路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

《社説①》:佐渡島の金山 「歴史戦」を争うむなしさ

2022-02-04 09:30:40 | 【国連・ユネスコ・世界遺産・世界有形無形文化遺産・記念物遺跡会議

《社説①》:佐渡島の金山 「歴史戦」を争うむなしさ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:佐渡島の金山 「歴史戦」を争うむなしさ 

 岸田文雄政権がきのう、世界文化遺産に、新潟県の「佐(さ)渡島(ど)の金山」を推薦した。

 平安時代から砂金が採れたと伝わる。江戸時代には山を削り、大量の水で流して砂金を採る「大流し」という技術を取り入れた。世界に例のない遺構が残る。

 韓国政府は、戦時中に朝鮮半島の人々が「強制労働させられた現場だ」と抗議している。摩擦を避けるため、岸田政権も推薦を見送るとみられていた。

 決定前、安倍晋三元首相は「歴史戦を挑まれている以上、避けることはできない」と主張した。自民党の高市早苗政調会長も「日本の名誉に関わる」と訴えた。

 日韓の対立をあおるような一部保守派による発言は、新潟の人たちの長年の悲願達成にかえって水を差しかねない。

 2015年に長崎市の端島(軍艦島)などが世界遺産に登録された際も、韓国は同様に、強制労働の歴史を挙げて反対した。

 この時は、日本が「犠牲者を記憶にとどめる対応を取る」と約束し理解を得た。なのに、差別的な対応はなかったとの証言内容を展示し、反発を強めた。国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界文化遺産委員会は昨年、日本の説明は不十分とする決議を採択した。

 安倍政権は、朝鮮半島出身者に対する強制動員の問題を「1965年の日韓請求権協定で解決済みだ」と繰り返してきた。適切な対応を文在寅政権に迫り、通商分野で報復。韓国も応酬し、関係は悪化の一途をたどった。

 菅義偉前政権も、この路線を踏襲した。佐渡金山に向けられた韓国の非難は、積もり積もった不信の表れとも受け取れる。

 岸田首相が推薦見送りを翻したのは、夏の参院選を前に保守層の離反を警戒したためという。事実なら、あまりに主体性がない。

 「登録実現」が首相の本心なら「歴史戦」と決め付ける加害性の否定と距離を置くべきだ。尊厳の回復を求めている韓国の人々に応え得る、元徴用工、元従軍慰安婦問題の真の解決策を両国で探らなくてはならない。

 北朝鮮の核・ミサイル開発や日本人拉致の問題を打開し、米中の対立を抑えるためにも、韓国との関係改善が急がれる。

 ユネスコの審査は関係国の対話を重視する。折り合わなければ、無期延期もあり得る。「韓国の主張は受け入れられない」とする岸田政権が膠着(こうちゃく)を引きずれば、遺産登録を励みとする地元の人々を結局は裏切ることになる。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 ニュースセレクト 社説・解説・コラム 【社説】  2022年02月02日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②》:北京五輪開幕へ 政治介入の舞台にするな

2022-02-04 09:30:35 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

《社説②》:北京五輪開幕へ 政治介入の舞台にするな

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:北京五輪開幕へ 政治介入の舞台にするな 

 隔絶された空間から競技の熱気はどれほど伝わってくるのか。

 北京冬季五輪が開幕する。中国政府と大会組織委員会の主眼は、新型コロナウイルスの拡大阻止にあるかのようだ。先月には北京でオミクロン株の市中感染が確認され、昨夏の東京五輪をしのぐ厳戒態勢が続く。

 各国選手団や報道陣は、市民との接触が遮断された「バブル」内にとどめられる。観客席チケットは国内向けの一般販売が中止になり、政府機関などを通じ限られた人に振り分けられるという。

 共産党の習近平総書記(国家主席)は秋の党大会で3期目入りをうかがう。長期政権の確立へ、五輪の成功は至上命題なのだろう。指導部は人権や巨額の開催費用などに対する批判を抑え込み、市民の行動制限を徹底してきた。

 人権侵害を問題視する米国主導の外交ボイコットを巡り、各国の政治判断が影を落としている。

 個人の尊厳や平和に重きを置くはずの五輪は、何のために開かれるのか。改めてその意義を問わなくてはならない。

 ゆるがせにはできない問題がある。元五輪代表の女子テニス選手が、元副首相から不本意な性的関係を迫られていたと投稿サイトで告白。以後、安否が一時分からなくなったことへの対応だ。

 女子テニス協会が中国でのツアー開催を見合わせて抗議の意を示しながら、中国政府は取り合わない。その上、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は、問題の幕引きに加担するかのような態度を取り続けている。

 あらゆるハラスメントや虐待からアスリートを保護することをうたう五輪憲章と矛盾する。

 東京五輪では、感染爆発が起きても「五輪は別の世界」と開催を譲らなかった。強権体質と商業主義が浮き彫りとなったIOCが、本当に選手の立場を守るつもりなのか疑わざるを得ない。

 IOCは東京五輪を前に、差別などに関わる宣伝行為を選手に禁じた五輪憲章の一部を緩和。記者会見の場やSNSでの表現を容認した。一方、北京の組織委は、中国の法律や規則に反する行為は処罰対象になると明言した。

 発言をした選手が摘発されないか。国際人権団体や元選手らから「危険にさらされている」と懸念の声が上がっている。

 五輪の真価は選手が安全な環境で真剣に競い合い、勝敗を超えてたたえ合う姿にある。政治の介入は選手の活躍に水を差し、尊厳を損ねることにほかならない。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 ニュースセレクト 社説・解説・コラム 【社説】  2022年02月02日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①》:埼玉立てこもり 防ぐ手だてはなかったか

