Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

最後の秘境 東京藝大

2019-04-07 08:50:55 | 読書
二宮 敦人 「最後の秘境 東京藝大: 天才たちのカオスな日常 」新潮文庫 (2019/03).
2016/9 発行の単行本が文庫化されたので購読.文庫巻末には著者と藝大学長との対談を収録.

Amazon に引用された BOOK データベースによれば*****
やはり彼らは、只者ではなかった。入試倍率は東大のなんと約3倍。しかし卒業後は行方不明者多発との噂も流れる東京藝術大学。楽器のせいで体が歪んで一人前という器楽科のある音楽学部、四十時間ぶっ続けで絵を描いて幸せという日本画科のある美術学部。各学部学科生たちへのインタビューから見えてくるのはカオスか、桃源郷か? 天才たちの日常に迫る、前人未到、抱腹絶倒の藝大探訪記。*****

藝大には多少はエキセンな教員・学生が多いかもしれないが,一般の美大・音大もこの本の記述と共通しているだろう.
むしろ藝大の特徴は音校と美校が同居していること.学生時代にご近所だった芸大生の印象は,マルキン=音校,マルビ=美校 出会ったが,それは今もあまり変わっていないようだ.ただし境界領域は音楽環境創造科・先端芸術表現科として,上野から放り出されている.
違っているかもしれない第一印象は,競争の音校と協力の美校で,美校の方が自分向きかな...ということ.

全14章のうち,3-12章は藝大生からの聞き書き.学生の所属氏名が始めに示される.ただし仮名もある.音校・美校が交互に記述され,最後の第14章は「美と音の化学反応」.
学園祭 (藝祭) に行ってみたいものだ.

インタビューされた学生たちはほとんどが学生生活に肯定的.もっと影の部分も紹介した方が本として奥行きが出るとは思う.
第12章のタイトルは「ダメ人間製造大学」? だが踏み込んでいるわけではない.
「半分くらい行方不明」という見出しで始まるが,行方不明は卒業後のことで,それならどこの大学でも似たようなものでしょう.

著者の奥さんは取材当時は藝大彫刻科の現役学生だった.楽しい人らしい.「楽しく学生生活を送って,それを話したら面白い本になって,おまけにお米を買うお金ももらえるなんて,最高だね」.
コメント
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