Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

エリック・サティ氏

2019-04-20 09:06:26 | お絵かき
新札に わざわざ反転した右向かせ画像を使うことが話題になっている.
ところで右端は,だいぶ前にCD ケースに内側からアクリル絵の具で描いた,Modern Jazz Quartet の John Lewis と Milt Jackson.写真を見ながら描いて裏返したら,当然のことだが左右反対だった.グランドピアノの蓋をあけた角度が逆.すなわち,鍵盤に向かって左が高音部のピアノということになっている.ぼく的にはよくある失敗.

最近のこの絵でも,最初に同じ失敗を繰り返した.これは Second Edition.



Eric Satie で画像検索して出た二つの絵のうち,右側のを左側のに基づいて脚色した.前景のピアノは我が家の YAMAHA.ちなみにFirst Edition では裏ぶたの虚像も帽子をかぶっていた.裏蓋に映る像がどうなるか,昔 図学で習ったラパットというやつだと,ちょっと考えてみたがお手上げ.結局 適当にやっつけた.








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トランペット と フリューゲルホーン の スペクトル

2019-04-19 08:42:07 | 新音律
一昨日のブログへの追記.比較すればトランペットの音色は鋭くフリューゲルホーンは柔らかい.それは管のテーパ taper によるものであった.
鋭い/柔らかいを調べるひとつの方法は周波数スペクトルを見ることである...というわけで,今日の内容は柴田洋一「トランペット,コルネット,フリューゲルホーンの弱奏時と強奏時の音色」小山高専研究紀要34(2002)11-16からの引用です.

原論文では三楽器を比較しているが,ここではトランペットとフリューゲルホーンだけを示す.トランペットはヤマハ YTR135,フリューゲルホーンはヤマハ 6310S で,第4倍音 Bb 約 470Hz を,著者である柴田さんが吹奏したときのスペクトル.
弱奏時フリューゲルホーンでは第1・第2ピークが際立って大きい.これが太く柔らかい音を生んでいる.
トランペットでも弱奏するとスペクトルのピーク高は周波数とともに減少する.弱奏時の音色は柔らかい.強奏時ではピークの高さがが高周波領域まで保たれ,強く攻撃的な音色を生んでいる.
これに対し,強奏したフリューゲルホーンでは,やや高周波数成分の減衰がはやい.この傾向は弱奏時と同じ.予想された結果ではある.

なお原論文では,トランペットとコルネットの強奏時のスペクトルが極めて類似しており.実際に聞いても区別しにくいことが指摘されている.



以下は同じアート・ファーマーによる,トランペットとフリューゲルホーンの吹奏.So Beats My Heart for You と De Salde Sinne Hemman.後者はスウェーデン民謡だが,ジム・ホールの参加が全体の印象をさらに柔らかくしているようだ.また個人的な韻書だが,低音より高音でふたつの楽器の音色に差が出ると思う.




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引き潮

2019-04-18 10:02:03 | 読書
R・L・スティーヴンスン, L・オズボーン, 駒月雅子訳,国書刊行会 (2017/8).
カバーデザイン (影山徹) に惹かれ,図書館で借りた.

Amazon の内容紹介*****
南太平洋タヒチの浜辺にたむろする三人の食い詰めた男が、天然痘の発生のため欠員が出た貿易船の乗組員に雇われる。三人は船を乗っ取って南米へ逃げ、積荷を売りさばこうと企むが、船内には驚くべき秘密が……。
『宝島』の文豪が義理の息子と合作した海洋冒険小説。コナン・ドイル、チェスタトン、ボルヘスも愛読した知られざる逸品。本邦初訳。*****

スティーヴンスンの「宝島」はこどものころ講談社の名作全集で読んだが,内容は全く覚えていない.「ジキル博士とハイド氏」は覚えている.
「引き潮」の第1部は三重奏 trio,第2部は四重奏 quartette とタイトルというタイトルで,主な登場人物はそれぞれ3人と,それに1人が加わった4人である.
こちらも「ジキル...」同様,同一人格の二面性をテーマにしているらしい.しかし登場人物のひとり,ロンドンの下層階級出身の小男は徹底した悪人に描かれている.また,白人以外の登場人物は単なる背景だ.

訳者あとがきによれば,スティーヴンスン自身はこの小説を「非常に残忍かつ陰惨な話」と評価し,L・オズボーンと共著にすることも「悪名高い作品に若い彼を巻き込むに忍びない」という理由で,気が進まなかったらしい.
ぼく的読後感は,たして残忍でも陰惨でもない.「信仰心」も一つの要素らしいが,無信仰者にはよくわからない.第2部に入ってからがおもしろい.
☆☆☆
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トランペット / コルネット / フリューゲルホーン

2019-04-17 09:59:18 | ジャズ
写真はジャズ研 twitter より転載させていただきました.

おとといは暖かい夕べだったので,大学街のイタ飯屋のジャズ研のライブに出かけた.メールには ds ではなくperc とあったが,果たしてバスドラではなくカホンだったのをはじめ,いろいろな楽器がさりげなく登場した.