2022-02-04 09:30:25 | 【事件・未解決事件・犯罪・疑惑・詐欺・闇バイト・旧統一教会を巡る事件他】

《社説①》:埼玉立てこもり 防ぐ手だてはなかったか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:埼玉立てこもり 防ぐ手だてはなかったか 

 在宅での医療や介護が抱えるリスクがあらわになった。当事者任せになっている在宅ケアの現状を変えねばならない。

 埼玉県ふじみ野市の住宅で、住人の男が弔問に訪れた医療スタッフに猟銃で発砲。医師を人質に立てこもり、約11時間後に突入した警察官に殺人未遂容疑で逮捕された。

 医師の死亡が確認され、理学療法士が重体となった。県警は、立てこもり前日に死亡した母親の治療や介護を巡って、男が急激に不満を募らせたとみている。

 男は、以前から複数の介護事業所ともトラブルを起こし、行き場を失っていたらしい。手を差し伸べたのが亡くなった医師だ。地域で8割に当たる約300人の在宅医療に関わっていた。

 地元医師会は、男から繰り返し不満を訴える電話を受けている。医師との間のトラブルを把握していたのなら、未然に防ぐ手だてはなかったか。検証するべきだ。

 超高齢社会を迎え、国は、医療費がかさむ病院ではなく、在宅での医療や介護の提供を推進してきた。在宅ケアを望む人も年々増えている。2020年度に訪問診療を受けた人は月当たり80万人を超え、10年前の2倍以上だ。

 一方、第三者の目が入りづらい在宅ケアの現場は、トラブルになるリスクを常に抱えている。

 医療従事者は、家庭の日常に入り込むため治療や介護以外の悩みに接する機会も多く、過度の期待を背負いかねない。介護に疲れた家族が、孤立感を深めて感情的になることも少なくない。

 全国訪問看護事業協会が18年に実施した全国調査によると、訪問看護師の53%が「精神的な暴力」を、45%が「身体的な暴力」を、利用者や家族から受けたと回答している。

 個々の医療従事者が、利用者や家族と信頼関係を築くよう努力するだけでは限界がある。介護する家族を孤立させない支援とともに、トラブルを早期に把握し解決に動く仕組みが必要だ。

 それには医師会や病院だけでなく、行政、福祉、法律といった幅広い分野の連携が欠かせない。日頃から住民とのつながりを強めて、ボランティアなどで支える力になってもらうことも大切だ。

 団塊の世代が全員後期高齢者となる3年後は、6人に1人が75歳以上、3人に1人が65歳以上となる。高齢者の一人暮らしや老老介護も増えるだろう。望ましい在宅ケアをどう組み立てるか。社会全体で考える時だ。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 ニュースセレクト 社説・解説・コラム 【社説】  2022年02月01日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②》:ミャンマー政変1年 市民孤立させぬ支援を

2022-02-04 09:30:20 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

《社説②》:ミャンマー政変1年 市民孤立させぬ支援を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:ミャンマー政変1年 市民孤立させぬ支援を 

 ミャンマーの国軍が民政を覆したクーデターから1年。市民への苛烈(かれつ)な弾圧は、やむ兆しがない。強権による支配に抵抗を続ける人々を孤立無援にしない国際社会の支えが欠かせない。

 クーデターに抗議する街頭のデモに軍は銃を向け、容赦なく武力で押さえ込んだ。これまでに殺害された市民はおよそ1500人に上る。弾圧は家族にも及び、1万2千人近くが逮捕されている。

 軍は一昨年秋の総選挙で大規模な不正があったと一方的に主張して、国民民主連盟(NLD)の政権を倒し、全権を掌握した。アウンサンスーチー氏らNLDの幹部を次々に逮捕、訴追し、民主派勢力の排除を徹底している。

 汚職、国家機密の漏えいをはじめ17の罪状に問われたスーチー氏は、全て有罪になると刑期が150年を超す可能性がある。裁判は非公開で、弁護士がその内容を話すことさえ禁じられている。

 報道への締めつけも際立つ。軍に批判的なメディアは免許を剥奪され、拘束される記者が相次ぐ。拷問を受けて死亡したとみられる事例もある。民主主義を根絶やしにしようとする暴挙だ。

 民主派は武器を取って抵抗する「国民防衛隊」の創設を宣言し、呼応する動きが各地に広がった。都市部で軍の施設や兵士への襲撃を繰り返しているほか、地方では少数民族の武装勢力と連携し、国軍との戦闘が激化している。

 国軍は一帯を砲撃、爆撃し、30万人以上が避難を余儀なくされているという。各地で軍が住民を拷問、虐殺していることが報じられてもいる。状況が悪化し、犠牲者や避難民がさらに増えるのを防がなければならない。

 クーデターによる混乱で経済活動の停滞も続いている。しわ寄せは市民の生活に及び、人口のおよそ4割を占めるという貧困層の窮乏は深い。危機的な状況にある人たちの手に届く支援の取り組みを強めることが欠かせない。

 国軍は国際社会の批判に耳を傾けず、東南アジア諸国連合(ASEAN)による仲介も功を奏していない。暴力行為の即時停止をはじめ、ASEANで合意した5項目を国軍は守らず、スーチー氏を含む全ての当事者による対話も拒む姿勢を明確にした。

