先月オーネット・コールマンが亡くなった.
初めて聞いたときは,何だこれと思ったが,Round Midnight とよく似た出だしの Lonely Woman は好きだった.自分たちで演奏したらどうだろうと,ネットを漁って出てきたのがこれ.
採譜した VILLE V. 氏の好み?が反映されているとは思うが,小節線がない.サティのジムノペティみたい.
最後の
The melody is performed very freely without a strict tempo.
Chords are suggested only (no chordal instrument on the recording).
というメモが,フリージャズのフリーたる所以なのだろうが,けっこうよく考えられた曲に見える.
コールマンは後にハーモロディック理論*を唱えるが,この曲の段階ではハーモニー感覚は希薄.「フリー」と言うのはコードからフリーという意味なんだろう.メロディが前面に出ているあたりは日本の音楽みたいに感じられなくもない.
フロントは悠長だがリズムは忙しい.演奏ではポケット・トランペットとアルトのユニゾンが微妙にずれているが,あの「微妙さ」も計算されていたのかもしれない.
ピアノレスという編成が味噌らしいが,今の僕たちのバンドにはピアノ,ヴァイブという平均律楽器がいる.モダンジャズカルテットの演奏もあるが...
バンドには women もいるが見たところは lonely ではない.
* ハーモロディクスのアイデアは複数の移調楽器を同じ運指で合奏することから生まれたという論文があった.
http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/files/public/36717/20150204113935839258/GeijutsuKenkyu_24_19.pdf