なんだか、だる~い、1日でした。
休むでもなく、中途半端に仕事の連絡とかして……。
ケイタイは罪作りだなぁ~、昔は留守電だけでOKだったのに……。
ということで、本日は――
■Blue Soul / Blue Mitchell (Riverside)
決してジャズの歴史には残らないかもしれませんが、ブルー・ミッチェルが人気トランペッターだったのは、紛れも無い事実です。その楽暦ではホレス・シルバーのバンド時代が一番の輝きかもしれませんが、日常的な愛聴作品がリーダー盤に多いのも、また事実でしょう。
さて、このアルバムは名門リバーサイドでの2作目ということで、豪華メンバーによる2種類のセッションが収録されており、ひとつはブルー・ミッチェルのワンホーンカルテット、そしてもうひとつが3管編成のセクステットなのですが、これがけっこう意味深な仕上がりになった好盤♪
録音は1959年9月28日、メンバーはブルー・ミッチェル(tp)、カーティス・フラー(tb)、ジミー・ヒース(ts,arr)、ウイントン・ケリー(p)、サム・ジョーンズ(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds) という強力な面々に加えて、ベニー・ゴルソンがアレンジャーとして参画しています――
A-1 Minor Vamp / Sextet (Arr:Benny Golson)
カーティス・フラーのウルトラ人気盤「ブルースエット(Savoy)」でも演じられていた、所謂ゴルソンハーモニーの名曲ですが、それをここではベニー・ゴルソンのアレンジによる3管編成に拡大しているのですから、いきなり興味津々の演奏になっています。
つまりそれは、翌年に正式発足するゴルソン、フラー&アート・ファーマーをフロントに据えたジャズテットの予行演習!
ここではサム・ジョーンズのウォーキングベースをイントロに、メリハリの効いたホーンアンサンブルからお馴染みのテーマメロディが流れてくるあたりは、非常にスマートでハードボイルな雰囲気がいっぱいです。
そしてアドリブパートでは先発のブルー・ミッチェルがミュートで好演! その背後には、もちろん例のゴルソンハーモニーが付いていますし、ジミー・ヒースはプレスティッジ期のジョン・コルトレーンみたいな感じですねぇ~。さらにカーティス・フラーが素晴らしすぎる名演アドリブ♪ 擬似ジャズテットの目論見を見事に表現しています。
A-2 The Head / Sextet
ブルー・ミッチェルが書いたゴスペル調のオリジナル曲ですから、もちろん本人のアドリブは冴え渡りです。分かり易くてノリが良いという長所がモロに楽しいですねぇ♪
また実直に吹くまくるジミー・ヒース、弾みまくりのウイントン・ケリーも素晴らしく、3管編成といってもアドリブ中心という真正ハードバップの魅力が満喫出来ます。
フィリー・ジョーのドラムスも実に爽快!
A-3 The Way You Look Tonight / Qrartet
お馴染みのスタンダードをブルー・ミッチェルがアップテンポで吹きまくったカルテット演奏ですが、本当の主役はフィリー・ジョーの痛快なドラミングでしょう! あぁ、このクッションの効いたグルーヴは最高です。シンバルやハイハットとスネアのコンビーションを堪能出来る録音も素晴らしいですねぇ~♪
またウイントン・ケリーとサム・ジョーンズの伴奏も魅力がいっぱいですから、ブルー・ミッチェルも快演を聞かせてくれるのですが、ここは完全にリズム隊の勝利だと思います。、
A-4 Park Avenue Petite / Qrartet
これもカルテットの演奏ですが、結論から言うと、翌年に吹き込まれたジャズテットのデビュー盤で再演された哀愁の大名曲♪ それをブルー・ミッチェルが持ち前の歌心で既に演奏していたという事実だけで感動的です。
実際、ここでの演奏は心に染み入る大名演で、このあたりの事情は、後のブルーノート盤「Down With It」で演じた日野晧正の「Alone, Alone And Alone」にも通じる、奥深いものがあります。
いゃ~あ、それにしても、こういう曲を吹くブルー・ミッチェルは天下一品ですねぇ~~~♪
A-5 Top Shelf / Sextet (Arr:Jimmy Heath)
これもアレンジが効いた3管編成による演奏で、その作編曲はジミー・ヒースというのがミソでしょうか? この人も作曲家として、またアレンジャーとしての評価が演奏家としてのそれよりも高いみたいですが、しかし生硬に吹きまくるテナーサックスも初期のジョン・コルトレーン風で、私は好きです。
肝心のブルー・ミッチェルは、これも手堅い快演♪ もちろんリズム隊も素晴らしいと思います。
B-1 Waverley Street / Sextet (Arr:Jimmy Heath)
これがまたまた素晴らしい作編曲による3管編成の演奏です。そして魅惑のテーマメロディだけ聞いているとベニー・ゴルソン!? と思いきや、ジミー・ヒースのオリジナルでした!