 武力で市民を踏みつける国軍の横暴を認めるわけにはいかない。国際社会は関与を諦めてはならない。日本政府は、国軍と独自の回路があると繰り返してきたが、有効な働きかけができていない。対応を再検討すべきだ。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 ニュースセレクト 社説・解説・コラム 【社説】  2022年02月01日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【斜面】:子どもが増える村

2022-02-04 09:30:15 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【斜面】:子どもが増える村

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【斜面】:子どもが増える村

 江戸時代、高価なひな人形は庶民には高根の花。

 代わって親族や近所の人々が小さな手づくり人形を持ち寄って子どもの健やかな成長を願った。

 つるしびなの…、

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 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 ニュースセレクト 社説・解説・コラム 【斜面】  2022年02月02日  09:32:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【斜面】:奴隷労働

2022-02-04 09:30:12 | 【移民・難民・亡命・密入国・入管・在留資格・日本語学校・偽装結婚・技能実習生他】

【斜面】:奴隷労働

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【斜面】:奴隷労働

 ネットの動画から目を背けたくなった。

 「イタイー、イヤー」。

 悲鳴を楽しむかのように日本人の従業員がベトナム人の男性を事務所で何度も蹴っている。

 トラックの荷台にいれば棒でたたく。車内でも隣から肘鉄を何度も食らわせる…、

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 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 ニュースセレクト 社説・解説・コラム 【斜面】  2022年02月01日  09:32:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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《社説①》:タイヤ脱落事故 多発の原因究明を早く

2022-02-04 09:30:12 | 【不慮の事故・自動車事故・予期せず、意図せず、発生する惨事、火災他】

《社説①》:タイヤ脱落事故 多発の原因究明を早く

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:タイヤ脱落事故 多発の原因究明を早く 

 走行中の大型車からタイヤが脱落する事故が多発している。

 群馬県渋川市で今月中旬、ダンプカーの2本が外れ、うち1本が数百メートル転がって歩行者を直撃し、重傷を負わせた。

 翌週には長野市の国道18号、岐阜県中津川市の中央道でも、ミキサー車やダンプカーから外れたタイヤが乗用車に衝突した。いずれもタイヤは左後輪だった。

 脱落事故は年々増えている。国土交通省によると昨年度は8トン以上のトラック、定員30人以上のバスで計131件と過去最多を更新した。10年前の10倍以上だ。

 タイヤは重量が100キロ前後もある。勢いがついたまま歩道に転がってきたらひとたまりもない。車の多い幹線道路では玉突きなど大事故につながりかねない。

 過去には死者も出ている。再発を防ぐには点検の徹底が欠かせない。見落としはないか、輸送に携わる業界関係者は危機感を共有して安全確認を進めてほしい。

 事故の統計から、幾つかの特徴が浮かび上がっている。

 脱落は95%が左後輪で起こっている。左折時に比べ、速度が出やすい右折で強い遠心力が働く。その分、ねじなどに荷重がかかっている可能性が考えられている。

 タイヤの取り付け方式に国際規格が2010年から採用された。従来の国内規格は後輪片側に2本並列するタイヤを1本ずつボルトとナットで固定するのに対し、新規格は2本まとめて固定する。

 ねじを締める向きも変わった。前の規格が右タイヤは右、左タイヤは左だったのに対し、左右とも右になった。普及が進む中、締めが甘いとタイヤの回転に伴って左後輪に緩みが生じる恐れが、業界団体などから指摘される。

 根本的な原因は解明されていない。国は2月末までを事故防止対策の強化期間とし、関係事業者に点検を呼びかけているが、注意喚起だけでは不十分だ。事故を詳しく分析し、危険性に関する科学的見解を早期に打ち出すべきだ。

 昨年度の事故は7割近くが11月から2月にかけて発生していた。さらに6割近くは冬用タイヤに交換して1カ月以内だった。

 国交省は、降雪期に交換が集中することで業者らの時間が制約され、正しい作業が行われていなかった可能性もあると推測する。

 当面求められる対策は、ボルトやナットの装着状態、劣化の有無などの確認だ。タイヤ交換後は50~100キロ走行後を目安に締め直す必要があるという。適正な管理の基本を改めて徹底したい。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 ニュースセレクト 社説・解説・コラム 【社説】  2022年01月31日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②》:こども家庭庁 期待に応える実効性を

2022-02-04 09:30:08 | 【中央省庁・内閣府・1府11省2庁・主任の大臣・事務次官・官房・審議官・国...

《社説②》:こども家庭庁 期待に応える実効性を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:こども家庭庁 期待に応える実効性を 

 政府が今国会に「こども家庭庁」の設置法案を提出する。

 組織の概要は既に固まっている。政策の理念を定める「子ども基本法案」とともに、会期中の成立を目指す。新庁は2023年度に創設する方針だ。

 こども庁構想は、菅義偉前政権時に浮上した。いじめや虐待、貧困など、子どもを取り巻く深刻な問題は多岐にわたる。複数の省庁にまたがる政策を一元化し、対策を強力に進めるとした。

 当初は22年度の設置を見込んだため、検討作業は足早だった。なぜ新たな組織が要るのか。現行の省庁体制や政策の検証がおろそかになった面は否めない。

 省益を巡る駆け引きもあり、幼児教育や義務教育の権限は文部科学省に残し、新庁への移管を見送る「骨抜き」も見られた。

 新庁は首相直属の内閣府の外局とする。専任閣僚を置き、他省庁への勧告権を持つ。厚生労働省や内閣府の関係部署を移し、民間団体や自治体から登用する職員を含め300人規模で発足する。

