【新型コロナ】:感染、急速に拡大も 医師会会長「第3波と考えてもよい」 厚労省専門家組織
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【新型コロナ】:感染、急速に拡大も 医師会会長「第3波と考えてもよい」 厚労省専門家組織
新型コロナウイルスの感染者増加が全国的にみられる中、厚生労働省に新型コロナ対策について助言する専門家組織「アドバイザリーボード」(座長・脇田隆字国立感染症研究所長)は11日、全国の感染状況について「11月以降は新規感染者の増加傾向が強まっている」と分析し、「一部の地域では感染拡大のスピードが増しており、このまま放置すれば、さらに急速な感染拡大に至る可能性がある」と警戒を呼びかけた。この日の感染者は全国で新たに1548人確認。日本医師会の中川俊男会長も記者会見で、「第3波と考えてもよいのではないか」との認識を示した。

全国と主な自治体の感染者の推移
■クラスター多様化、寒さだけでない要因も
全国では新規感染者が直近の1週間(3~9日)に6674人確認され、前週の1・36倍に増加。北海道では同920人(前週比2・06倍)、愛知で同550人(同1・33倍)と増加傾向が強まっている。1人の感染者が2次感染させる平均人数を表す実効再生産数は10月中旬以降、感染拡大を示す1を上回る状態が全国的に継続。10月21日時点の推定で1・18となり、北海道、大阪、愛知でも1を超える水準が続いていると分析した。
感染が拡大する理由として、地方都市の歓楽街や会食、職場、外国人コミュニティーなどクラスター(感染者集団)の多様化を挙げ、「地域によって異なるクラスターの発生要因を分析し、早急な対応が必要」と促した。冬を迎え寒冷地での感染拡大が懸念される中、脇田座長は記者団に「感染者の増加が見られる北海道は冬に入りつつあるが、愛知や大阪は必ずしもそうではない。クラスターはさまざまな要因で起こる」と指摘した。

マスクを着用して歩く人たち=東京都新宿区で2020年11月11日午後4時23分、吉田航太撮影
■「国民一丸となって対策を」
アドバイザリーボードは「感染の急拡大や病床の逼迫(ひっぱく)がみられる場合に社会経済活動に一定の制約を求めるような強い対策が必要になる。そうした事態を避けるためにも国民が一丸となって対策を進めていく必要がある」と強調。メンバーの一人は「拮抗(きっこう)していた感染者の増加要因と減少要因のバランスが崩れ、感染拡大の力が強い。患者が急激に増えると医療現場はパニックになる」と強い懸念を示した。
西村康稔経済再生担当相は「今の段階は(緊急事態)宣言を出す状況にないという判断だ。ただステージ3(感染急増)にかかる地域も出ている。ここは要警戒でこれ以上増えないよう取り組みを強化する段階だ」と話した。
■想定通りに検査できるかが課題
一方、新型コロナとインフルエンザの同時流行に備え、発熱患者に対応する診療・検査医療機関に9日時点で全国2万3755医療機関が指定されたことが、厚労省の集計で判明した。流行ピーク時に想定する新型コロナとインフルエンザの検査では、1日の需要46万件に対し、検体採取50万件、分析54万件(簡易抗原検査34万件、PCR検査17万件など)の体制確保を見込む。全都道府県が需要と同数以上の検査能力を確保できると報告したが、想定通りに検査できるかが課題だ。【金秀蓮、原田啓之】
元稿:毎日新聞社 主要ニュース 社会 【医療・健康・新型コロナウイルスの感染拡大】 2020年11月11日 21:18:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。