路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説①】:揺らぐ世界経済 協調して影響最小限に

2022-02-28 05:05:55 | 【ロシア・北方領土・シベリア開発・サハリン石油天然ガス・ウクライナ侵攻犯罪】

【社説①】:揺らぐ世界経済 協調して影響最小限に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:揺らぐ世界経済 協調して影響最小限に 

 ウクライナを軍事侵攻したロシアに対し、米欧が金融・貿易面での経済制裁を強めている。

 新たに、ロシアの特定の銀行を国際決済ネットワーク「国際銀行間通信協会(SWIFT)」から排除する方針を表明した。

 国をまたぐ送金・決済が難しくなることから、極めて大きな威力を持つとの見方がある。

 国際法に背くロシアの暴挙を阻むには厳しい措置が欠かせないと判断したのだろう。

 ただ制裁の痛みは、制裁する側にも及びかねない。

 世界経済は既に動揺している。最大の要因は原油高だ。世界生産の1割を占めるロシアからの供給が制裁で細ると懸念されている。

 欧州がロシアに依存する天然ガスの価格も値上がりしている。

 エネルギー価格上昇は、世界のインフレに拍車をかけよう。コロナ禍からの回復途上にある景気が失速しかねない深刻な事態だ。

 世界経済への打撃を最小限に抑える努力が求められる。日本を含む主要7カ国(G7)など各国が連携して混乱を乗り越えたい。

 新たな制裁のメニューには、ロシア中央銀行への取引制限措置も盛り込まれた。

 通貨ルーブルの下落を防ぐ売買を封じるものであり、ルーブル暴落や大幅な物価上昇を引き起こす可能性がある。

 ロシア国内の経済・金融面の混乱が海外に波及しないか、米欧日の当局は目を凝らすべきだ。

 侵攻後に世界の株式市場は軒並み大幅下落した。制裁でマネーの流れが滞れば、株式などの資産にさらなる値下がり圧力がかかる。

 実体経済に影響が及び、設備投資や個人消費が冷え込む事態は回避しなければならない。

 先行きを左右するのが米連邦準備制度理事会(FRB)だ。

 インフレを抑制するため、来月中旬にも利上げによる金融引き締めに踏み切ることにしている。

 ただこうした方針は、ウクライナ侵攻以前に固めたものだ。

 景気は今後、下降線をたどる恐れがある。急激な引き締めは世界経済に悪影響を及ぼしうる。

 FRBは既定方針に縛られることなく、臨機応変に最適な金融政策を実施してもらいたい。

 コロナ禍で疲弊した途上国の経済は、侵攻や制裁の余波の打撃を被りやすい。ウクライナの市民生活も気がかりだ。

 G7のほか世界銀行など国際機関は、影響を怠りなく見極め、十分な支援を講じてほしい。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年02月28日  05:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説②】:神恵内村長選 調査同意と言い切れぬ

2022-02-28 05:05:50 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【社説②】:神恵内村長選 調査同意と言い切れぬ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:神恵内村長選 調査同意と言い切れぬ 

  高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた文献調査が行われている後志管内神恵内村の村長選で、現職の高橋昌幸氏が6選を果たした。

 隣接する泊村在住で脱原発活動を続ける新人の瀬尾英幸氏を大差で下した。村長選は36年ぶりの選挙戦となり、調査継続の可否が争点だった。

 だが高橋氏は「次の概要調査は村民の意見を聞いて調査を続行するか決断する」と述べるだけで、争点化を避けてきた。

 この選挙結果をもって、村民が概要調査に進むことに同意したとは言い切れない。

 瀬尾氏が獲得した48票は、反対の声を示したものと言ってよいだろう。

 高橋氏は批判的な意見にも耳を傾け、丁寧な村政運営を進めることが求められる。

 投票率は89%で、昨年の衆院選道4区より約10ポイント高く、村政のリーダーを選ぶ機会に対する一定の関心はあったとみられる。

 今回の村長選は高橋氏にとっては初めて審判を受ける選挙となった。調査継続の信任を得られたかどうかについては「(当選とは)別の問題だ」と述べた。

 核ごみは無害化に約10万年かかる。選挙を終えても村内のみならず周辺自治体の不安や分断は残ったままだ。北海道の将来を左右する重大な課題でもあり、高橋氏は道民の声にも留意するべきだ。