 名称に「家庭」が付いたのは、自民党内で「子どもたちの育ちは家庭を基盤とする」との異論が出たためだ。夫婦別姓を認めないのと同様、旧来の家族観が背景にあるのか。社会全体で成長を支える主眼を忘れてはならない。

 日本は1994年に「子どもの権利条約」に批准しながら、対応する国内法を持たずにきた。ようやく具体化した基本法案には、権利保障の考え方、国や自治体の責務が盛られる見通しだ。

 独立機関として行政の政策を調査し、提言や勧告ができる「子どもコミッショナー」の設置が論点に挙がっている。ここでも、自民の議員から「権限が強すぎる」との意見が聞かれる。

 大人の視点だけで問題の解決を図るのではなく、子どもの思いを尊重し、代弁する仕組みだ。「子どもの権利」に対する理解を広める契機にもなるはずだ。

 岸田文雄首相は、子ども関連の予算を「倍増する」と言う。その時期も財源もはっきりしない。政府と国会が本腰を入れて取り組む姿勢を示し、負担のあり方を探る議論へとつなげたい。

 コロナ禍が追い打ちをかけ、食べ物にも事欠く窮状を訴える家庭が続出している。子どもたちの心身の不調や学習の遅れも目立つ。自殺や虐待が増えている。

 これまでの政策を丁寧に検証しつつ、大枠では同意する野党の提案も取り入れ、実効性の高い手厚い対策を実践してほしい。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 ニュースセレクト 社説・解説・コラム 【社説】  2022年01月31日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①》:受領側の処分 責任をうやむやにするな

2022-02-04 09:29:55 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

《社説①》:受領側の処分 責任をうやむやにするな

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:受領側の処分 責任をうやむやにするな 

 現金を配った河井克行元法相は公職選挙法違反で実刑がすでに確定している。受け取った側が誰も起訴されていないのは公正さを欠く。起訴すべきだとした検察審査会の判断は当然だ。

 2019年の参院選広島選挙区での買収事件である。現金を受け取ったとして告発された県議ら100人全員を東京地検特捜部は不起訴処分にしていた。

 検審は、このうち35人について起訴相当と議決した。地検が再捜査を経てあらためて不起訴とした場合も、検審が再び起訴相当と議決すれば強制起訴される。

 県議などの公職に就き、10万円以上を受け取って返金もしていない人について、起訴すべきだと判断した。全く処罰の対象にならないのは、現金の受領が重大な違法行為であることを見失わせる恐れがあると指摘している。

 河井元法相の妻、案里氏が立候補した選挙だ。元法相は県議のほか地元の首長や議員、後援会関係者らに計2800万円余を渡し、集票を依頼したとされる。

 選挙の公正を著しく害する極めて悪質な犯行だとして、東京地裁は懲役3年を言い渡した。元法相が控訴を取り下げ、確定している。案里氏も執行猶予付きの有罪が確定し、当選は無効となった。

 受け取った100人について地検は当初、刑事処分そのものを見送り、理由も説明しなかった。市民団体が公選法違反で告発し、昨年になって不起訴としている。

 死亡した1人を除く全員が、嫌疑はあるが起訴を見送る起訴猶予だ。いずれも受動的だったことや、起訴と不起訴の線引きが難しいことを理由に挙げた。納得がいく説明ではない。

 地域に影響力を持つ県議、首長らが、人によっては100万円を超す額を受け取った。うやむやにして済ませられない。再捜査を徹底し、責任を問う必要がある。

 もう一つ見落とせないのは、河井夫妻の裁判で検察に有利な証言をする見返りだったのではないかとの疑義だ。事実上の司法取引である。「先生は大丈夫です」といった、起訴しないことをにおわせるようなやりとりが検察との間であったことも分かっている。

 司法取引は、捜査に協力する代わりに刑事処分を軽くする制度として導入されたが、薬物などの組織犯罪や経済犯罪に対象が限られる。公選法違反には適用されない。法を逸脱した暗黙の取引が前例になれば、刑事司法のあり方をゆがめる。地検はその点についても明らかにしなければならない。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 ニュースセレクト 社説・解説・コラム 【社説】  2022年01月30日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②》:立民の選挙総括 政策中心で新たな共闘を

2022-02-04 09:29:50 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

《社説②》:立民の選挙総括 政策中心で新たな共闘を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:立民の選挙総括 政策中心で新たな共闘を 

 参院選に向けた展望は見えないままだ。

 立憲民主党が公表した昨年の衆院選の総括である。公示前から14議席減った結果を「敗北」と位置付けた。

 政権交代を訴え、大幅な議席上積みを目指した選挙だ。敗北との総括は当然だろう。ただし、原因を十分に検証したのか疑問だ。

 問題は、野党連携の評価だ。総括は小選挙区の野党候補の一本化について「一定の成果はあったものの、想定していた結果は伴わなかった」と強調。比例代表も23議席減となったことから「全体的な戦略の見直しを図る必要がある」と結論付けた。

 衆院選では、共産、社民、れいわ新選組の4党で共通政策に合意した。政権交代が実現した場合、共産が「限定的な閣外協力」をすることでも一致、7割超の選挙区で候補一本化が実現した。

 評価は簡単ではないだろう。小選挙区では9議席上積みした。都市部で新人の統一候補が、自民党の大物議員に競り勝ったのも共闘の成果といえる。

 問題は比例代表の落ち込みだ。総括では共産との閣外協力の合意が影響を与えたと分析した。「(共産とは)政権は一緒にしないという趣旨」だったのに、有権者に「(連立するなどの)誤解」となって伝わったとし、「慎重に対応する必要がある」と明記した。

