基本を大切にしながらも、フレディ・レッドならではの「せつない」フレーズが要所で飛び出しますから、たまりません♪
 しかし、気になる「Bye Bye, Blackbird」は若干、期待はずれというか、妙にクラシック調のアレンジが??? まあ、このあたりは、誰しもマイルス・デイビス(tp) の名演が耳タコですからねぇ……。それでもアドリブパートではアップテンの快演に仕立てています。
 さて、肝心のオリジナルは、いずれも「哀愁」と「泣き」が滲み出た名曲ばかりです。まず冒頭「Dawn Mist」からして、そこはかとない雰囲気が不思議な魅力を発散させていますし、「Beautiful Adela」や「Reminiscing」、そして「Farewell To Sweden」の気分はロンリーな感覚も、たまりません♪
 もちろん正統派ビバップ魂を開示した「Blue Hour」、そして「Blues X」や「Studio Blues」のブルースフィーリングも素晴らしく、エキセントリックな一面も聞かせる「People's Park」も流石という演奏です。
 共演したトミー・ポッターとジョー・ハリスは、もちろん手堅い中にも刺激的な自己主張を忘れておらず、特にジョー・ハリスのメリハリの効いたドラミングは最高です。
 曲毎の演奏時間が3~4分程度なので物足りないところも確かにありますが、フレディ・レッドが独自の歌心を存分に聞かせてくれますから、その密度は濃厚! 充分に楽しめると思います。

☆1955年2月28日録音
13 Debut 
14 Lady J. Blues
15 Things We Did Last Summer
16 Ready Freddie
 ここからはボーナストラックで、まず上記4曲はプレスティッジに吹き込まれた初リーダーセッション! 当然、アメリカでの録音で、最初は10吋盤「フレディ・レッド・トリオ(Prestige 197)」に収められ、後に12吋LPとしても再発売された演奏です。
 メンバーはフレディ・レッド(p)、ジョン・オー(b)、ロン・ジェファーソン(ds) という、これもトリオ編成ですが、ここではスウェーデンの演奏に比べて、ややビバップ色が強く感じられます。もちろん1曲を除いて全てがフレディ・レッドのオリジナル曲なんですねぇ。
 しかし、その哀愁フィーリングは絶品♪ 特に「Debut」は、どうしてこんなに「泣き」のフレーズが弾けるのだろう……。と思わずにはいられません。デューク・ジョーダンが好きな皆様ならば、必ずや虜になると思います。
 それと唯一のスタンダード曲である「Things We Did Last Summer」が、これまたグッと惹きつけられる名演です。小粋でせつないテーマの解釈が全く自分好みなんですが、当に「あの夏の思い出」に相応しい仕上がりになっています。あぁ、何度聴いても、甘酸っぱいような青春の思い出が……。
 もちろん「Lady J. Blues」での黒くてシンプルな味わいや「Ready Freddie」での抑えたファンキー感覚は、これから後のハードバップ時代を予見させるに充分な出来だと思います。
 全体的に共演者が地味な雰囲気ですが、纏まりの良さは最高です。

☆1956年7月30日録音
17 I'll Remeber April 
18 These Foolish Things

 再びスウェーデンでのセッションですが、これは放送録音のライブセッションのようです。当然、音質は若干、落ちますが、問題無く聴けますので、ご安心下さい。多分、以前に「Dragon」というレーベルから出たものと同一のような気がします。
 で、メンバーは最初のセッションと同じトリオ編成ながら、やや精彩が感じられません。というよりも、本来ガンガンにやって欲しい「I'll Remeber April」が、どういうわけかシミジミと演奏されているんですねぇ……。まあ、これはこれでフレディ・レッドの個性には合っているような気も致しますが……。
 しかし続く「These Foolish Things」はトミー・ポッターを中心にしたアップテンポのアレンジで、バックには正体不明のホーン隊もいるような……。そしてトミー・ポッターのベースソロが素晴らしい限り! 歌いまくりのフレーズ展開に加えて、アタックの強いピチカートの魅力がたっぷりです。

ということで、これも非常に嬉しい復刻でした。リマスターも上々ですし、解説書には珍しい写真も掲載されています。

ただし、はっきり言うと地味な演奏集です。この手が好きなファンだけが、密かに聴いてニンマリするというブツかもしれません。それもジャズというマイナーな音楽の楽しみと言えば、ミもフタもありませんが……。

コメント (3)
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