OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

旅の終りに

2007-05-10 18:08:04 | Weblog

マレーの某ホテル、宿泊の部屋にはヤモリが出没しています。壁や天井に張り付いたり、スリッパの中に潜んでいたり……。けっこう、何匹もいるんですよ。

こんな時、猫がいたら、ヤモリ退治に大活躍してくれると思うんですが……。

まあ、明日は帰国出来そうなんで、やれやれです。

ということで、南国の宿では、こんなん聴いてました――

Arching / Olivier Antunes & Jesper Lundgaard (Music Mecca)

Olivier Antunes は私のお気に入りのピアニストで、どうやらフランス生まれのデンマーク育ち(?)らしいのですが、そんなことは、どーでもよいでしょう。

とにかく清涼感のあるピアノタッチ、優しい歌心、しかし硬派な一面もあって、安易に妥協しない姿勢に好感が持てます。

このプログでも既に取上げた「This Is Uncle Al / Jesper Thilo」とか「Eugene Pao & Mads Vinging Trio」ではサイドメンとして素晴らしい力量を発揮して、私のハートを鷲掴みにしたんですねぇ~♪

このアルバムは2005年9月に録音されたCDで、ベテランのベース奏者=Jesper Lundgaard とのデュオで通した小気味良い仕上がりになっています。しかも演目が、これまた素敵――

01 Giv mig Gud en salmetunge
02 The Old Country
03 Jeg ser de bogeluse oer
04 Come Sunday
05 Reunion Blues
06 Estate
07 Lad det klinge sodt i sky
08 It's Me, Oh Lord
09 Mit hjerte altid vanker
10 Tit er jeg glad
11 Hjerte, loft din glaedes vinger
12 Autumn Leaves
13 Kirken den er et gammelit hus
14 Hymn To Freedom
15 I Danmark er jeg fodt

有名曲に混じって、たぶんデンマークあたりの民謡とか童謡、流行歌が取上げられていますが、いずれも琴線にふれまくりという美メロのテーマが素敵です。もちろんアドリブしていく2人は、時に絡み合い、信頼しあっての男の世界です。

「強くなければ生きられない、優しくなければ生きている資格がない」というチャンドラーの世界にも通ずるハードボイルドな部分さえ感じられます。

しかし基本は安らぎ追求でしょう♪ 和みの世界がトータル67分36秒、繰り広げられ、仄かな余韻も心地良いという、ほのぼの盤になっています。

もちろんジャズ本来のスリルとサスペンスも抜かりなく、ナット・アダレーが書いて、今や哀愁ジャズの決定版となった「The Old Country」は期待通りの快演ですし、夏の終りの失恋のような「Estate」もジンワリと効いてきます。

またお目当ての「Autumn Leaves」はスローな出だしから自由なサポートに撤するベースとのコンビネーションが最高で、自然体のグルーヴが良いですねぇ~♪

気になるオスカー・ピーターソン関連の2曲「Reunion Blues」と「Hymn To Freedom」は、ちょっと爽やか過ぎるというか、軽い雰囲気が優先されていますが、全体の流れの中では正解でしょうか……。個人的には、もっとグイグイ・ドロドロにやって欲しかったのですが、まあ、それでもモダンジャズのお手本のようなフレーズが次々に飛び出すという仕掛けは痛快です。

民謡関連の曲では、なんといっても冒頭の「Giv mig Gud en salmetunge」が泣きそうになるほど胸キュンなテーマメロディ♪ もちろんアドリブパートでテンポを上げて綴られる美メロの涼風には、何度聴いても、やられます♪ ちょっとクラシック系のピアノタッチも実に良いですし、ベースの Jesper Lundgaard の妙技には、このアルバム全体の良さが保証されていると思います。

そしてオーラスの「I Danmark er jeg fodt」も、不思議にせつない名曲です。ちょっと欧州キリスト教会音楽のようでもあり、静謐な気分にさせられてしまうんですねぇ~。

しかし、この素敵な演奏集にも欠点があります。それは、あまりに快適すぎて、マジ聴きしていると飽きてしまうという……。

ですから、これは所謂ながら聴きが一番♪ お洒落なカフェとか旅先のホテルとか、あるいは日常的な自宅でのブルーな朝にも最適です。

気分はロンリーでも、爽やかな心持を求めて間違いない、これは素敵なアルバムです。


蒸し暑い転石

2007-05-09 17:25:01 | Weblog

日本では今年一番の暑さになったそうですが、こっちは当然、蒸し暑いです。

ということで本日は、これに逃げ込んだという――

An Afternoon In Munich / Rolling Stones (SODD)

旅の空でもストーンズは止められない! これ、本音です。

さて、このCDは最近入手した海賊盤で、ストーンズのライブ最強時代から、これまで未発表とされていた音源です。

録音は1973年9月28日の1st show ♪ 2nd show は、これまで出回っていましたし、音質はともかくとして、時期的に演奏は極上ということで、これは期待が大きかったです。しかもメーカーの言として、当時としては優良な機材でのオーディエンス録音であり、ミック・テイラーのギターが綺麗に録れている……云々ですからねぇ~、ついつい気持ち良く騙されてしまいましたですよ。

で、結論から言うと、音質はまあまあ……。確かにミック・テイラーのギターが聞こえところは大きく聞こえますが、キース・リチャーズのギターもかなり大きく聞こえます。それよりもミック・ジャガーのボーカルがバッチリ聞こえすぎで、ミスというか、この日はハシリ気味! 演目は以下のとおりです――

01 Brown Sugar
02 Gimme Shelter
03 Happy
04 Tumbling Dice
05 Star Star
06 Dancing With Mr.D
07 Angie
08 You Can't Always Get What You Want
09 Midnight Rambler
10 Honky Tonk Women
11 All Down The Line
12 Rip This Joint
13 Jumping Jack Flash
14 Street Fighting Man

「Gimme Shelter」でのミック・テイラーのギターは何時もながら壮絶ですが、この時はイマイチ、テンションが低いでしょうか……。この傾向が最後まで続くのが残念です。まあ、バンド全体も若干ですがダレ気味というか、軽いタッチなんですねぇ。1日2回公演じゃ、しかたないかもしれません。

ところで、このブツには初回盤だけオマケが付いていて、これが良いんです。

それは同じ欧州巡業から、1973年9月19日の英国バーミンガム公演の音源をリマスターしたCD-R♪ これはアナログ盤時代から優良音源として有名でしたが、如何せん、ピッチが遅くて問題ありでした。

ところが、最近になって各メーカーから演奏スピードを修整したブツが出始めていましたが、所々で音圧が不安定だったり、特に左チャンネルのドロップアウトがあったりして……。

それをここでは、限りなくモノラルに近いミックスにしてありますが、音質は初心者でも満足のオーディエンス録音となり、もちろん演奏はド迫力!