 神恵内村では2020年11月から、同じ後志管内寿都町とともに文献調査が始まった。

 原子力発電環境整備機構(NUMO)と村が開く「対話の場」はこれまでわずか5回しか開かれていない。村民の間で核ごみ問題への理解が深まっているとは言い難い状態だ。

 村民が地層処分の危険性や反対派の専門家の意見など多様な情報に接することができるようにするべきだ。NUMOによる一方的な宣伝の場にしてはならない。

 寿都町は条例で概要調査前の住民投票が決まっている。

 高橋氏は文献調査終了後の対応について、自らの考えを示さねばならない時期が近づいている。

 選挙戦では巨額の交付金への対応も争点になった。文献調査で20億円、概要調査で70億円が国から配分される。

 ひとたび交付金に依存した財政運営を始めると、選定プロセスからの離脱は難しくなる。高橋氏は村の中長期的な将来展望を村民に示すことも求められる。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年02月28日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【卓上四季】:マシンとスルー

2022-02-28 05:05:45 | 【地方自治・都道府県市町村・地方議会・議員年金・デジタル田園構想・地方地盤沈下】

【卓上四季】:マシンとスルー

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:マシンとスルー

 かつて道内で選挙のたびにまことしやかにささやかれた言葉が「道庁マシン」だった。時の知事や道幹部の意中の候補を当選させるために道庁組織の末端までフル回転させ、業界の集票を働きかけたとされる。道議会で知事を厳しく追及した議員の選挙区で対抗馬に肩入れする露骨な動きもあったという

 ▼予算や権限をテコにした道庁の影響力が隅々まで張り巡らされ、業界もそれに応える集票力を誇っていた時代だ。法令違反のリスクは承知の上で容認する空気が官民にあった

 ▼堀達也知事の下での1990年代後半ごろから、不正経理や農業土木談合などで道庁も自己改革を迫られ、いつしか死語になった

 ▼それは結構だが、道庁の存在感まで希薄になってはいないか。最近は市町村が国と直接予算獲得の交渉をする「道庁スルー」なる言葉が生まれた。新年度予算案も小粒で新味に乏しい

 ▼財政難に加え、コロナ対策に忙殺され仕方のない面はあろうが、2000年代以降の人員・給与削減で職員の士気の低下が否めないとも聞く

 ▼堀道政の「時のアセスメント」は公共事業見直しの先駆けとして全国で注目された。カネはなくとも、要は知事と職員の先見性、創意工夫とやる気次第ということか。今週、論戦が始まる道議会の役割も重要だ。密室で文言の一字一句をすり合わせる答弁調整に時間を費やしていては、斬新な政策など生まれない。2022・2・28

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2022年02月28日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説①】:日本の対ロ姿勢 暴挙には毅然と対応を

2022-02-28 05:05:40 | 【ロシア・北方領土・シベリア開発・サハリン石油天然ガス・ウクライナ侵攻犯罪】

【社説①】:日本の対ロ姿勢 暴挙には毅然と対応を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:日本の対ロ姿勢 暴挙には毅然と対応を 