フロントさんはトランペットとフリューゲルホーンを,きびきびした曲と優しい曲とで吹き分けていた.
トランペットのファミリーにはフリューゲルホーンの他にコルネットもある.



これらの大きな違いはラッパのすぼまり方にある.https://bandestration.com/2015/10/22/trumpet-vs-cornet-vs-flugelhorn/ から転載の下の図のように,円錐部分が短いのがトランペット,長いのがハリューゲルホーンで,コルネットはその中間だ.ベルの付け根もトランペットでは細く,フリューゲルホーンでは太い.
全体の形状をベッセルチューブなるもので近似し,音色のスペクトルを導く方法が N.H. Fletcher. T.D. Rossing "The Physics of Musical Instruments" 2nd ed. Springer(2010) p.432 に出ている.ペダルとの関連も面白そうだが,自分で手を動かして計算してみる元気がない.


Youtube には三つの楽器の違いを解説する動画が多数.例えば...

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東京駅 / ちいさいおうち

2019-04-16 09:58:50 | エトセト等
東京駅ステーションギャラリーに,東京駅と丸の内界隈のジオラマが展示してあった.鹿児島大学・京都工芸繊維大学・日本大学の学生たちが東京駅開業百年を記念して制作したのだそうだ.



1914 年駅開業時.見渡す限りの...でもないが,荒れ野の端っこに東京駅が開業.


1964 年.ぼくの記憶にもある風景.建築物の高さに制限があった時代.


2014 年.駅は高層ビルに埋まって,どこにあるのかわからない.


なぜか思い出したのが,この絵本.バージニア・リー・バートン (1942年).石井桃子による日本語訳は 1954 年,岩波書店.
youtube にはディズニーのアニメもあるが,絵本とはややイメージが違う.


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物理本の断捨離

2019-04-15 10:49:46 | 科学
1950 年代末に編集された「岩波講座・現代物理学」.大学院生時に自由が丘の古書で購入した.

第2版で,第1版増補,総索引,月報も揃っている.お宝古書としての価値は...どうなんだろう?
当時の豪華 ! 執筆陣には,講義を受けた先生も含まれている.以下敬称略.湯川は目玉だが,朝永はノーベル賞前.相対論を自習したのは冨山のこの本だった.原島.戸田の統計力学,高橋の振動と回路あたりはなるほど.橋口,磯部,関なども.武谷の原子炉を批判的に精読したいという気もする.etc. etc....
断捨離の決意が鈍りそう.でもここ 10 年は積ん読で,死ぬまでこの状態だろう.

それぞれが下左の写真のような表紙の薄い冊子で,それが 3-4 冊ずつ 14 回にわたって下右のような箱に入って配本された.しかし配本の順序と,冒頭のリストの項目 (I A 力学...II A 原子分子の量子力学...など) の対応がアット・ランダムで,どの箱に何が入っているかさっぱりわからない.
大学図書館では項目ごとに製本されていた.


今でも通用する巻もあれば,電子計算機のように当時ははこんなことを考えていたのか...と,感慨に耽けさせる巻もある.
物理の教科書の執筆,科学史研究にはお役に立つと思う.月報には執筆者のエッセイが載っていて,これが面白い !

拙宅までお越しいただける方 (優先),あるいは着払いの宅急便で受け取られる方 は,いらっしゃいませんか?
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小説本の断捨離

2019-04-14 09:37:39 | 読書
埴谷雄高「死霊」 1-5章が一巻,6 7 8 9章が各一巻 講談社 (1979-)
石川淳「狂風記」上下 集英社 (1980)
加賀乙彦「湿原」上下 朝日新聞社 (1985)
小島信夫「別れる理由」1 2 3 講談社 (1982)
田久保英夫「しらぬひ」上下 福武書店 (1990)
南方熊楠「十二支考」 1 2 3 平凡社・東洋文庫版 (1973)
ウンベルト・エーコ 藤村昌昭訳「フーコーの振り子」文藝春秋 (1993)

本棚を占領している 40 代に読んだこれらの長尺本.緑内障 + 老視ではもはや自分と関係ないものになったので,断捨離することにした.
しかし,それなりの思い入れもあり,宅急便集荷で始末するのにも抵抗がある.そこで日本文学を専攻した若い友人になんとかしてもらうことにした.
彼がぼくの年齢に達したら,処理に困るかもしれない...この本たちは何でうちにあるんだろう,と訝ったりして.
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来客用アルコール

2019-04-13 09:25:07 | エトセト等
酒好きの来客に備えて購入...と言いたいが,右端のヤマソービニオンはその方のお持たせ.これがいちばん高価 (750ml 3024円) で,やっぱりいちばん美味しかった.

左端の「一ノ蔵 無鑑査本醸造 超辛口」は 720ml 890 円.日本酒度 +9 ~ +10 だが「超」辛口という感じはしない.ぼく的には好み.「無鑑査」は,かっての特級酒 から 二級酒までのランク付け監査をパスしたことに由来するそうだ.

