路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説】:ヤングケアラー1088人 実態把握と支援が急務だ

2022-02-13 05:04:55 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【社説】:ヤングケアラー1088人 実態把握と支援が急務だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:ヤングケアラー1088人 実態把握と支援が急務だ 

 県が県内小学5年から高校3年までの学級担任を対象に実施したアンケートで、ヤングケアラーと思われる子どもが少なくとも1088人(全児童生徒の0・86%)確認された。

 ヤングケアラーは、大人が担うような家事や家族の世話を日常的に行う18歳未満の子どもを指す。県による初の調査で、実態把握に向けた第一歩として評価したい。ただ対象は担任だったため実態を反映していない可能性がある。
 確認された人数について識者は「氷山の一角」と指摘し、実際はもっと多いとみる。今後、さらなる実態の把握を進め、困っている子どもへの支援につなげることが急務だ。
 調査結果によると、1088人の内訳は小学5・6年生239人、中学生508人、高校生341人。ケアの状況を見ると「家族の代わりに幼いきょうだいの世話をしている」が43・6%で最多だった。「障がいや病気のある家族に代わり、家事をしている」13・8%、「目を離せない家族の見守りや声掛けをしている」7%などと続いた。
 問題は学校生活への影響である。学校を「休みがちである」が20・2%、「精神的な不安定さがある」15%、「遅刻や早退が多い」と「学力が低下している」がそれぞれ13・2%と多かった。
 「○人~○人」など概数での回答もあり、県は最少の数字を発表したため実際はさらに多い。回答率も70・4%なので、約3割の担任が答えていないことから、実際の数はさらに増えるとみられる。
 全児童生徒の0・86%という割合は、昨年3月に国が実施した実態調査と比べても小さい。国の調査では中学生5・7%、高校生は4・1%だった。昨年11月に糸満市が実施した実態調査を見ても市内小学5・6年生と中学生のうち14・3%を占めた。
 そもそもヤングケアラーの存在は把握しにくい。子どもは家族の障がいや病気などについて相談することに引け目を感じることが多い。一方、社会には「世話や介護は家族で支えて当たり前」という風潮が根強い。こうしたことが存在の把握を妨げている。
 このため、まずは周りの大人が存在に気付くことが重要だ。学校の教師やPTA関係者、隣近所や地域の人々、親戚らが普段から意識し、子どものSΟSを察知することである。子どもたちが相談しやすい環境づくりも求められる。
 県の調査はヤングケアラーへの認知度を高める点でも意義がある。調査では担任の約3割が認識不足だったことも判明した。これを機に認識を深めてほしい。
 県は新たな子ども貧困対策計画にヤングケアラーの実態調査を盛り込む方針だ。子どもの貧困問題と重なる面にも着目し、総合的に捉える必要がある。教育、福祉だけでなく、医療や介護の分野も含めて連携し、効果的な支援につなげてほしい。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年02月13日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:「遺骨条例」制定を陳情 実現へ直ちに取り組みを

2022-02-13 05:04:45 | 【第二次世界大戦・敗戦・旧日本軍・広島、長崎原爆投下・核兵器禁止条約

【社説】:「遺骨条例」制定を陳情 実現へ直ちに取り組みを

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:「遺骨条例」制定を陳情 実現へ直ちに取り組みを 

 遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表や研究者らが、戦没者遺骨の保全を図る条例の制定を求める陳情書を沖縄県議会に提出した。開発行為による遺骨の散逸を防ぐため、事前に知事に届け出て遺骨の有無を確認できるようにするというものだ。県議会は2021年4月、「悲惨な沖縄戦の戦没者の遺骨等が混入した土砂を埋め立てに使用しないこと」を求める意見書を全会一致で可決している。条例は意見書の趣旨と一致する。条例実現に向け直ちに取り組んでほしい。