演目は上記といっしょですが、テンションの高さは比較にならないほど! と言ったら褒めすぎですが、やっぱりこの時期のストーンズはライブ最強時代ですねっ♪

ということで、こんなものを聴かなきゃならないほどに、蒸し暑い日……。あさってには帰れそうですが……。


熱血トリオ!

2007-05-08 18:09:45 | Weblog

無事にマレー到着です。

それにしても蒸し暑い! 冷房あっても汗びっしょりです。

メシを喰ったりすると、余計に汗が噴出してくるので、冷たいウーロン茶みたいな飲物をカブ飲み状態……。

ということで、本日は逆効果の熱~い、これを――

Black Vision / David Gazarov (Skip)

David Gazarov については、何も知らない私ですが、名前からしてロシア系のピアニストでしょうか?

それでもこのCDをゲットしたのは、例によって演目とジャケットデザイン♪ 太い態度の本人のポートレートはともかくとして、3面見開きのデジパック仕様が、ねぇ~♪

で、結果は大正解! ガンガン、ビシビシの正統派ピアノトリオ作品でした。もちろんスロー系の演奏では優しくも浮遊感のある表現が♪ 録音も私の好みの歯切れの良さがあります。

録音日は残念ながらジャケットに記載してないのですが、どうやら発売されたのは2000年らしく、私が入手したのは2002年でした。

メンバーは David Gazarov(p)、Chris Lachotta(b)、Keith Copeland(ds) となっています――

01 Lazybird
 ジョン・コルトレーンが名盤「ブルートレイン(Blue Note)」で歴史的名演を残しているウルトラ級のハードバップ・オリジナルに、敢然と挑んでいます。
 なにしろイントロ初っ端からトリオ全員がブッ飛びっぱなし! バリバリと硬質に迫るピアノ、野太いベース、トニー・ウィリアムスとアート・テイラーを足したようなパワー抜群のドラムスという、全く私好みがビッシリです♪ もうこれを聴いた瞬間、このアルバムは間違い無し! と独り納得してしまったですよ♪
 全篇で暴れるドラムスの Keith Copeland が、実に良いですねぇ~♪

02 Like Someone In Love
 ビシッと終わった前曲を受けて、フワァ~とテーマを弾き始める David Gazarov ♪ もちろんこれはアルバム構成の詐術なんでしょうが、最高にキマッています♪ テーマをソロピアノで変奏し、ドラムスとベースを呼び込んでからのグルーヴィなノリは、常套手段とはいえ、トリオの躍動感が抜群ですから、たまりません。メリハリがバッチリという、些か古臭い表現がピッタリです。
 そしてアドリブパートでは、この有名スタンダード曲のキモと美味しい部分を徹底抽出したような、素晴らしい美メロと仄かなブルースフィーリングが最高に好ましい という、David Gazarov の名人芸ピアノが存分に楽しめるのでした。

03 For My Mom
 おぉ、これはキース・ジャレットか!?
 と思ってしまうほどに、清涼感溢れる美しい演奏です。しかもあの唸り声が聞こえませんから、個人的にはずぅ~~っと好きです。
 まあ、それはそれとして、密かにロックビートを内包したドラムスも繊細ですし、ベースは若干、音程が危なくなっていますが、トリオが一体になったノリが素晴らしいですから、結果オーライだと思います。
 う~ん、録音も本当に素晴らしいですねぇ~♪ 終盤のピアノを中心とした盛り上がりも嫌味なく、しかも過激に録られていますから、聴いていてグッと熱くさせられてしまいます。良いなぁ~~~♪

04 Solar
 マイルス・デイビスが1950年代に書いた屈折のオリジナル曲なので、ここではビバップ魂全開の力演が展開されています。
 そのキモは Keith Copeland のハチャメチャ寸前の暴れ太鼓! ロックを基準とした4ビートという、妙な感想しか書けないですが♪
 しかし David Gazarov はマイペースを貫き通し、ロクにテーマも弾かないですから、これが本当に、あの曲? と思うまもなく、トリオは過激なアドリブ地獄に入り込んでいるというわけです。もちろんノリは自然に4ビートへ移行しているんですねぇ~♪
 抽象的な仕上がりとはいえ、モダンジャズのエッセンスを濃厚に感じてしまいます。

05 Black Vision
 アルバムタイトル曲は、David Gazarov が書いた10分超の大作です。
 ゆったりとしたビートの中で、まず Chris Lachotta がアルコ弾きで雰囲気を出し、土人の太鼓のような Keith Copeland の変態ビートの中で、David Gazarov が宇宙空間を漂流するような幻想ピアノに撤していきます。
 なんかこのあたりは、英国ジャズのプログレ化という感じになっていきますが、正直言って聴き続けるのが苦痛になったその刹那、妙なスイング感に全体が支配されていることに気づいてしまうという、些か苦しい言い訳のような演奏です。
 でも、きっと凄いことをやっているんでしょうねぇ……。

06 Purity
 そして前曲のモヤモヤをブッ飛ばすのが、この演奏です。
 とにかく猛烈なエネルギー、どうにもとまらない勢いが最高です! これを聴いて熱くならなかったら、ジャズを感じる体質では無いと、暴言吐いてしまいますよっ、私は! あぁ、強烈にドライブしまくるトリオの凄み!
 当にハードバップ~モードの極みです。爆発的な Keith Copeland のドラムス、疾走して燃え尽きる寸前の David Gazarov のバリバリビアノ、グイノリに撤する Chris Lachotta のベースも烈しいですねぇ~♪ 最高です!

07 Round Midnight
 セロニアス・モンクが書いたモダンジャスそのものという大名曲ですから、この世にジャズがある限り、夥しいバージョンが名演となりうる可能性を秘めているのですが、この新鮮な解釈には、ちょっと脱帽です。
 全篇がソロピアノ演奏ですが、テーマのバリエーションから始まって、全体のメリハリやメロディフェイクが素晴らしいの一言です♪

08 Lotus Blossom
 これまた私好みの有名スタンダード曲なので、嬉しくなりますねぇ~♪
 もちろん David Gazarov はオリジナルに秘められた優しい想いを大切に演奏してくれます。まぁ、ちょっとビル・エバンスになっているところもありますが、硬派なドラムスとベースに支えられ、あくまでも歌心優先に展開されるところは、やっぱり素敵です♪