 ロシア軍のウクライナ侵攻を受け、岸田文雄首相は「力による一方的な現状変更は認められない」と非難し、ロシアへの制裁措置を相次いで打ち出した。

 国際秩序を揺るがす暴挙に対し、日米欧の先進7カ国(G7)を中心とした結束に主体的に参画していく姿勢が欠かせない。

 日本はロシアと北方領土交渉を抱えている。主権と領土を侵す行為には毅然(きぜん)とした態度で臨む必要がある。

 中国は台湾統一を目指し、北朝鮮は核開発を進める。ロシアの不法行為がアジアの安全保障環境に影響を与えないよう、日本の積極的な外交努力が求められる。

 首相は25日、ロシアの個人・団体の資産凍結、査証(ビザ)発給停止、半導体など汎用品の輸出規制を発表した。

 先端技術関連の輸出規制や天然ガスパイプラインの稼働手続き停止といった強い制裁を科す欧米と足並みをそろえた格好だ。

 ロシアが2014年にウクライナ南部のクリミア半島を一方的に編入した際、当時の安倍晋三政権は欧米に比べて対ロ制裁の内容を軽微にとどめた。

 北方領土交渉の進展に期待したためだ。しかし、日ロが具体化を目指す四島の共同経済活動などは一向に進んでいない。

 旧ソ連は77年前、日本との中立条約を無視して北方四島を不法に占拠した。同様のことがウクライナで行われているように見える。

 首相は北方領土問題について「当面は論じることは控えなければならない」との認識を示した。

 今の状況では、法と正義に基づいて解決されるべき領土問題の大きな進展は期待できまい。

 与野党から、安倍政権が設けた「ロシア経済分野協力担当相」ポストについて、廃止要求などが出ている。交渉戦略の抜本的な見直しは急務である。

 日本の周辺国に対する外交の重要性は高まっている。

 中国はロシア寄りの姿勢を示しつつ、「各国の主権と領土保全を尊重している」とも述べている。 日本は中国との関係維持に努め、ロシアに自制を求めるよう一層促すべきである。同時に、歴史問題で亀裂が深まる韓国と関係を改善し、北朝鮮を含めたアジアの平和維持につなげることが大事だ。

 資源国であるロシアへの制裁で、原油高の懸念が強まっている。

 政府は国民生活への影響にも細心の注意を払い、暮らしを支える対策を急いで講じる必要がある。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年02月27日  05:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説②】:NHK字幕問題 背景も検証するべきだ

2022-02-28 05:05:35 | 【新聞社・報道・公共放送NHKの功罪・マスコミ・雑誌・世論調査】

【社説②】:NHK字幕問題 背景も検証するべきだ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:NHK字幕問題 背景も検証するべきだ 

 公共放送への信頼を根幹から揺るがしかねない深刻な事態だ。

 昨年12月に放送されたNHKのBS番組「河瀬直美が見つめた東京五輪」で事実と異なる字幕を付けた問題で、NHKは内部調査の報告書を公表し、制作担当者ら6人を懲戒処分とした。

 曖昧な情報を基に裏付け取材がないまま制作され、上司のチェックも働かなかったと結論づけた。

 番組制作の基本をおろそかにしたこと自体、極めてお粗末だが、問題はそこにとどまるだろうか。

 字幕は、世論を二分した東京五輪開催の反対デモがカネで参加者を募っていたとの印象を与えた。

 背景にNHKの五輪開催推進の姿勢があり、それが反対論への偏見から虚偽の字幕へとつながった可能性を指摘する声もある。

 放送倫理・番組向上機構(BPO)は放送倫理違反の疑いがあるとして審議に入った。NHKの体質に切り込んだ検証を求めたい。

 番組は東京五輪公式記録映画の監督として、コロナ禍の東京五輪をどう伝えるかを模索する河瀬さんやスタッフに密着取材した。

 「五輪反対デモに参加しているという男性」が、「実はお金をもらって動員されていると打ち明けた」との字幕が流れた。

 実際は参加の事実確認をしていなかった。しかも放送はされなかったがインタビューで男性は「お金をもらって、いろいろなデモに参加している」ものの「五輪反対デモは行かない」と話していた。

 ところが担当ディレクターはインタビュー後に「参加する可能性はある」との話を聞いたとして、誤った思い込みになった。

 五輪反対運動は、一部の偏った人たちがお金で動員して行っていた―。番組を見てこんな印象を抱いた視聴者は少なくあるまい。

 報告書は「当該シーンを放送することがどのような意味合いを持つか」との認識が欠落していたと指摘したが、制作現場の落ち度として片付けていいのだろうか。

 NHKの事業計画には東京、北京の両五輪について「数多くの競技中継や関連番組を通じ、大会の盛り上げに寄与する」とある。

 昨年4月に東京五輪聖火リレーの映像をインターネットで配信した際は、「五輪反対」と声を上げた人々の音声を消去し、放送をゆがめるものだと批判が相次いだ。

 五輪開催推進ありきの局全体の姿勢が、反対運動を問題視し、見下すような空気を現場にもたらさなかったか。NHKはそうした疑問に正面から答えてもらいたい。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年02月27日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【卓上四季】:世代超えた訴え

2022-02-28 05:05:30 | 【第二次世界大戦・敗戦・旧日本軍・広島、長崎原爆投下・国策犠牲・戦後補償

【卓上四季】:世代超えた訴え

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:世代超えた訴え

 米国の女子高生カレンは、歴史の授業で級友の発表に驚いた。第2次大戦中の日系人隔離政策に反発して合衆国を相手に提訴し、最高裁まで闘った一人がカレンの父フレッド・コレマツ(日本名・是松豊三郎)だというのだ。初耳だった