 遺骨を含む可能性のある土砂の問題は、辺野古新基地建設で大浦湾の軟弱地盤改良工事に伴う設計変更申請で表面化した。当初、西日本の各地から調達する計画だった土砂を県内調達とし、県内の調達先を本島北部から県全域に拡大した。
 これを受け具志堅さんは、沖縄戦の戦没者遺骨を含む可能性のある地域の土砂採掘は戦没者や遺族を冒瀆(ぼうとく)するもので人道に反すると訴え、運動を展開した。政府に計画の撤回を求めるとともに、知事に提出されていた糸満市の土砂採掘事業計画に中止命令を出すよう求め、ハンガーストライキや署名に取り組んだ。
 糸満市での事業に対し玉城デニー知事は、自然公園法に基づき「風景を保護するために必要な措置を取る」とする措置命令にとどめ、「県として最大限取り得る行政行為」と説明した。この時「さらに取り得る最善の策があり得るか、条例等の制定の必要性も踏まえて考える必要がある」と述べている。知事は今回の陳情に応えるべきだ。
 県外からの土砂で外来種が侵入することを防ぐ県条例を適用されないため、というのが、政府が土砂の調達先を切り替えた理由だ。21年3月19日付本紙声欄に「外来生物混入はダメで遺骨混入はいいというのか」という遺族の意見が掲載された。誰もが抱く疑問だろう。
 具志堅さんは遺骨の問題は新基地への賛否ではなく「人道上の問題」と強調し、さらに戦没者の出身は全国に広がっていることから「全国の問題」と訴えてきた。そして、全国の都道府県・市町村1743議会に意見書可決を促す要望書を送った。具志堅さんによると、現在、可決は県内30、県外176の計206議会に達しており、さらに増える見込みだ。「人道上の問題」「全国の問題」という認識が浸透しつつある。
 全会一致だった沖縄県議会の意見書は「日本政府が主体となって戦没者の遺骨収集を実施すること」も求めた。国策としての戦争が国内外に多大な犠牲を強いた。その戦没者の遺骨や遺族にどう向き合うのかということが、政府にも県にも問われている。
 条例は新基地計画に影響するがそれ以前に、県も県議会も、戦没者の声なき声、全国の遺族の声にどう応えるのかを考えるべきである。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年02月12日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:2022年度県予算案 暮らしの安定へ全力を

2022-02-13 05:04:35 | 【地方自治・都道府県市町村・地方議会・議員年金・デジタル田園構想・地方地盤沈下】

【社説】:2022年度県予算案 暮らしの安定へ全力を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:2022年度県予算案 暮らしの安定へ全力を 

 県の2022年度一般会計当初予算案が8606億2千万円に決定した。21年度当初予算を694億円(8.8%)上回り、2年連続で過去最高額を更新した。

 当初予算規模として初の8千億円台となった今回の予算編成は、新型コロナウイルス感染拡大の長期化で影響を受ける県民生活や地場産業を手厚く支援する決意を示したものだろう。支援事業の迅速な執行など、暮らしの安定に全力を挙げてもらいたい。
 県内でコロナウイルス感染が確認されて2年になる。新たな変異株の流行で今もまん延防止等重点措置が適用されるなど、収束の見通しは立っていない。
 その中で都道府県のかじ取りはますます重要になっている。医療界と連携をとり、感染の拡大を防ぐ措置や地域医療体制を崩壊させない対策を躊躇(ちゅうちょ)なく講じるリーダーシップが求められる。それとともに経済の疲弊や雇用の悪化、教育の混乱を抑える有効な施策も重要だ。
 県は今回の当初予算案で、新型コロナ対策関連の費用として1281億円を計上した。予算全体の約15%を占める規模だ。医療体制の構築やワクチン接種促進などの感染症対策に加え、コロナ後の沖縄観光の立て直しで国内旅行需要の喚起策「Go Toおきなわキャンペーン」に376億円、県民の県内旅行を助成する「おきなわ彩発見キャンペーン」に79億円と大型の予算を確保する。
 観光産業の安定化を図る基金設置条例も制定し、一般会計から40億円を積み立てる。危機に強い沖縄観光へと足腰を強める契機としたい。
 22年度は、沖縄の日本復帰50年以降の新たな沖縄振興計画がスタートする。玉城デニー知事にとっては1期目の最終年度として、「誰一人取り残さない社会」に向けた集大成の予算編成ともなった。
 子どもの貧困対策で、「県子どもの貧困対策推進基金」の設置期間を31年度までに延長し、過去最大の60億円規模に積み増す。復帰50年の記念では5月15日の記念式典をはじめ、アジア太平洋地域の緊張緩和に向けた県独自の「自治体外交」施策、首里城地下の第32軍司令部壕保存・公開事業、第7回世界のウチナーンチュ大会など42事業を企画する。関連事業の総額は約58億8千万円となる。
 節目の年を反映した重要な予算案となる。一方で、県の借金返済に当たる公債費も歳出の7.9%を占める。コロナ禍で歳出圧力が強まる中、無用に予算や借金を膨らませない財政規律も必要だ。
 そうした中で、国の沖縄関係予算が前年度比約330億円減となったことで、県の投資的経費はここ10年で最も低くなる見通しだ。予算は県民の暮らしに直結する。基地問題を巡り対立する県を財政面で追い込むため、国が予算を恣意(しい)的に運用することがあってはならない。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年02月11日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:MICE施設縮小 新型コロナ後の戦略示せ

