東京都は28日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、島しょ部を除く都内全域を対象に、酒類を提供する飲食店やカラオケ店の営業時間を午後10時まで短縮する要請を始めた。

 時は忘年会シーズン直前を控えた週末だ。応じる店、応じない店…。どちらにしても店側の戸惑いははかりしれない。この日確認された都の新規感染者は561人。重症者は、緊急事態宣言解除後最多の67人を記録した。

時短要請を受けた初日、人通りが少なく閑散としている池袋のサンシャイン中央通り(撮影・沢田直人)時短要請を受けた初日、人通りが少なく閑散としている池袋のサンシャイン中央通り(撮影・沢田直人)

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 忘年会シーズン前の繁忙期と重なるタイミングで始まった、3度目の時短要請初日。都内有数の繁華街、池袋の飲食店では対応が分かれ、それぞれの不安を抱え、営業が行われていた。

 ある大手居酒屋チェーン店では、都の要請を受け入れ、営業時間を午後3時から午後10時に短縮し、全店舗で統一した。本来の営業開始時間は午後5時で、2時間の前倒し。ある店舗では、開店時間を早めたものの、午後5時までの来客はわずか1組。要請には応じたものの現場は苦戦を強いられていた。

 関係者は「そもそもなんで午後10時なんでしょうかね。午後11時でも良かったのでは。お店を開くのと開かないのでは雲泥の差があります」と肩を落とした。

 一方、要請に応じない店も多くみられた。都は、12月17日まで時短要請に応じた店には40万円の協力金を支払うとしているが、ある飲食店の関係者は「20日間で40万円では正直、厳しい。従業員も雇えなくなる」と吐露。通常時と変わらず朝5時まで営業するという。その代わりにコロナ対策は徹底する。要請期間中は、入店できる人数を1組4人までとし、客にこれまで以上に手洗いや消毒の徹底をお願いするという。

 店舗側の対応はさまざまだ。大手カラオケ店では酒類を提供し、営業時間も通常通りとする。一方、牛丼チェーン店の「吉野家」「すき家」では一部の店舗を除いて、酒類の提供を取りやめ深夜営業を行っていくことを決めた。各飲食店は営業利益と感染対策の両立へ、難しい判断を迫られている。【沢田直人】