09 Little Sunflower
 フレディ・ハバードが書いた隠れヒット曲で、ハードバップにもフュージョンにも、如何様にも解釈可能という汎用性の高さがキモですから、ひとつ間違えるとイモ演奏になると思うんですが、流石に David Gazarov はハズしていません。
 擬似ボサロック調のノリでありながら、音数を切詰めて「間」を活かしていく David Gazarov のピアノタッチとアドリブは、本当に気持ち良いです♪ う~ん、このあたりはアーマッド・ジャマル・トリオの現代版でしょうか? 本当に魅惑のメロディしか出てこないという感じで、とにかく飽きません♪

10 Freedom Jazzdance
 さてオーラスは、マイルス・デイビスも取上げた過激系ジャズオリジナル!
 もちろん、このトリオは最初っからガンガンに突進していきますが、特に Keith Copeland のドラムスが烈しすぎます! なにせ、ついつい David Gazarov までがフリー系に走りそうになるんですよっ!
 しかし、ハッと目が覚めたかのように、中盤でグルーヴィな展開に持っていき、満を持して高速4ビートに導いていくあたりは、流石 David Gazarov の実力発揮の名場面でしょう。
 当然、終盤では、Keith Copeland の爆裂ドラムソロが用意されています。ここはスピーカーがブチ壊れそうな音圧で聴きたいですねぇ~~~。

ということで、珍しいほど硬質のビアノトリオ盤ですから、見つけたら即ゲットをオススメ致します。もちろん個人的には、David Gazarov が聴ける他の作品を探しているんですが、どうも……。

こんな凄いピアニストが埋もれているんですから、世界は広いと、今更ながらです。


衝撃の訃報

2007-05-07 17:37:13 | Weblog

いろいろとネットでニュースを漁っていたら、驚愕!

なんとウルトラセブンのソガ隊員こと、阿知波信介氏の訃報がっ!

それも行方不明騒ぎから鹿児島県の有名な滝に投身自殺とみられるなんて……。

う~ん、故人は美人女優の多岐川裕美と結婚し、さらに大手プロダクション経営、美貌の愛娘も女優業に進むなど、良い人生だったと周囲からはみられていたはずなんですが……。

もちろん離婚もありましたし、最近では病気(脳梗塞?)に苦しんでおられたようですが……。

とにかくショックです。

特に私の世代では、ウルトラセブンのソガ隊員というクールで熱いイメージが圧倒的でしたからねぇ……。

あぁ、それと名優の北村和夫も天国へ召されたとか……。

よって本日は歌舞音曲は自粛させていただきます。

そして衷心より御冥福をお祈り致します。合掌。


やっぱりジョー・ニューマン

2007-05-06 15:44:55 | Weblog

さて、上海に無事到着です。

それにしても思ったのは、中国人のケイタイ好きというか、ひとりで2~3台持っているビジネスマンが少なくないということです。かえって非効率な気がしますが……。

ということで、本日はジャンルを越えて楽しい――

Joe Newman At Count Basie's (Mercury)

ジョー・ニューマンという黒人トランペッターは、1940年代中頃にカウント・ベイシー楽団に入り、以降、出入りを繰り返しますが、1950年代の所謂「アトミックバンド」ではバリバリの看板として大活躍した人気者です。

そのスタイルは中間派と称されるモダンスイングなんでしょうが、実はそんなジャンル別けを超越した存在で、実際、ビバップ~ハードバップのセッションも全く自己のペースで吹いて、何の違和感も与えない名人ですし、夥しいスタジオの仕事では、ポピュラー系に止まらずR&B~ソウル、ロック~フュージョンまで楽々とやっている真の実力者です。

このアルバムも、そのあたりの長所が存分に発揮された名演集でしょう。

録音は1961年、ニューヨークにあった「カウント・ベイシーの店」におけるライブ演奏で、メンバーはジョー・ニューマン(tp)、オリバー・ネルソン(ts)、ロイド・メイヤーズ(p)、アート・デイビス(b)、エド・ショーネシー(ds) という、一見怖ろしいまでのミスマッチになっていますが――

A-1 Caravan
 デューク・エリントンの、と言うよりも、我国ではエレキバンドのヴェンチャーズが十八番の演目として有名な、エキゾチック系の名曲です。
 それ故にジャズでは、けっこう悠長な演奏になることが多いのですが、しかし嬉しいことに、ここではヴェンチャーズっぽいノリという白熱のハードバップ♪ 初っ端からエド・ショーネシーのド迫力ドラムスに煽られて、ジョー・ニューマンが快適に飛ばします。
 さらに続くオリバー・ネルソンのパートになると、雰囲気が一変というか、突如としてモード系の演奏になり、奥深くシンプルなリフも導入して、パワフルに突進するテナーサックスが痛快です! エド・ショーネシーのドラムスもジミー・コブのようなメリハリがあって、最高ですねぇ~♪
 またロイド・メイヤースが黒~いピアノに撤しているあたりも高得点! ジュニア・マンスのような小気味良いファンキー味が、なんとも言えません。終盤にはモードの「マイルストーン」をやらかしてしまうんですねぇ~♪
 そしてアート・デイビスが驚異的にミスマッチなベースソロを聞かせてくれます。この人は前年までジョン・コルトレーンのバンドでレギュラーだったという、当時最前線の新感覚派ですからねぇ~、さもありなんです。
 演奏はこの後、ジョー・ニューマンのミュートトランペットが見事にラストテーマへ引き戻す荒業を発揮して終わりますが、バンドの一体感も見事だと思います。

A-2 Love Is Here To Stay
 これはジョー・ニューマンがミュートトランペットで一人舞台♪ 和んで泣ける、スタンダードの名解釈になっていますが、このあたりはマイルス・デイビスと比較して、優るとも劣らない味の世界だと思います。
 控えめなリズム隊も流石に強靭なビートを出していますし、アート・デイビスが地味に凄いです。
 ワイワイガヤガヤのお客さんも楽しさの証でしょうか……?

A-3 Someone To Love
 これは有名なブルースバラードですから、黒~い泣きの世界に、たっぷりと浸れます。もちろんジョー・ニューマンはミュートで熱演! ここでも一人舞台で演じるタメとコブシの世界は、ギリギリのクサ味が満点です。
 またここでもリズム隊が秀逸で、自由奔放なアート・デイビスのベースに対し、じっくりとビートを醸し出していくエド・ショーネシーの存在感が光ります。

B-1 The Midgets
 カウント・ベイシー楽団でも自己のショーケースにしていた、ジョー・ニューマンのオリジナルブルースですから、当然、ここでも大熱演! 野太いアート・デイビスのベースとビシッとキメるエド・ショーネシーのドラムスにリードされ、最初っから熱くなっているパンド全体のグルーヴが強烈です。
 アドリブパートでは、もちろん先発のジョー・ニューマンが十八番のフレーズを出し惜しみせずに突進すれば、続くオリバー・ネルソンは先走ってバランスを崩しつつも、独特のモード系ソロに徹していきます。
 ちなみに当時のオリバー・ネルソンはモダンジャズ屈指の名盤「ブルースの真実(Impulse)」を製作していたという上昇期でしたねっ!
 演奏は後半になってピアノとドラムスの大暴れで盛り上がりますが、唐突な終わり方は、ちょっと勿体無い感じです。

