Sixteen Tones

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シュレディンガーの猫がいっぱい

2019-04-29 11:22:44 | 科学
和田純夫『シュレディンガーの猫がいっぱい「多世界解釈」がひらく量子力学の新しい世界観』河出書房新社(1998/09).

断捨離本のはずだったが,読み出したら最後までいってしまった.タイトルに惹かれて買ったと思う.もう一点,光量子説をとなえたアインシュタインが最後まで量子論に肯定的でなかった理由も知りたかったのだろう.
20年も昔の本で,現在のこの分野はどうなっているの? という疑問はある.

あとがきで,編集担当の上山昭博氏が「これまでに量子力学の本を10冊以上読んだけれど,腑に落ちなかった.それはどこまでが物理法則で,どこからが解釈論かが判然としなかったからである」と書いている.この本は解釈論に集中しており,そこには上山氏の寄与も大きかったと思う.

目次には

「観測すること」と「認識すること」/「多世界解釈」の主張 / ノイマンとエベレットの発想法 / 同時進行する多数の世界 / 「シュレディンガーの猫」問題を解決する / アインシュタインの思考実験と、世界の分離不可能性 / アインシュタインvs.ボーア論争の解答 / 量子力学は決定論 / 量子は実在する? / 量子宇宙と多世界解釈 / 多世界解釈の世界

と,美味しそうな語句が並んでいる.最後は哲学の領域に踏み込む.

数式抜きでここまで読ませるか! と思うが,そもそも数式不要な領域なのかもしれない.また著者はこの手の著作のエキスパートらしい,

大学に理学部・工学部を横断する研究科を作ったので,受験生に共通する大学院入試問題が必要になった.どちらの学部にも量子力学という科目はあったのだが,その内容は工学部のが実用数学だったのに対し,理学部のはかなりロマンチックだったらしい (...かくいう16トンは工学部出身で,そのごはほとんど量子力学とは無縁であった).
この本はロマンチックなほうの典型.でもこんなこと実学とは無関係と思っていると,量子コンピュータが具体化したりするので,油断がならない.

コメント
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