2022-02-13 05:04:25 | 【地方自治・都道府県市町村・地方議会・議員年金・デジタル田園構想・地方地盤沈下】

【社説】:MICE施設縮小 新型コロナ後の戦略示せ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:MICE施設縮小 新型コロナ後の戦略示せ 

 県は、企業の報奨旅行や国際会議などを開催する大型MICE(マイス)施設について、主要施設となる展示場面積を、従来計画の3分の1となる1万平方メートルに縮小する方針を固めた。

 採算性の問題をはじめ、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、大人数が集まるMICE施設の需要が世界的に変化していることも影響しているという。
 果たして施設の規模を縮小することによって、国際観光都市として経済振興の核にするという目的を達成できるのか。施設整備ありきという姿勢であるなら県民の理解は得られまい。県はコロナウイルス収束後の明確なMICE戦略を示さなければならない。
 大型MICE施設は、沖縄経済の重要な基盤となる。アジアと日本をつなぐ沖縄の優位性を生かし、国際的な経済・学術交流、展示会・見本市の一大拠点となる可能性がある。参加者の滞在期間が比較的長く、経済・消費活動の裾野が広い。それだけではない。海外企業が沖縄を訪れることで新たな商機が生まれ、沖縄のブランド力の向上にもつながることが期待される。
 県が施設縮小の理由に挙げている採算性の問題は、国にも責任がある。県は沖縄振興特別推進交付金(一括交付金)を財源とした整備を予定していたが、事業の採算性などを理由に国が交付を認めず、活用を断念せざるを得なかったからだ。
 振興計画である「沖縄21世紀ビジョン基本計画」に大型MICE施設を核とした産業振興が盛り込まれている。一括交付金の要件に合致しているはずだ。予算がつかないために、事業に着手できず機会損失を招いている。国の姿勢は、かつて都市モノレールの予算計上をしぶった沖縄開発庁と重なる。
 そこで県は、行政と民間が連携して公共サービスを提供する「PPP」の手法で事業化する方針を決めた。
 一方、新型コロナウイルスの感染拡大によって、当初計画の変更を迫られていることは確かだ。世界的に大規模イベントの中止やMICEの延期が相次いだ。2020年の県内MICE開催件数は前年比70%減の490件と大幅に落ち込んだ。オンラインイベントが主流となり、県関係者はこの傾向が続くとの見方を示している。
 しかし、オンラインMICEには限界が指摘されている。そこでリアルとオンラインを組み合わせたハイブリッド式会議が増えている。少なくとも、オンラインやハイブリッドに対応できる最先端技術を導入し、付加価値の高い施設が求められる。
 大規模化を目指さないのなら、どういう施設を目指すのか具体的に示してもらいたい。人流減少による地域経済への波及効果はどうなるのか、沖縄の魅力をどう発信していくのか。県には丁寧な説明が求められる。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年02月10日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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