 ▼日系2世のフレッドは、真珠湾攻撃を受けての「大統領令9066号」に基づく日系人への退去命令に反したとして逮捕され、提訴を決意する。裁判を受けられずに自由を奪われるのは不当だと訴えたが、退けられた

 ▼新証拠が見つかり再審が始まったのは約40年後。「人種や宗教や肌の色に関係なく、同じアメリカ人があのような扱いを二度と受けないように」と訴え、逆転勝訴した。33歳になった娘は、父が誇らしかった(「正義を求めて」小峰書店)

 ▼やがて政府は非を認め、謝罪と賠償を行うことになる。背景には、強制収容所に送られた日系人の子どもたちによる粘り強い運動があった。カレン・コレマツさんもいま、父の名を冠した人権団体の代表として人種差別撤廃を訴えている

 ▼悪名高き大統領令発布から80周年の今月、米国各地で日系人団体が、歴史を心に刻む行事を開いた。世代を超えた息の長い訴えには力がある

 ▼バイデン大統領は、日系人の強制収容が「ニドト・ナイ・ヨウニ」と誓う、日本語を交えた談話を発表した。歴史への誠実さにおいて、日本の政治指導者が刮目(かつもく)すべき対応だ。2022・2・27

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2022年02月27日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【選挙】:神恵内村長6選 「核ごみ」深まらず 圧勝の陰 潜在的な批判

2022-02-28 05:05:25 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【選挙】:神恵内村長6選 「核ごみ」深まらず 圧勝の陰 潜在的な批判

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【選挙】:神恵内村長6選 「核ごみ」深まらず 圧勝の陰 潜在的な批判

 【神恵内】36年ぶりの選挙戦となった後志管内神恵内村長選は核のごみの最終処分場選定に向けた文献調査を受け入れた現職高橋昌幸氏(71)が新人に圧勝するワンサイドゲームとなった。過疎化が進む人口800人弱の小さな村の有権者は多額の交付金が得られる調査にお墨付きを与えた形だ。ただ、強い地盤を持つ現職と村外から来た落下傘の新人という構図だけに選挙戦への関心は最後まで高まらず、核のごみの議論は深まらなかった。

 高橋氏は6選を決めた後、「私に投票しなかった方の思いがどこにあるか、これから分析しないといけない」と記者団に述べた。一方、「民主主義だから多数の声も大事にしないといけない」とも述べ、得票率89%の選挙結果を受け、文献調査を受け入れた自らの判断に自信を見せた。残り:1166文字 全文:1547文字

※:この記事は会員限定です。いますぐ会員登録して続きをお読み下さい。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【地方自治・北海道・選挙・後志管内神恵内村長選】  2022年02月28日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説】:泡盛「無形遺産」申請へ 世界普及へ「百年構想」を

2022-02-28 05:04:55 | 【経済・産業・企業・起業・関税・IT・ベンチャー・クラウドファンティング

【社説】:泡盛「無形遺産」申請へ 世界普及へ「百年構想」を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:泡盛「無形遺産」申請へ 世界普及へ「百年構想」を 