B-2 On Green Dolphin Street
 おぉ、ジョー・ニューマンがミュートでマイルス・デイビスに挑戦という企画ですかっ! しかも見事に答えを出していますから、たまりません。
 まず、テーマメロディの歌いまわしがマイルス・デイビスと似て非なる味の世界♪ 続くオリバー・ネルソンはウェイン・ショーターっぽい表現になっていますが、これも結果オーライでしょうか。
 実は2人のフロント陣よりも、ドラムスのエド・ショーネシーがビシバシにキメまくりで、実に良いです。この人も中間派~ビックバンドや歌伴まで幅広い活躍をしていますが、このアルバムのような尖がったセッションでも凄いという、本当の名人だと思います。
 演奏は続いてアート・デイビスの素晴らしいベースソロに繋がりますが、ここはテープ編集でピアノソロがカットされた疑惑が濃厚……。まあ、いいか……。

B-3 Wednesday's Blues
 さてオーラスはファンキーな大ブルース大会です♪ エド・ショーネシーがゴスペル調のドラムスに撤しているのも憎めません。
 そしてまずロイド・メイヤーズが、俺に任せろのファンキー節を存分に弾きまくりです♪ あぁ、この暗黒のグルーヴは最高です。
 すると、ジョー・ニューマンが、俺ならこう出るという、最高のオトボケ節! そのまんま自分だけの節を吹きまくりという、完全な味の世界を展開してくれます。リズム隊との息の合い方にも、グッときますねっ!
 すると続くオリバー・ネルソンが、全く自分だけのモード節♪ 書き譜のようなシンプルなフレーズの積み重ねで山場を作るという遣り口は、前述した「ブルースの真実(Impulse)」で聞かせる手を同じではありますが……♪
 またアート・デイビスの悠然たるベースも素晴らしく、ラストテーマでの熱血演奏を見事に導いていくのでした。

ということで、これはモダンジャズの楽しさに満ち溢れたアルバムです。というよりもジョー・ニューマンは、その名のとおり、古くて新しい人♪ 中間派とか、そんな呼称は必要ないですねぇ。


おやじの日

2007-05-05 17:07:46 | Weblog

ふうふう、どうにかこうにか、おやじバンドのデビューライブ終了です。

冷や汗、たっぷりとかきました。

もちろん出来は良くなかったですが、けっこうウケたのには恥ずかしいやら、嬉しいやらです。特にラストにやった「バン・バン・バン」は、GSの最高峰=スパイダースのオリジナルですが、演奏していて自分らが楽しかったという、いやはやなんともで、バンドメンバー全員が反省しきりでしたとさ……。

全く、子供の日じゃなくて、おやじの日でしたよ。

ということで、本日は――

Bill Evans Trio Live In Oslo 1966 (Impro-Jazz)

最近、意欲的に素晴らしい映像作品を発掘発売してくる Impro-Jazz が、またまたやってくれました♪

タイトルはビル・エバンス・トリオが1966年のライブDVDということになっていますが、この部分は、他の国々でも出ていますし、これまでもブートビデオで接することが出来た演奏です。

ところが嬉しいことに、このブツにはボーナスマテリアルとして、恐るべきマニア泣かせの映像が入っていました♪

で、それに触れる前に、まずは前半から――

Live In Oslo, Norway, 1966年10月28日

 当時の欧州巡業から、ノルウェーはオスロでの公演をモノクロ映像に収めています。
 メンバーはビル・エバンス(p)、エディ・ゴメス(b) に加えて、デンマークを中心に活躍している駆け出し時代のアレックス・リール(ds) が、神妙にトリオの一角を務めています。そして演目は以下――

01 Very Early
02 Stella By Starlight
03 If You Could See Me Now
04 Autumn Leaves
05 Time Remembered
06 Nardis
07 Five

 お馴染みの演目ばかりですから、いちいち書くまでもなく、絶好調のエバンス節が存分に楽しめます。映像で観ると、ちょっと斜に構え、うつむき加減にピアノに向かうビル・エバンスが、写真で見たとおりのカッコ良さ♪ というか、あきらかに自分に自信があってのジコチュウモードでしょうか。
 またエディ・ゴメスも、この頃はまだまだ新鮮味があったというか、トリオ全体を震わせる様な緊張感を発散させています。映像ではベースの弦を弾く指先と手の動きが、グ~ンとアップにされる場面もあり、意外と繊細な音使いに驚嘆!
 それとアレックス・リールはブラシに撤していますが、臨時雇いとはいえ、当時の最高峰トリオに入っただけの実力を完全に披露しています。けっこう強いビート感は、この頃からの特徴だったんですねぇ。惜しむらくはスティックでの見せ場が無いことでしょうか……。
 まあ、全体に安心してビル・エバンスの世界に浸りきることが出来ます。

★ニュージャージーのローカルテレビ放送、1971年9月

 これが愕きのオマケです。アメリカのローカルテレビ局が制作したスタジオライブ番組で、全国放送ではなかったようですから、これまで公式に発表されなかった映像・演奏だと思いますが、実は局地的にブートビデオが流通していたようです。しかし、その品質は最低で、特に音が歪んで割れっ放しだったいう極悪なブツでした。
 ところが今回はリマスターで、どうにかイケるところまで来ています。
 メンバーはビル・エバンス(p)、エディ・ゴメス(b)、マーティ・モレル(ds) という、1970年代前半のレギュラートリオで、演目は以下のとおりです――

08 Waltz For Debby
09 How My Heart Sings
10 Gloria's Step
11 Interview
12 Time Rememberes
13 My Romance

 こちらはカラー映像で、まず驚かされるのが、トリオのメンバー全員が長髪&ヒゲという、まさに当時ならではの風貌になっていることです。もちろん服装もラフ! ちなみに前半=1966年ではスーツビシッとキメて、ヘアスタイルもきちんと整髪していましたからねぇ~。
 肝心の演奏は、まずお目当ての「Waltz For Debby」は番組のテーマ的な短いものですし、ラストの「My Romance」は番組終了に合わせてフェードアウトしていますが、その他は気合満点♪
 トリオとしては、マーティ・モレルが参加して1年たっていない時期なので、パワフルな中にもバランスの悪いところもありますが、逆にそこが新鮮というか、如何にもジャズの面白みがあります。
 特に「Gloria's Step」が良いですねぇ~♪ あと「How My Heart Sings」の手馴れた感じとか♪
 それと中盤に5分ほどのインタビューが入っていて、ロックに対する考え方とかグラミー賞の件とか、ビル・エバンスは冷静を装いながら、けっこう熱い思いを吐露しています。字幕はありませんが、難しい英語ではないので、解りますよ。

ということで、ビル・エバンスとしては、それなりの出来とはいえ、やはり全盛期の映像は貴重ですから自然に楽しんでしまいます。ちなみにここで「全盛期」と書きましたが、このトリオは何時だって全盛期でした! あとはスコット・ラファロが居た時代の映像でも出てきたら、文句なしに発狂でしょうねっ!