 共産との連携をどう評価しているのか曖昧で分かりにくい。

 泉健太代表らは中道層へ支持を広げたい意向で、共産と共闘するイメージは逆風になると警戒する。一方、参院選で与党と対峙(たいじ)するには野党の候補者調整が欠かせない。共産との連携も必要だ。

 執行部は意見の違いを克服できず、新たな戦略を描けていないのではないか。

 共産と距離を置く国民民主の玉木雄一郎代表は「曖昧なままでは連携できない」と指摘。共産の志位和夫委員長は「認識が異なる」とする。参院選で野党共闘が進むのか不透明な情勢だ。

 共産との連携を巡っては、支援組織の連合も反発している。参院選基本方針の素案で、共産党と協力する候補を推薦しない意向を示すなど、強硬手段ともとれる方向性を打ち出した。

 必要なのは感情的な対立を乗り越え、政策を中心に議論することだ。共闘できるのはどの分野で、異なるのはどこなのか。明確にした上で合意できる政策を有権者に示し、候補者を調整していくべきだ。野党が共闘できなければ与党を利するだけである。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 ニュースセレクト 社説・解説・コラム 【社説】  2022年01月30日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【決別 金権政治】:現金受領、元後援会員の心境…「どんな処分も受け入れる」

2022-02-04 06:41:00 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【決別 金権政治】:現金受領、元後援会員の心境…「どんな処分も受け入れる」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【決別 金権政治】:現金受領、元後援会員の心境…「どんな処分も受け入れる」 

 「誰にも話せず、ずっと心がつらかった」。2019年7月の参院選広島選挙区での大規模買収事件で、河井克行元法相(58)=実刑確定=から現金10万円を受け取った元後援会員の80代男性が30日までに、広島市内の自宅で中国新聞の取材に応じた。東京地検の不起訴処分から一転、東京第6検察審査会(検審)が「不起訴不当」と議決したため、男性は2月上旬に検察に再聴取される。「罪を認め、どんな処分でも受け入れたい」と心境を語った。

「もう選挙には関わらん」。広島市内の自宅で検察審査会の議決を報じた新聞を眺める男性

 「検察から電話で『再捜査します』と言われた。これ以上、何を話せばいいんかの…」。男性は28日午後に東京地検から連絡を受けた。この事件で既に8回の聴取を受け、罪を認めてきただけに戸惑いは隠せない。地検からは自身が不起訴処分になったことも、今回の検審議決で「不起訴不当」とされたことについても説明はなく、いずれも報道の情報で知った。「自分はどうなるんか、ずっと心配じゃった」と明かす。

 長年、後援会員として克行氏を支えてきた。妻の案里元参院議員(48)=有罪確定=が出る参院選前の19年春、克行氏から案里氏の応援を頼まれ、「取っておいて」と封筒を差し出された。10万円が入っていた。

 ▽包み隠さず説明

 実は男性はこの以前にも複数回、克行氏から現金数万円を受け取っていた。「違法なカネ」と思い、誰にも明かすことはなかったが、大規模買収事件の聴取では検察から過去のカネについても問われた。男性は包み隠さず説明し、克行氏の公判でも証言した。

 今回、検審が下した「不起訴不当」の議決を重く受け止める。検察が再聴取後にどんな処分をしようとも真正面から向き合うつもりだ。選挙に関わらないと決め、自民党員も辞めている。

 気持ちの整理がつかないのは克行氏への思い。直接の謝罪は受けていない。「せめて後援会にはちゃんと謝ってほしかった。これだけ地元に迷惑を掛けたことを本当に反省しとるんか」

 ▽続投議員に不満

 一方、同様に検審議決で「不起訴不当」とされた広島県山県郡の80代男性には、地検から再聴取の連絡はない。克行氏から5万円を受け取り、これまでの検察の聴取で罪を認めてきた。「早く罰金を払って終わりにしたい。争うつもりはない」

 ただ、検審が起訴すべきだとする「起訴相当」の議決を受けながらも、職にとどまり続ける県議や広島市議に釈然としない思いを募らせている。

 ■決別 金権政治

 2019年夏の参院選で河井克行、案里夫妻が100人に計2901万円を配ったとされる買収事件では、選挙に絡んだお金のやり取りが浮き彫りとなりました。令和の時代も変わらない「金権選挙」。皆さんの地域でも耳にしたこと、目にしたことはありませんか。体験、情報、意見をぜひお寄せください。(中国新聞「決別 金権政治」取材班)

 元稿:中國新聞社 主要ニュース コラム・連載・特集 【決別 金権政治】  2022年01月30日  22:58:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【決別 金権政治】:辞職を検討、情状酌量期待 「起訴相当」の議員、漏れる声

2022-02-04 06:40:50 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【決別 金権政治】:辞職を検討、情状酌量期待 「起訴相当」の議員、漏れる声

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【決別 金権政治】:辞職を検討、情状酌量期待 「起訴相当」の議員、漏れる声 

 2019年の参院選広島選挙区の大規模買収事件で、東京地検が週明けにも「被買収」の広島県議や広島市議らの再聴取を始める。公職の辞職を一つの線引きとした東京第6検察審査会(検審)の議決公表から一夜明けた29日、「起訴相当」となった県議や市議からは「みそぎの辞職」を検討する声も聞こえ始めた。

 

 ▽「起訴されそうなら、その前に…」

 「2月上旬に広島地検に来いと言われた。印鑑を持ってきてほしいとも…」。河井克行元法相(58)=実刑確定=から現金を受け取った広島市議は中国新聞の取材にこう話し、2月上旬に再聴取されると明かした。

