Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

科学者としての宮沢賢治,高木仁三郎

2017-08-03 08:30:59 | 読書

高木仁三郎・著,高頭祥八・絵「宮澤賢治をめぐる冒険 : 水や光や風のエコロジー」社会思想社(1995/4).

大学院学生時代,全共闘運動が盛んになる以前に東大核研に出入りしたことがあった.著者の高木さんは当時そこで助手だった.核研にはもっと過激な運動家がおられたので,高木さんをサヨクと認識していなかった.
数年後自分が原研核融合に転職するといったら,やめた方がいいと忠告された (全くその通りだった).あのとき高木さんはプルトニウム研究会 (原子力資料室の前身) を立ち上げる準備をしておられたのだ.

この本は古書で購入.第5回イーハトーブ賞受賞とある.熱心なフォロワーではないので,高木さんが宮沢賢治について造詣が深かったことを初めて知った.
「第1話 賢治をめぐる水の世界 / 第2話 科学者としての賢治 / 第3話 「雨ニモマケズ」と私」という構成だが,第2話に感銘を受けた.
宮沢賢治と高木さんご自身とグスコー・ブドリが三重に重なる.
賢治の羅須地人協会と,高木さんの原子力資料室が重なり,さらに賢治童話の「猫の事務所」が三重に重なる.ぐだぐだの猫の事務所が登場せず,優等生ブドリだけだったら「ふーん」で終わってしまったところだろう.

あとがきにあるように,賢治に事寄せて著者の科学論と自然論を披露したところが,凡百の憲治論とちがうところ.僕的には,高木なんて聞いたことがないという賢治の専門家に読んでいただき,賢治の意識を現代に置き換えて,例えば原発について考えていただきたいと思う.
2011/10 に七つ森書館から新装版が出ている.
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