そして、これからこの映像作品をゲットされる皆様には、後半のボーナス映像を含んだ、このブツをオススメ致します。もちろん「リージョンオール」になっていますよっ♪


バンドは団結が大切

2007-05-04 18:03:30 | Weblog

あぁ、いよいよ明日はおやじバンドのステージがあります。

連日の練習で、どうにか纏まってきましたんで、今夜は最終の演目決めと練習です。そして結局、上手いとか下手といか言う前に、バンド全員の団結力というか一体感が必要なのだっ! と開き直っています。

ということで、本日はそういう男気の世界を――

Max Leaps In / Massimo Urbani (Philology)

Masimo Urbani はイタリアのサックス奏者で、多分、マッシモ・ウルバーニと発音するんでしょうか? まあ、それはそれとして、とてもつもない実力持った天才でした。

「でした」と書いたのは、既に故人……。1993年に36歳で亡くなっているのですが、その生き様は壮絶というか、麻薬に溺れ、世渡りもヘタクソだったと言われています。もちろん死因は赤貧の中での薬物過剰摂取でした。

その Masimo Urbani は主にアルトサックスを吹くことが多く、どうしてもモダンジャズを創成した天才チャーリー・バーカーとイメージがダブリますが、その演奏スタイルと猛烈なエネルギーの発散も、良く似ています。

ただし本格的な活動は1970年代からなので、そこにフィル・ウッズやエリック・ドルフィー、ジョン・コルトレーンあたりの影響も当然混じっており、それを見事に自分のスタイルに変換し、纏め上げたあたりは、やはり天才だと思います。

ちなみに Masimo とは英語で Maximum という意味らしいですね。

さて、このアルバムは Masimo Urbani の死後に発売されたライブ盤で、録音は1983年9月26日、メンバーはMasimo Urbani(as)、Mike Melillo(p)、Massimo Moriconi(b)、Tullio De Piscopo(ds) という発掘音源のCDです――

01 Lester Leaps In
 モダンジャズ以前にモダンジャズを感じさせたテナーサックス奏者のレスター・ヤングのオリジナル曲で、いまでは純正ジャズの定番曲となっていますから、まさにこういうライブでサックス奏者が腕前を披露するには、うってつけ!
 Masimo Urbani 以下バンド全員が、ここでは火の出るような勢いで演奏に没頭しています。
 それはまず、いきなりの無伴奏アルトソロからリズム隊を呼び込んでの猛烈疾走! ビリビリに泣いて唸って暴走する Masimo Urbani! バックの面々も必死で追いかける展開には唖然とさせられます。なんか聴いているうちに、こんなに急いで、どうすんの!? と思わざるをえませんが、終盤のドラムスとの掛け合いとか、ラストテーマのケレンとかがあると、納得させられてしまうのでした。

02 Sophisticated Lady
 デューク・エリントンの代表的な名曲を、ここでもビリビリ・ジルジルに泣きまくって熱く演奏する Masimo Urbani という存在は、いやはやなんともです。あぁ、この執拗なテーマ吹奏には情念を超えた自己主張があるんでしょうか……。
 続く Mike Melillo のフリー気味のピアノによるアドリブさえ、分かり易く聞こえてしまいますが、明らかにジャズの魅力に溢れた演奏です。なにしろ聞いているうちに、ぐぅ~~~っとその世界に引込まれてしまいますからねぇ。
 あぁ、Masimo Urbani のアルトサックスの鳴りの凄さ、濃~い歌心、熱き心に感じないで、どうしていられましょうかっ!

03 Scrapple From The Apple
 おぉ、チャーリー・パーカーが神業を残したオリジナルに敢然と挑戦する Masimo Urbani とあっては、興奮しないではいられません。テーマが終わってアドリブに入る瞬間、誰かが唸り声をあげでしまいますが、わかりますねぇ~♪
 もちろん以降は怒濤のバップ大会! 炸裂するドラムス、うねるベースに煽られて、Masimo Urbani は烈しく咆哮していきます。的確な伴奏に撤する Mike Melillo も良い感じで、泣くだけ泣いたアルトサックスを優しく抱擁するような懐の深さが、男の世界でしょうか。
 終盤にはアルト対ドラムスの対決が、楽しいお約束になっています。

04 Light Blue
 これもモダンジャズを創成した天才ピアニスト=セロニアス・モンクのオリジナルですから、Mike Melillo が実に味のある変奏モンク節に撤して、最高です。グリグリに絡んでくるベースとドラムスからも男気が感じられますねぇ。
 ちなみに Masimo Urbani は一休みです。

05 I Love You
 多くのアルトサックス奏者に取上げられることが多い人気スタンダードで、もちろん Masimo Urbani は見事に答えを出しています。
 まずテーマ部分では余計な小細工をせず、アドリブに入ってから存分に泣きわめき! やや型にはまった感が無きにしも非ずですが、ド派手な咆哮とジルジルというキメの音色あたりは、やはり天才にしか出来ないワザだと思います。
 アップテンポでツッコミが烈しいリズム隊も侮れず、彼等だけの演奏になってからのフリーな展開とか自由な発想は、Masimo Urbani に負けないイマジネーションがあります。つまりワザとらしくないんですねぇ。

06 Blue Monk
 これまたセロニアス・モンクが書いた、妙に和んでしまうブルースです。
 ゆるやかなテンポの中を、モンクの代役を務めたような Mike Melillo が実に素晴らしく、伴奏にアドリブに実力を存分に発揮した畢生の名演!
 もちろん Masimo Urbani はブルースとビバップの魂を極限まで拡大解釈した演奏に撤していきます。あぁ、何度聴いても心の底から熱くさせられてしまいます! このアルトサックスの鳴り! それだけで感動的なのです!
 そして既に述べたように Mike Melillo も大熱演♪ 終盤でテンポアップした4ビートへ持っていくあたりの展開にはゾクゾクさせられます。
 さらにベースの Massimo Moriconi も快演で、このアルバムの目玉演奏になっているのでした。