 克行氏の公判では検察側の証人として出廷し、現金受領の違法性を認める証言をした。28日に公表された検審の議決では「起訴相当」とされた。「再聴取でも裁判の時と同じように話す。それで辞めることになっても仕方ない」

 一方、同じく再聴取に呼ばれた別の広島市議は取材に「いったん辞職して、みそぎを示そうかとも思う。支持者も理解してくれるだろう」と打ち明けた。

 検審の議決書は、地方議員らの現金受領を「悪質で責任は重大」と非難。事件発覚後に公職を辞したかどうかを判断基準の一つに挙げ、「起訴相当」と「不起訴不当」に分類した。

 ▽公民権停止懸念

 「被買収」議員の中には、こうした辞職による「けじめ」が、検察による今後の刑事処分に少なからず影響することを期待する思いがある。再聴取で被買収罪を認めて刑が確定すれば、公民権停止となり、現職の議員は失職する。停止期間は原則5年で、その間は選挙に立候補できないだけに、政治家には切実な問題だ。ある市議は「辞職したら3年に縮まるといううわさもある」と皮算用する。

 念頭にあるのが、約1年後に迫った23年春の統一地方選だ。仮に公民権停止が5年であれば「次の次の選挙も出られないかも。8年間の空白は大きい」(広島市議)。辞職による情状酌量を期待する理由でもある。

 検審議決の衝撃は大きく、広島市議会と同じく「起訴相当」とされた議員が相次いだ県議会の一部からも辞職をほのめかす声が聞かれ始めた。ある県議は「起訴されそうなら、その前に辞めようと思う」と吐露。別の県議も「はっきり言って、もう辞めてもいいと思っている」と語った。

 ▽否認する構えも

 一方で、再聴取で被買収の容疑を否認する構えを見せ、法廷闘争を見据える議員もいる。裁判中であれば選挙への立候補もできるため、来年の統一地方選にも立つ方針という。

 大規模買収事件で「被買収」とされる県内の地方政治家は40人。そのうち辞職したのは8人にとどまる。それぞれ13人が属する県議会と広島市議会で辞職者は一人もいなかった。

 いちはやく辞職し検審の議決で「不起訴不当」となった元議員はこう推し量る。「県議会や広島市議会は、お金をもらっている議員さんがたくさんいるから、自分だけ辞めるわけにはいかんのじゃないかね。ある市議さんは『もう疲れた』って言いよっちゃったわ」 

 ■決別 金権政治

 2019年夏の参院選で河井克行、案里夫妻が100人に計2901万円を配ったとされる買収事件では、選挙に絡んだお金のやり取りが浮き彫りとなりました。令和の時代も変わらない「金権選挙」。皆さんの地域でも耳にしたこと、目にしたことはありませんか。体験、情報、意見をぜひお寄せください。(中国新聞「決別 金権政治」取材班)

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース コラム・連載・特集 【決別 金権政治】  2022年01月30日  00:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【決別 金権政治】:被買収の議員ら週明けにも再聴取 河井夫妻事件

2022-02-04 06:40:40 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【決別 金権政治】:被買収の議員ら週明けにも再聴取 河井夫妻事件

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【決別 金権政治】:被買収の議員ら週明けにも再聴取 河井夫妻事件 

 2019年7月の参院選広島選挙区の大規模買収事件で、河井克行元法相(58)=実刑確定=らから現金を受け取り、東京第6検察審査会(検審)が「起訴相当」か「不起訴不当」と議決した広島県内の地方議員や後援会員ら計81人について、東京地検が週明けにも再聴取を始める方針であることが29日、分かった。広島地検に順次出頭を求め、東京地検の検事が現金の授受や趣旨を再度聴取する見通しだ。

 関係者によると、東京地検は検審が議決内容を28日に公表した直後から、起訴相当か不起訴不当とされた県議や広島市議などの地方議員や後援会員らに電話で連絡し、再聴取の日程を調整している。週明けにも聴取が始まる見込みだ。現金を受け取った議員らの被買収罪の時効(3年)が3月下旬から順次成立することを念頭に、急ピッチで捜査する方針とみられる。

 ▽議員失職の可能性も…

 再捜査の対象となる81人の大半が、20年8月~21年6月に東京地裁であった克行氏らの公判に検察側の証人として出廷するなどし、現金を受け取る際に買収の意図を感じたと証言した。地検は今回、複数回の聴取を想定しているもようで、現金の授受や被買収の認識などをあらためて確認するなどし、起訴するかどうかを決めるとみられる。ある捜査関係者は「個々の証拠構造を一つずつ確認する必要がある」とする。

 克行氏らの確定判決によると、大規模買収事件で克行氏と妻の案里元参院議員(48)=有罪確定=が地方議員や後援会員ら100人に現金を渡した。東京地検は21年7月、「受動的な立場だった」などとして100人を不起訴処分にしたが、東京第6検審は県議や広島市議ら35人を起訴すべきだとする「起訴相当」、既に辞職した市町議や後援会員ら46人を「不起訴不当」と議決。いずれも検察の再捜査を求めた。

 地検が捜査に乗り出す前に現金を返却していた県議や後援会員ら19人は不起訴を妥当と認める「不起訴相当」で、捜査は終結した。

 起訴相当の35人は、再び検察が不起訴としても、検審が再審査し、起訴議決をすれば、強制起訴される。被買収罪の法定刑は3年以下の懲役か禁錮または50万円以下の罰金。起訴され、罰金刑以上が確定すれば、議員は公民権停止となり、失職する。

