ウンベルト・エーコ,中山エツコ訳「ヌメロ・ゼロ」河出文庫 (2018/11).
帯の惹句
*****
創刊準備号 (ヌメロ・ゼロ) につどった記者は何を見たのか.嘘と陰謀と歪んだ報道にまみれる現代社会への警鐘の書.「薔薇の名前」の著者,最後の長編.
*****
2015 年,著者の死の前年の刊行.文庫本 250 ページほどで,「薔薇の名前」,「フーコーの振り子」と比べると,コース料理とカレーライスくらいの差がある...とはいえ,「薔薇...」も「フーコー...」も長かったのを覚えているだけで,中身は覚えていないのだけれど.
新しい日刊新聞刊行の創刊準備号 (ヌメロ・ゼロ) の編集現場が主な舞台で,語り手は編集デスク.編集記者たちのうんちく合戦は,どこか清水義範の小説を思わせる.終盤で記者のひとりが殺されるが,読了してみればストーリーは単純で数行で片付く.ロマンスもあり.
☆☆☆★
嘘と陰謀による歪んだ報道の記述には量的な迫力があるが,昨今の SNS 蔓延状態を反映していない.
また,イタリアの現代政治史に通じていないと,面白さは半減すると思う...要するに,肝心なところがわからなくて,つまらなかった.日本を舞台に翻案したら面白くなりそう.
著者 (あるいは彼の登場人物たち) は「自閉症」という言葉を正しく認識していなかったようだ.
帯の惹句
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創刊準備号 (ヌメロ・ゼロ) につどった記者は何を見たのか.嘘と陰謀と歪んだ報道にまみれる現代社会への警鐘の書.「薔薇の名前」の著者,最後の長編.
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2015 年,著者の死の前年の刊行.文庫本 250 ページほどで,「薔薇の名前」,「フーコーの振り子」と比べると,コース料理とカレーライスくらいの差がある...とはいえ,「薔薇...」も「フーコー...」も長かったのを覚えているだけで,中身は覚えていないのだけれど.
新しい日刊新聞刊行の創刊準備号 (ヌメロ・ゼロ) の編集現場が主な舞台で,語り手は編集デスク.編集記者たちのうんちく合戦は,どこか清水義範の小説を思わせる.終盤で記者のひとりが殺されるが,読了してみればストーリーは単純で数行で片付く.ロマンスもあり.
☆☆☆★
嘘と陰謀による歪んだ報道の記述には量的な迫力があるが,昨今の SNS 蔓延状態を反映していない.
また,イタリアの現代政治史に通じていないと,面白さは半減すると思う...要するに,肝心なところがわからなくて,つまらなかった.日本を舞台に翻案したら面白くなりそう.
著者 (あるいは彼の登場人物たち) は「自閉症」という言葉を正しく認識していなかったようだ.