 政府は泡盛を含む国内の「伝統的酒造り」を国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に申請する。

 出荷量の低迷が続く泡盛業界にとっては久しぶりの朗報だ。県酒造組合も泡盛のさらなる普及、輸出拡大につなげる好機と捉えている。
 沖縄が誇る名酒をどうやって世界に展開するか。最大の特長である「古酒」、それを支える「仕次ぎ」の文化を発信することが重要になる。古酒は一朝一夕には育たない。100年後を見据えた泡盛文化の基盤固めへ、県民の知恵を結集する必要がある。
 国の文化審議会が挙げた無形文化遺産申請候補には、泡盛だけでなく日本酒、焼酎、みりんも含む。麹(こうじ)による発酵という共通点があり、祭礼など「酒」が日本文化に不可欠なものであるという理由だ。
 中でも泡盛は沖縄固有の黒麹菌を使うのが特長だ。黒麹菌は発酵過程で大量のクエン酸を生み出す。もろみを強い酸性に保つことで雑菌の繁殖や腐敗を避ける。高温多湿の沖縄に最適な技法なのだ。
 泡盛には「成長させる楽しみ」もある。古酒に新酒を年々一定量継ぎ足していき、古酒の味わいを半永久的に楽しむ「仕次ぎ」の文化だ。
 泡盛文化の普及・継承へ活動する山原島酒之会は「全ての家庭に古酒甕(がめ)を」と呼び掛けている。100年ともなれば親子孫の3代にわたる。単に古酒を継ぐのではなく、世代を超えた家庭の物語、絆をもつないでいく取り組みだ。
 「本物の古酒を味わいたければ沖縄に行くしかない」という状況が生まれれば、観光客誘客などさまざまな波及効果も期待できよう。
 一方で足元の危機をどう脱するかも重要な課題だ。
 県酒造組合によると、2020年の泡盛総出荷量は1万3817キロリットルで16年連続の減少、ピークだった04年(2万7688キロリットル)に比べると半減した。本紙が5年おきに実施する県民意識調査でも、最も好きな酒で泡盛は2位、11.8%にとどまり、16年調査から半減した。復帰後50年続いた酒税軽減措置も10年後の廃止が決まっている。
 零細企業が多く、収益を上げられない構造にあるのが泡盛業界の現実でもある。官民連携で県外への共同輸送など経費削減に取り組んでいるが、出荷量が増えないことには手の打ちようもない。
 かつては蔵ごとの麹があり、同じ材料、同じ製法でも異なる風味があるとされた。零細酒造所の経営安定化はそうした多様性を確保することにもなる。新カクテルの開発、消費促進イベントなど県外の泡盛ファンも巻き込んだ展開が必要となる。
 発酵学の権威、坂口謹一郎博士が論文のタイトルにしたのは「君知るや名酒泡盛」。いまや知らない人がいないくらい知名度を上げた。先人から受け継いだ泡盛文化を現代のわれわれがどう発展させるか、正念場でもある。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年02月28日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【金口木舌】:コロナ下でも自粛しないで

2022-02-28 05:04:50 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【金口木舌】:コロナ下でも自粛しないで

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:コロナ下でも自粛しないで

 娘が保育園に通っている頃、送迎時の保育士との会話に何度も救われた。「引き継ぎ」のように家であったことや、少し気になっていることを話すと一緒に喜んだり、考えたりしてくれた

 ▼2年を過ぎたコロナ下の生活でそんな時間も変わっている。知り合いの保育士はこの2年間で新たに入園した子の保護者の顔が「分からない」と言う。マスクで顔が半分隠れているだけでなく、保護者とコミュニケーションを取る機会そのものが減っている
 ▼悩みや不安を誰にも相談できず、孤独な子育てをしている保護者が増えていないか気がかりだ
 ▼宮古島2児殺害で那覇地裁は「心神喪失の疑いが残る」とし、母親に無罪を言い渡した。裁判では新型コロナの影響による自粛生活で、抑うつ障がいが悪化したことが明らかになった
 ▼コロナが弱者に深刻な影響を与えた一件といえる。私たちの生活は今、あらゆる場面で我慢や自粛が続いている。でも子育て中の人が不安や悩みを口にすることを我慢しないでほしい。あなたの声を聞いてくれる人はいる。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2022年02月28日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説】:強制不妊に賠償命令 「時の壁」突破に道開け

2022-02-28 05:04:45 | 【人権・生存権・同性婚・人種差別・アイヌ民族・被差別部落・ハンセン病患者】

【社説】:強制不妊に賠償命令 「時の壁」突破に道開け

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:強制不妊に賠償命令 「時の壁」突破に道開け 

 旧優生保護法下で不妊手術を強いられたのは憲法違反として国に損害賠償を求めた訴訟で、大阪高裁が初めて賠償を命じた。国による人権侵害を訴える裁判では「20年の除斥期間」が「時の壁」となってしばしば救済を阻んできた。今回の判決がその突破に道を開くことを期待したい。