 <クリック>

 東京第6検察審査会の議決 市民団体などの申し立てを受け、参院選広島選挙区の大規模買収事件の「被買収者」とされる100人の不起訴処分が妥当かどうかを審査。公職に就いていたのに10万円以上を受領し、直後に返還もせず、辞職もしていない場合は起訴すべきだとの基準を示し、広島県議や広島市議ら35人を「起訴相当」とした。責任を取って辞職した市町議や5万円を受領した後援会員ら46人は「不起訴不当」とし、再捜査を求めた。議決書は28日に公表された。

 ■決別 金権政治

 2019年夏の参院選で河井克行、案里夫妻が100人に計2901万円を配ったとされる買収事件では、選挙に絡んだお金のやり取りが浮き彫りとなりました。令和の時代も変わらない「金権選挙」。皆さんの地域でも耳にしたこと、目にしたことはありませんか。体験、情報、意見をぜひお寄せください。(中国新聞「決別 金権政治」取材班)

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース コラム・連載・特集 【決別 金権政治】  2022年01月30日  00:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【決別 金権政治】:被買収者35人「起訴相当」 現職議員は静観の構え

2022-02-04 06:40:30 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【決別 金権政治】:被買収者35人「起訴相当」 現職議員は静観の構え

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【決別 金権政治】:被買収者35人「起訴相当」 現職議員は静観の構え 

 2019年参院選広島選挙区の大規模買収事件を巡って28日に公表された東京第6検察審査会(検審)の議決で、河井克行元法相たちから現金を受け取りながら公選法違反(被買収)の罪で不起訴処分だった100人のうち、35人が「起訴相当」となった。広島県内の地方政治家40人では県議や市町議たち30人が該当し、「不起訴不当」の6人を含めた計36人が検察の再捜査を受ける事態となる。現時点で辞職の意向を示す現職はおらず、検察の判断を待つ構え。ただ、起訴が現実味を帯び、「失職」と「法廷闘争」の間で揺れ始めた。

 ■河井夫妻事件、検察審査会が公開した議決全文(原本コピー)

 ■【一覧】「起訴相当」議決の政治家

 ▽起訴に現実味、動揺も 一部は法廷闘争示唆

 午前11時前。数十人に起訴相当との一報が流れると、県議会棟は騒然となった。報道各社が続々と集まり、会合から出てきた「起訴相当」の県議2人にカメラやマイクを向けた。

広島県議会棟で報道各社の取材に答える奥原県議

 「重いよ」。地方議員で最多の200万円を受け取った奥原信也県議(呉市)は表情を曇らせた。「ある程度予想していた」と明かし、進退判断は「まだ」と語った。砂原克規県議(広島市西区)は「これで終わりじゃないから」と、言葉少なに議会棟を去った。

 「起訴相当」は30人で、前市長2人(1人は受領時に県議)▽県議10人▽広島市議13人▽呉市議、尾道市議、元廿日市市議、元江田島市議、安芸太田町議各1人。起訴されて罰金刑以上が確定すれば公民権停止となり、現職は失職する。

 ■反発や悔恨…

 高山博州県議(尾道市)は「司法の判断で略式命令などで失職となっても、受け止める」、矢立孝彦・安芸太田町議は「起訴されても受け入れるしかない」と話す。一方、谷口修・広島市議(安佐南区)は「起訴は受け入れられない。裁判で争うことも考えている」と法廷闘争の可能性を示唆。木山徳和・広島市議(中区)は「もし起訴されたら同僚議員と足並みをそろえる」との姿勢だ。

 現金を受け取った首長3人はいずれも辞職し、うち2人が「起訴相当」となった。受領額150万円を検審で「高額」と指摘された天満祥典・前三原市長は「市長を辞めて社会的責任を取った。起訴相当とは思わなかった」。県議時代に2回計60万円を受け取った児玉浩・前安芸高田市長は「悔やんでも悔やみきれない」と神妙だった。

 検審は6人について、大規模買収事件後に受領事実を認めて議員辞職した点などを「責任ある行動を取った」としつつ、「不起訴不当」で検察に再捜査を求めた。「起訴相当」と同様に、起訴の可能性を残す。

 ■「済んだこと」

 繁政秀子・元府中町議は「辞めて、お金も返して責任を取り、済んだことと思っていた。(起訴された場合の対応は)全然考えていない」と戸惑う。小坂真治・前安芸太田町長は「検察に起訴されても受け入れるしかない。大規模買収事件については、もう終わってほしい気持ちの方が強い」と明かした。

 現金を受領直後に河井氏側へ返した行為を検審から「適切」と判断された4人は「不起訴相当」だった。山下智之県議(廿日市市)は「線引きが難しく、議員はまとめて不起訴不当と思っていたので、不起訴相当に驚いた。ようやく前を向いて議員活動をできる」とほっとした様子だった。

 沖井純県議(江田島市)は「自分の中では一つの区切り」、窪田泰久県議(南区)は「支援者への説明を時間をかけてする」、仁井田和之・元廿日市市議は「もう区切りがついたことだ」とそれぞれ語った。

 ◇広島知事「判断重い」 県・市議会議長、再調査は否定

 大規模買収事件を巡る検察審査会の議決では、現金を受け取った広島県議10人と広島市議13人が「起訴相当」となった。県、市のトップたちは28日、議決を重く受け止めつつ、東京地検の再捜査を見守る姿勢を示した。