07 Night In Tunisia
 またまたモダンジャズでは定番の名曲ですが、ここでは変態ロックビートを使ったアグレッシブな演奏にしています。ちなみにこういう展開はジョニー・グリフィンあたりも使う手なので、珍しくもありませんが、このバンドのようにエキセントリックな味が濃いと、それも正解になっています。
 もちろん急速4ビートも交えて展開されるアドリブパートでは Masimo Urbani が大爆発のやけっぱち! 烈しい咆哮と大袈裟な泣きは、聴いていてクドイほどですが、これが実は心地良いクドさなんですねぇ。ギトギトのラーメンのような♪
 またリズム隊の奮闘も特筆されるべきでしょう。Mike Melillo が十八番の擬似フリーを出すのもニクイところですし、ベースとドラムスが存在のアドリブのような完成されたコンビネーションを披露するあたりも、楽しいです♪

08 Cherokee
 亜ァ、大団円が、この曲だなんてっ!
 もちろんスタンダードなんですが、歴史的にはチャーリー・パーカーがビバップ創成のカギを掴んだコード進行と言われていますから、ここでの猛烈な演奏は明らかにそれを意識したものでしょう。
 まずドラムスの Tullio De Piscopo が、とんでもない凄さでバンド全体を引張り、Masimo Urbani がモダンジャズへの愛情を、とことん吐露しています。けっこうミスもあったりしますが、勢いが全てでしょうか、思わずのけぞる演奏です。
 また颯爽とした Mike Melillo も素晴らしく、そのアドリブにはスカッとします。そしてオーラスには爆裂ドラムソロで全てを投げ打った Tullio De Piscopo の潔さ! あぁ、痛快です!

ということで、虎は死して皮を残すというか……。

実は Masimo Urbani の存在を私が知った直後に、本人はあの世に旅立ったわけですし、残したレコードはなかなか入手困難なブツばかりでしたので、このCDのような発掘盤は大歓迎です。実際、これ以外にもいろいろと出ているんですよ。

それにしても、ここでの演奏が凄いのは、バンドが一丸となった突進力に尽きます。恐らくリズム隊の面々は Masimo Urbani の実力に心底参っていたんじゃないでしょうか? 追悼盤という意味合いは別にして、聴いているうちに敬意のようなものを感じてしまうのでした。とにかく熱演ばっかりが、ギッシリと詰まっているのでした。


気分を軽くするために

2007-05-03 18:16:32 | Weblog

最近、頭の固さというか、旧態依然というか、威力業務妨害寸前というか、とにかく高野連という組織が存在する必然性について???です。

特待生制度が悪いとか、云々ほざいていますが、高校生ともなれば、自分の将来の進路に野球を選んだ自覚がある者がほとんどでしょう。なんらかの形で、将来、野球でメシを食う意気込みがあるからこそ、その学校を選び、特待生となったはずです。

それを否定する資格が、高野連という組織にあるんでしょうか?

だいたい、甲子園大会は春・夏ともに新聞社主催だし、秋の神宮大会も同様です。地方の新人戦とか予選会は、まあ高野連が仕切っているのかもしれませんが、こうも多くの学校が、高野連の気にくわないことをやっていたというのは、痛快!

高野連もこれではお手上げというか、他のスポーツの特待生だけOKという偏った結果を残してしまうのは、本当に片腹どころか両腹がいたいです。

学校側もそのあたりを察して、早々に自主申告し、夏の大会へ向けて着々と準備中ですから、一概に生徒に迷惑はかけない方針なんでしょうが、いっそ対象になった強豪校がグルになって自分らだけでトーナメントでもやれば、面白いんですが……。

ということで、暴言ご容赦下さい。そして本日は――

Live In Taormina / Giovanni Mazzarino With George Robert (Philology)

Giovanni Mazzarino は所謂エバンス派のピアニストで欧州をベースに活動しているという、私のお気に入りです♪

このアルバムは自己のトリオに最近人気急上昇中の George Robert を加えたライブセッションを収めたCDで、つまり Giovanni Mazzarino の日常的演奏が楽しめるというわけです。しかも演目が、これまた私の好きな曲ばっかり♪

録音は2001年9月5日、メンバーは Giovanni Mazzarino(p)、Nello Toscano(b)、Paolo Mappa(ds) 、そして George Robert(as) という好ましいカルテットです――

01 Everything I Love
 何気なくテーマを吹いていく George Robert の軽さが、まず良いです。
 そしてアドリブパートでは Giovanni Mazzarino がエバンス派の本領発揮という前ノリスイング♪ もちろん歌心も絶妙ですし、Paolo Mappa の基本に忠実なブラシが、また良いんです。さらに中盤からは、お約束のステックに持ち替え、出しゃばらない煽りですからねぇ、たまりません。
 続いて飛び出す George Robert はフィル・ウッズ系のビバップ男ですが、エキセントリックな面は控えめですから、演奏はどこまでもスイングしまくっていきます。
 おまけに最後のパートではドラムスとベースが趣味の良いところを発揮しつつ、バンド全体のアドリブ合戦がジャズの醍醐味になっています♪
 
02 Soul Eyes
 マル・ウォルドロンが書いた静謐な泣きが魅力のスロー曲ですから、Giovanni Mazzarino が繊細な歌心を存分に聞かせてくれますし、神妙な George Robert も本当にひとつの音を大切にした艶やかなアルトサックスを披露しています。
 演奏は中盤までリズム隊中心に展開されますが、後半にジワジワっと出てくる George Robert の情熱節も抑制が効いているので、嫌味になっていません。
 全く自然体の心意気というか、じっくりと盛り上げていくあたりが最高です。

03 Like Someone In Love
 お馴染みの和み系スタンダードですから、ここでもテーマをリードする George Robert が軽い雰囲気で、実に良いです。それは続けて入っていくアドリブパートでも同様で、もちろん十八番のグウ~ッと波打つフィル・ウッズ風のフレーズやノリも出してきますが、歌心は完全に自分だけのものでしょう♪ 冷静なようで、けっこう引張られているリズム隊も、まあライブならではという微笑ましさ♪
 ですから Giovanni Mazzarino も気楽にスイングに撤しており、上手くエバンス派の面目躍如を果たしていますが、なんかハービー・ハンコックみたいになってしまったのも、憎めないところ♪ う~ん、楽しいです♪
 またベースとドラムスも、なかなかの好演ですから、普通に凄いと言う他はありませんねぇ♪

04 Spring Can Really Hang You Up The Most
 これは大好きな曲なんで、大いに楽しみにして満足させられた嬉しい演奏です♪
 あぁ、George Robert は、どうしてこんなにもテーマメロディのジャズっぽい変奏が上手いのでしょう。この曲に限らず、アルバム全体を通してのことなんですよっ♪
 もちろん絶妙の伴奏を披露する Giovanni Mazzarino も上手いです♪
 つまり全篇がピアノとアルトサックスのデュオになっているんですが、全く飽きさせない名演だと思います。George Robert が最後に聞かせる無伴奏ソロとサブトーンの終わり方も、お約束以上の必然性があって、たまりません。