真ん中の「生酛にごりの上善如水」 720ml 1280 円はポイントで買った.意外に甘くないが意外に酸っぱい.生酛という感じは薄いが,上善...感は濃い.料理を選ぶ感じ.むしろピーナッツなどに合いそう.パッケージがきれい.

シャブリも買ったが出る幕がなかった.
お客様は若い時ほどお飲みにならなかった.
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ベイビューホテル事件

2019-04-12 09:08:06 | エトセト等
四元康祐「前立腺歌日記」中,著者はリハビリのひまに任せてのネットサーフィンで,「ベイビューホテル事件」を知る.

著者・四元さんが見たページは Yahoo! ジオシティーズ終了にともない,見ることができなくなった.国会図書館のサイトから原論文,林博史「マニラ戦とベイビューホテル事件」自然・人間・社会 : 関東学院大学経済学部総合学術論叢 (52):2012.1 p.49-83 をダウンロードできるのかと思ったら,紙コピーの郵送を申し込むシステムらしい.内容は「前立腺...」にほとんど引用されているだろうと,そこで探求中止.

この「前立腺...」によれば,事件そのものは,1945 年 2 月,マニラ市街を日本軍が占拠し,それを圧倒的な兵力で連合軍が占拠した状況で起きた.日本軍が高級ホテルに,各國の大使館が立ち並ぶ地区から婦女子ばかり数百人を強制連行・監禁し,強姦を繰り返したというものだ.被害者には欧米諸国の白人女性が含まれ,多くは20代以下であったという.

監禁された女性たちはひたすら性暴力の対象にされただけで,全員が解放された.日本兵士たちは一方では一般市民を性別・国籍を問わず見境いなく虐殺したと言われ,これは「特異な現象」らしい.

女性たちに同情的な日本兵も中には存在した.しかし助けを求める女性たちに対する言葉は「兵士たちはここで死ぬ.だからなんでも好きなことができる.自分たちは兵士を止めることはできない」というものだった.
四元さんは,こう語る彼らの胸のうちをのぞいてみたいと思い,「ニッポンの稲田」という小説を仕上げる.「前立腺...」にはそのあらすじが書いてある.「止めることはできない」と語った兵士のひとりが登場し,ストーリーは2050 年の近未来 SF へと発展する.稲田とは何か...それは小説 (のあらすじ) を読めばわかる.小説そのものはまだ出版されていないらしい.

なぜ「前立腺歌日記」に延々とベイビューホテル事件の記述が...とも思うが,「日記」とはそういうものなんだろう.
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前立線歌日記

2019-04-11 10:23:10 | 読書
四元 康祐 (よつもとやすひろ)「前立線歌日記」講談社 (2018/11).

著者はミュンヘン在住の詩人.前立腺癌は奥の細道,性器・排泄器を直撃する.そのことが詩人の文学的感興を刺激しないわけがない.もっとも本書第2章のタイトルは「尿道カテーテルをつけたまま詩が書けるか?」だけれど.
「歌日記」というが,毎日和歌を詠むといった殊勝なものではなく,詩も俳句も,自作・他作あるいはその改変 (ダンテ,谷川俊太郎,万葉集...)にかかわらず散りばめられている.

短いものを例に挙げると,著者の父も祖父も曽祖父も前立腺癌だったそうで

 我が眷属は千代に八千代に遺伝子の巌となりて虚仮と化すまで

生検の結果の血尿に

 臍下朱肉純白ブリーフシャチハタの朝

という調子.

本の内容は16トンの体験よりずっと劇的.
1)四元さんは 16 トンより 20 歳近く若い年齢で発症し,
2)ミュンヘンで治療した,
というふたつの違いによるものだろう.

1) お若いだけに性に対する執着が強い.若い異性の患者や看護師や医師に妄想を抱くのは 16 トンも同じことだが,四元さんは街で研修に来た日本人女性をナンパしたりする...もっともこの部分はフィクションかもしれない,デートの後,生検の後遺症が残る時期での手淫で湧き上がってきた液体の「イチゴミルクの赤白まだら」の表現は迫力満点.

2) ドイツの医療はずいぶん荒っぽいようだ.在日 16トンの場合 生検後の血尿は1日で収まってしまった.術後,ちんちんが何日も棍棒で殴られたように黒ずんだまま,という経験もない.
しかし日本と違って,ドイツの方が丁寧な面もある.オプションかもしれないが,手術後はリハビリ施設で3週間暮らすらしい.尿もれの指導などは行き届いているようだ.
また 16 トンの場合は PSA の値が再上昇するのを待って放射線を照射したが,ドイツでは術後「念のために」放射線を照射するらしい.

日本にいる前立腺癌患者にとってこの本は情緒面で参考になりそうだが実務面では役に立たない.ただしドイツの医療がどんなものかを感じることはできる.もっとも,著者の目的は患者のための参考書ではなかっただろう.
☆☆☆☆★ とても面白かった.
図書館本.文庫化したら買おうと思うが,文庫化されそうもない.
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