あぁ、この哀愁のハードボイルドな雰囲気は、もう最高です♪ このメンバーにして、この名演奏! ジミー・ヒース、あんたは最高だ!
もちろんアドリブパートでは粘っこいウイントン・ケリーが強烈に素晴らしく、ダークなジミー・ヒースにホノボノとしたカーティス・フラー、さらにアレンジを上手く使ったブルー・ミッチェルの各人が上手さを発揮しています。
ただしラストテーマ部分ではテープ編集疑惑があるので、やや残念……。
B-2 Blue Soul / Qrartet
ブルー・ミッチェルが書いたアルバムタイトル曲は、ワンホーンによるシンプルなファンキーブルースなので、フィリー・ジョー以下のリズム隊も十八番のリックを多用して演奏を盛り上げていくあたりが、良い感じです。
もちろんブルー・ミッチェルは分かり易くて黒~いフレーズを連発していますし、ミディアムテンポでグルーヴするウイントン・ケリーの背後ではサム・ジョーンズが強烈なウォーキング♪ そのまま入るアドリブも短いながら、モダンジャズの雰囲気が横溢しています。
B-3 Polka Dots And Moonbeams / Sextet (Arr:Benny Golson)
個人的に大好きなスタンダード曲をベニー・ゴルソンの3管アレンジで聞けるという贅沢な演奏です。カーティス・フラーの暖かい音色が実に効果的ですねぇ~♪
ブルー・ミッチェルはテーマメロディのリードから、その変奏に近いアドリブまで安らぎモードの名演ですが、やはり背後を彩るゴルソンハーモニーのアレンジが聞きどころでしょうか。
そして、こういうシミジミとした中にも情感たっぷりの演奏が得意なウイントン・ケリーが実力を発揮しています。
B-4 Nica's Dream / Sextet (Arr:Benny Golson)
オーラスはブルー・ミッチェルの当時のボスだったホレス・シルバー(p) の名曲をベニー・ゴルソンがアレンジして聞かせてくれるのですから、たまりません♪
あぁ、なんて素敵なんでしょう♪ 哀愁のテーマメロディにラテンのリズム、暖かいハーモニーと泣きのトランペット! まさにモダンジャズの魅力がいっぱいです。これはもう、ハードバップじゃなくてソフトバップですねっ!
しかしアドリブパートではオトボケ抜きのカーティス・フラー、ミュートで迫るブルー・ミッチェルが、やや生真面目過ぎる感があります。凝ったアレンジも、やや鬱陶しいかもしれません。
ということで、なかなかの名演集だと思います。しかし1曲あたりの演奏時間が短くて物足りない雰囲気も……。これは恐らくジュークボックス用のシングル盤を作る目論見があったのかもしれません。それは翌年発足するジャズテットになって、ますます顕著になる傾向でもありますから、一概には否定出来ません。
つまり全盛期を迎えていたハードバップ~ファンキージャズを一層、大衆化しようとする企画であり、これは当時の流れでした。実際、この当時はモダンジャズのシングル盤がどっさり出回っていたのです。
しかしジャズ喫茶文化がある我国の特殊事情では、長いアドリブが至上の愛という感じですからねぇ……。このアルバムが評論家の先生方にそれほど評価されていないのも頷けますが、それはまあ、自宅で鑑賞して結果オーライの名盤という証かもしれません。
個人的には大いに気に入っています♪