 23人は起訴されて罰金刑以上が確定すれば、公民権停止で失職する。県議会、市議会で多くの欠員が発生し、時期や定数によって補選となる可能性がある。

 湯崎英彦知事は県庁で「検審の判断は重い。検察の処分の推移を見守る」と述べた。県政界への影響では「信頼が得られるよう、全員で努力していかなければいけない」と語った。

 県議会の中本隆志議長は県議会棟で、今後の対応について「再捜査の判断を見極める」と繰り返した。条例に基づき、公正を疑われるような金品の授受を調べる政治倫理審査会を再び開く考えはないとした。

 松井一実市長は市役所で「現金を受け取った人たちの事情を個別に分析した結果だろう」と受け止めた。市議会の佐々木寿吉議長は市議会棟で「市民から再発防止を求められており、議会としても起きないようにする必要がある」とした上で、13人から再び事情を聴く考えは否定した。(河野揚、久保田剛、新山創)

 ■決別 金権政治

 2019年夏の参院選で河井克行、案里夫妻が100人に計2901万円を配ったとされる買収事件では、選挙に絡んだお金のやり取りが浮き彫りとなりました。令和の時代も変わらない「金権選挙」。皆さんの地域でも耳にしたこと、目にしたことはありませんか。体験、情報、意見をぜひお寄せください。(中国新聞「決別 金権政治」取材班)

 元稿:中國新聞社 主要ニュース コラム・連載・特集 【決別 金権政治】  2022年01月28日  23:18:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【決別 金権政治】:「一律不問」に国民疑義 迫る時効、再捜査に注目

2022-02-04 06:40:20 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【決別 金権政治】:「一律不問」に国民疑義 迫る時効、再捜査に注目

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【決別 金権政治】:「一律不問」に国民疑義 迫る時効、再捜査に注目 

 検察の「一律不問」に国民が異を唱えた―。参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件で、現金を受け取った地方議員ら100人全員を不起訴とした東京地検の処分に対し、市民でつくる検察審査会(検審)は明確な「線引き」を示し、起訴を求めた。今後、検察側の再捜査の行方が焦点となる。3月以降には順次時効も迫る中、専門家は「検察は早急に結論を出すべきだ」と指摘する。

検審の議決を受け、広島県庁で記者会見する市民団体の山根前事務局長(右端)

 「市民の目線で一つ一つを審査したことは評価したい」。100人の審査を申し立てた広島市の市民団体「河井疑惑をただす会」の山根岩男前事務局長(70)はこの日、広島県庁で記者会見し、東京第6検審の議決をこう受け止めた。

 検審は今回、県議などの公職にありながら10万円以上を受け取り、直後に返金せず、辞職もしていない受領者を中心に35人を「起訴相当」とした。山根さんは「議員自らがけじめをつけることが必要」と訴える。

 河井克行元法相(58)らの確定判決によると、100人は2019年3月23日から8月1日にかけて克行氏らからカネを受け取っていた。公選法違反(被買収)罪の公訴時効は3年。早ければ3月下旬から順次時効が成立する計算となる。

 当時現職の政治家だった40人に限って審査を申し立てていた別の市民団体の藤岡圭二会長(78)は「捜査を寝かせて、時効が成立することは許されない。検察には国民が納得できる処罰を求めたい」とくぎを刺す。

 ■裁量で不起訴に

 検審が不起訴処分を覆した事件は検察内部で「検審バック」と呼ばれ、再捜査を余儀なくされる。証拠不十分で不起訴にした事件の場合、検察は証拠を再度分析し、関係者を再聴取するなどして起訴できるかどうかを検討する。

 ただ、今回はそうした事件とは違い、起訴できるだけの証拠がありながら、検察の裁量で不起訴(起訴猶予)にしたケースだ。河井夫妻から現金を強引に渡された人がいた点などを考慮したという。

 「すでに証拠はそろっている。再捜査に時間は要さないだろう」。広島地検特別刑事部長などを務めた郷原信郎弁護士はこう見立てる。過去の買収事件では受領額が1万円未満でも起訴された例もある。「過去の処分基準をみても再び不起訴は考えられない」

 ■相次ぐ判断一転

 検審は、起訴権限を握る検察庁に民意を反映させる目的で設けられ、国民から無作為に選ばれた11人が審査に当たる。近年、東京地検が捜査した政治家や官僚の疑惑では、「起訴相当」の議決後、検察が当初の判断を覆した例が相次ぐ。選挙区内で現金を配布した菅原一秀・元経済産業相や、賭けマージャン問題の黒川弘務・元東京高検検事長は、いずれも再捜査後に略式起訴されている。

 「政治とカネ」の問題に詳しい日本大の岩井奉信名誉教授(政治学)も「検審の市民感覚を検察側もむげにできないだろう。一律不起訴処分に納得していない国民は多い。検察は当初の判断を変える可能性は十分にある」と指摘する。

 専門家の間では当初から「起訴相当」の議決を予想する見方も出ていた。東京地検の幹部は「これから急ピッチで再捜査する」と明言した。

 ■決別 金権政治

 2019年夏の参院選で河井克行、案里夫妻が100人に計2901万円を配ったとされる買収事件では、選挙に絡んだお金のやり取りが浮き彫りとなりました。令和の時代も変わらない「金権選挙」。皆さんの地域でも耳にしたこと、目にしたことはありませんか。体験、情報、意見をぜひお寄せください。(中国新聞「決別 金権政治」取材班)

 元稿:中國新聞社 主要ニュース コラム・連載・特集 【決別 金権政治】  2022年01月28日  23:17:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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