05 East Of The Sun
 オーラスはモダンジャズでは定番のスタンダード曲を、ハードバップに解釈した楽しい演奏! George Robert はもちろん熱演ですが、クールなノリのリズム隊が、なかなかグルーヴィな雰囲気に変化していくところも素敵です。バンド全員がお互いの出方を信頼しきっている、非常に良いムードなんですねぇ♪
 その中で Giovanni Mazzarino は意識的にハードバップ狙いをやっていますが、それが1960年代前半のビル・エバンスのようでもあり、スティーヴ・キューンのようでもあり、しかしこれはやっぱり Giovanni Mazzarino でしかありえないんですねぇ。

ということで、個人的には気に入っているアルバムなんですが、惜しむらくは録音状態がイマイチというか、アルトサックスが引っ込み気味……。それゆえに音量を上げてしまうとリズム隊がガンガン出てくるという、それなりに結果オーライではありますが、そのあたりで好き嫌いが表れる演奏かもしれません。

ちなみに Giovanni Mazzarino には Steve Swallow(b) & Adam Nussbaum(ds) と組んだ「Nostalgia(Splasch)」というピアノトリオの私的名盤もありますんで、いずれご紹介したいと思いますが、やはり本日は気分的に、こっちを聴いてしまいました。


凄ぇジャズの女

2007-05-02 20:14:45 | Weblog

なんだか今日は急激に寒くなりました。

またガソリンが高くなりましたですね。懐も寒くなります。

ということで、本日は熱~いアルバムを――

秋吉敏子 in Japan (東芝)

我国が世界に誇る女性ジャズピアニストの秋吉敏子が、昭和45(1970)年の大阪万博で行ったコンサートのライブ盤です。

秋吉敏子という存在は、当時の日本では今ほど有名ではなく、それは本場アメリカを中心に活動していたこと、つまり日本を離れたところで、全然メジャーではない音楽のジャズをやっていたわけですから、その間にエレキブームやGSブームがあった我国では、すっかり忘れられた存在だったというのが、本当のところでしょう。

所謂、知る人ぞ知るでしょうか。

実は私も、リアルタイムの当時は中学生だったこともあり、秋吉敏子の存在は知りませんでした。それがテレビの芸能ニュースだったか、あるいはニュース映画だったか、とにかく万博でジャズのコンサートがあって、そこに秋吉敏子という女性ジャズピアニストが本場でバリバリの超一流メンバーを引き連れて出演したのを知りました。

へぇ、こんな凄い人がいたのかぁ!?

そして高校生になって生意気にもジャズ喫茶に通い出した私の前に現れたのが、その万博でのライブ盤でした。

録音は1970年8月18&19日、メンバーは秋吉敏子(p,arr)、ルー・タバキン(ts,p)、ボブ・ドハーティ(b)、ミッキー・ロッカー(ds) という本格派カルテットです――

A-1 Opus No. Zero
 秋吉敏子のオリジナルで、緩急自在のアグレッシブな演奏です。
 テーマメロディには哀愁も漂ったりして日本人好みなんですが、アドリブというか全体の構成が容赦無い雰囲気で、テンポが激烈に速くなったり、またアレンジされた部分と即興のパートが烈しく交錯したりします。
 秋吉敏子のアドリブも新主流派~フリーに近いもので、とにかくバリバリにイキっぱなしです。あぁ、これを初めて聴いた時の私は、本当に驚愕させられました。つまり女性ピアニストということで、もっとムード系の演奏かと思いこんでいたのです。
 バックのベースとドラムスも全く手加減しないどころか、必死で彼女についていくという感じですからねぇ~!
 またテナーサックスのルー・タバキンが、これまた凄い! 時代的にはジョン・コルトレーン系のスタイルが主流になっていたわけですが、ここで聴かれるルー・タバキンはソニー・ロリンズというよりも、もっと古いコールマン・ホーキンス直系のモリモリグイグイの狂騒スタイルで、ガンガンに押しまくりです。あぁ、これも凄く新鮮でした! この物凄いスピード感とボリューム!
 それはミッキー・ロッカーの爆裂ドラムソロに繋がり、突如、哀愁のテーマメロディが飛び出す大団円♪ ルー・タバキンのテナーサックスが仄かなキャバレーモードになるのも良い感じです。
 演奏はどうやら編集が入ったような感じというか、中途半端に拍手が聞こえてフェードアウト気味に終了するのが???ですが、とにかく圧倒的!
 
A-2 Sweet And Lovely
 本来は安らぎ系のスタンダード曲ですが、ここではグイノリのハードバップ仕立♪ 初っ端からルー・タバキンのテナーサックスが烈しく咆哮します! しかもベースとドラムスがビンビンバリバリに大ハッスルですから、たまりません。演奏が進むにつれ、修羅場と化していくステージに、秋吉敏子もブチキレの烈しいコード弾き!
 あぁ、どうにもとまらないルー・タバキンの大暴走は、ソニー・ロリンズを聞いている以上にスカッとします! と不遜な気持ちになるほどに痛快なのでした。
 まあ、とにかく聞いてみて下さいませ! 私は嘘は申しません!
 そしてリズム隊だけの演奏になっては、ボブ・ドハーティの野太いベースが豪快なアドリブを展開し、そこに絡むミッキー・ロッカーの抜群のリズムセンス♪ もちろん延々と続くルー・タバキンとの丁々発止にも熱くさせられます♪
 まさに大熱演です!

B-1 Long Yellow Road
 秋吉敏子の代表的な名曲! これが出ないとステージは収まりがつきませんが、ここではまず、ミッキー・ロッカーのドラムソロからスタートする部分にテープを使用したエコーのような効果音が使われています。
 こういう試みは当時としても、かなり進歩的だったように思いますが、賛否両論でしょう。演奏もフリーっぽいような展開が続きます。
 しかしそれは、あの印象的な哀愁のテーマを導くための、素晴らしいお膳立て♪
 ルー・タバキンはクレイジーに咆哮し続け、秋吉敏子は4ビートながらも意味不明なフレーズばっかり弾いています。まあ、こういう展開とか演奏のスタイルは、当時の常套手段というか、如何にも1970年のジャズです。
 そしてラスト1分を切ったところで、ようやく出るんですよっ、あのテーマがねっ♪ なんて感動的なんでしょう♪ 観客も唖然として拍手している様が、しっかりと記録されているのでした。

ということで、とにかく大熱演ばっかりです。特に「Sweet And Lovely」は激烈!
そして秋吉敏子という女性が、こんなに凄いジャズ演奏家というよりも、女だったのか! と仰天させられた鮮烈な記憶が、このアルバムを聴く度に蘇えります。

いやいや、こんなタメグチきいちゃ、いけませんね。女性蔑視というわけでもないんですが……。

機会があれば、ぜひとも聴いていただきたい、これは傑作盤と断言致します。ちなみにかなり以前にCD化されていていましたが……。復刻熱望です。


脱力快感盤

2007-05-01 17:36:46 | Weblog

連休の谷間ですが、全く休んでいる会社もありますね。景気が悪くて休むのか、休みたいから休むのは判然としませんが……。あんまり休んでばかりいるのも、どうかと思う、この頃です。

ということで、本日は――

Adam's Apple / Wayne Shorter (Blue Note)

今では元ウェザー・リポート、といった方がとおりが良いウェイン・ショーターですが、もちろん、それ以前にはジャズメッセンジャーズやマイルス・デイビスのグループで堂々のレギュラーとしてバンドに強い影響力を及ぼしていたのは、皆様ご存知のところです。

しかし、そのいずれもが、所謂雇われ稼業だったことを思えば、やはりウェイン・ショーターのリーダー盤を聴くが、その本質に触れることだと思います。

さて、このアルバムは所謂ワンホーン盤で、ウェイン・ショーターが縦横に吹きまくり、尚且つ、ディープな心情吐露に撤した作品だと思います。しかも難しい所なんか全く無いという楽しい1枚なんですから、たまりません♪

録音は1966年2月、メンバーはウェイン・ショーター(ts)、ハービー・ハンコック(p)、レジー・ワークマン(b)、ジョー・チェンバース(ds) という俊英揃いです――

A-1 Adam's Apple (1966年2月3日録音)
 ミステリアスな響きを持った、如何にもウェイン・ショーターらしいジャズロックですが、ハービー・ハンコックのコード弾きのイントロも妙にカッコイイですし、レジー・ワークもジワジワと蠢いて、不気味です。
 しかし演奏そのものの楽しさ、ファンキーさは本物ですし、ウェイン・ショーターのアドリブも単純なフレーズの積み重ねと、ここぞで出してくるキメの連続ワザが冴えまくり♪ けっこう事前に考え抜いていた疑惑も濃厚です。
 またハービー・ハンコックがノーテンキに弾んでいますねぇ♪ こういう自然体とウェイン・ショーターの深い企みが、なんともいえない快感を生み出していると思います。

A-2 502 Blues (1966年2月24日録音)
 またまたミステリアスな雰囲気の変則ブルース! この仄暗いムードがウェイン・ショーターのテナーサックスの音色とピッタリ合っていると感じますが、何と作曲が Jimmy Rowles くクレジットされています。
 う~ん、それにしても脱力しきったアドリブソロと芯の強いリズム隊のコントラストが良いですねぇ~♪ ゆるやかなテンポなんですが、ダレません。
 そしてハービー・ハンコックが十八番の繊細な感情表現で、おぉ、マイルス・デイビスが出てきそうな!

A-3 El Gaucho (1966年2月24日録音)
 出ましたっ! この変態ボサロックの名曲は、もちろんウェイン・ショーターが書いたものですが、メロディラインそのものよりも、リズム隊の快演があってこその名曲という気がします。
 あぁ、こういうのを敲かせるとジョー・チェンバースは本当に上手いですねっ♪ この人はバリバリの新主流派ドラマーという定評がありますが、その内実にロックビートがあるのがミソだと思います♪
 そしてアドリブソロではウェイン・ショーターの煮え切らなさが最高で、何を吹きたいのか意味不明というフレーズの繋がりと、刺激的なリズム隊が織り成す楽しさが、もう最高ですねっ♪

B-1 Footprints (1966年2月24日録音)
 マイルス・デイビスのバンドでも録音され、ステージでも定番演目になっていた大名曲ですが、これがオリジナルバージョンです。
 もちろん力強い4ビートで演奏されていますが、どこかしらロック的に聞こえてしまうのは、私の気の迷いでしょうか……? リズム隊のグルーヴが素晴らしい限りなんですねぇ~♪
 肝心のウェイン・ショーターはテーマメロディの変奏を主体にしながらも、少しずつ烈しい心情吐露に移行し、リズム隊と対峙していきます。そこには無駄なフレーズが全く無いという素晴らしさ♪
 またハービー・ハンコックは、ちょっと調子が出ていない雰囲気もありますが、独自のノリを大切にしたアドリブソロは流石! 中盤からジョー・チェンバースが早い4ピートを敲いたりしますが、幻惑されることが無いのは、優等生すぎるかもしれません。
 するとレジー・ワークマンが、どっしり構えたベースソロから、あの定型リフを弾きだすという名人芸を聞かせてくれるのでした。
 
B-2 Teru (1966年2月24日録音)
 ウェイン・ショーターが書いた幻想的なスロー曲です。もちろん普通一般のメロディではなく、アドリブの延長のようでもあり、煮詰められた美しさでもあるという、とにかく身も心もまかせて聴く他は無い演奏になっています。
 まあ、そのあたりが苦痛と言えばそのとおりなんですが、一端ウェイン・ショーターの魅力の虜になってしまうと、こういう苦行が快楽に変わってしまうんですねぇ。
 個人的にはウェザー・リポートでジョー・ザビヌルの多彩色のキーボードとデュオで演じて欲しいと思うことが度々です。
 つまりリズム隊も頑張っているのですが、ちょっと違和感があるというか、ウェザー・リポートを知っていると、そう思わずにはいられないという……。

B-3 Chief Crazy Horse (1966年2月24日録音)
 ジョー・チェンバースのラテン系ポリリズムが冴えた演奏です。
 この手の曲は、エルビン・ジョーンズ&ジョン・コルトレーンという雰囲気なんですが、ウェイン・ショーターは全く別なアプローチに撤しています。それは反シーツ・オブ・サウンドというか、ひとつの音を大切にしてフレーズを作り出し、アドリブ全体を構築していくかのようです。
 またリズム隊が良いです。特にハービー・ハンコックのアドリブパートからジョー・チェンバースのドラムソロに至る展開は、グワッと盛り上がっていますよっ!

ということで、それほど派手なアルバムではありませんが、楽しさと脱力感がいっぱいです。それはサウナの後の虚脱的快感に近いかもしれません。冷えたビールが欲しくなります。

また後年のウェザー・リポートを知っていると、この演目の再演を望みたくなります。思えばウェザー・リポートだって、ウェイン・ショーターのワンホーン体制ですからねぇ~。

ちなみに私のウェイン・ショーター初体験は、もちろんウェザー・リポートでした。あぁ、なんか急激に聴きたくなりましたです。