 「不良な子孫の出生防止」をうたった旧優生保護法(1948~96年)は、同意を得ない強制手術も容認し、少なくとも約2万5千人に手術が実施されたとされる。96年に差別的条項を削除して「母体保護法」となり、2019年に救済法が成立した。
 19年から昨年にかけての6件の地裁判決のうち4件が違憲とした。しかし、4件とも除斥期間により賠償請求を棄却した。除斥期間の起点についても、国が手術時と主張したのに対し、判決は手術時と旧法改正時に分かれていた。
 今回の大阪高裁判決は、旧法改正まで権利侵害状態が続いたとして起点を旧法改正時とした。その上で、起点から提訴まで20年以上経過しているが、賠償請求が可能と知ってから6カ月以内は除斥期間を適用されないとした。「6カ月に当てはまらない人もいるのではないか」という指摘はあるものの、除斥期間を適用しなかった意義は大きい。
 ハンセン病訴訟などと同様に、政府は救済を優先して上告を断念すべきだ。判決は、旧法を制定し長年放置した国会も断罪した。国会も、不備が指摘されている救済法の見直しを急がねばならない。
 民法で「除斥期間」を定めているのは、法律関係を一定期間内に確立させることが目的である。除斥期間の適用を認めなかった最高裁判決は2件しかない。予防接種で後遺症となり国家賠償を求めた訴訟では、訴訟能力がなかったという「特殊事情」が認められた(1998年)。もう一つは、行方不明とされていた家族が実は殺されていたことが分かり、時効で無罪だった加害者に損害賠償を求めたケース(2009年)だ。
 「時の壁」は、被害救済を求める人々を苦しめてきた。国策だったドミニカ移民で被害を受けた原告は「時の壁」に阻まれた。被爆者援護法の適用や戦災被害の賠償などを訴えた裁判の多くが「除斥期間」に加えて、国家賠償法施行前の行為に国は責任を負わないとする「国家不答責の法理」によって救済から排除されてきた。一方、B型肝炎訴訟では昨年、除斥期間の起点を再発時とする最高裁判決で救済範囲が広がった。ハンセン病訴訟も、起点を法の廃止時として救済を実現した。
 血のにじむような努力をしてやっとの思いで司法に訴えても、「除斥期間」や「国家無答責」を盾に国が救済を拒絶することをこれ以上許してはならない。国の責任が明白なら一般の民事上の争いと同列にすべきではない。「司法権の独立」が改めて求められている。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年02月27日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【金口木舌】:大切な人を守るため

2022-02-28 05:04:40 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【金口木舌】:大切な人を守るため

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:大切な人を守るため

 今月初旬、39度の熱が出た。検査の結果は新型コロナの陽性。2日後には1歳の娘を含む家族全員に感染が広がり、自宅で療養することになった

 ▼普段は会社と自宅の往復で会食の参加もない。日々の感染防止策にどこか甘さがあったのだろう。発熱や脱力感など複数の症状に苦しんだ。全員が重症化せずに回復したが、家族に万一のことがあったら一生後悔したはずだ
 ▼県内ではいまだに数百人規模の新規感染者が出る。1人の感染者から何人に感染が広がったかを示す実効再生産数は1を超えた。もし感染したら身近な人に拡大するかもしれない
 ▼10歳未満の子どもの感染も増加する。園児や小学生は家庭内でうつるケースが多いという。県疫学統計・解析委員会は「捕捉できない成人の流行が子どもの感染拡大の背景にある」と可能性を指摘する
 ▼沖縄のまん延防止措置は解除され、警戒レベルも引き下がった。ただ、まだ気持ちを緩めてはいけない。感染防止策を徹底できているか改めて確認し、大切な人や地域社会を守ることを意識したい。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2022年02月27日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説】:県民投票から3年 新基地停止へ重み増す

2022-02-28 05:04:35 | 【米国・在日米軍・安保・地位協定、犯罪・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー】

【社説】:県民投票から3年 新基地停止へ重み増す

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:県民投票から3年 新基地停止へ重み増す 

 名護市辺野古の新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票から、24日で3年となった。投票者の7割超が埋め立てに反対した投票結果は重い。県民投票に法的拘束力はないが、政治的な拘束力はある。明確に示された民意に応えることが民主主義のあるべき姿だ。

 その民意を無視してでも続けられる辺野古新基地の建設は、台湾有事をにらんで日米一体で進める軍事拠点整備の象徴に他ならない。建設強行の流れを止めなければ、米中対立の最前線として南西諸島が要塞(ようさい)化され、県民の生命が危険にさらされてしまう。
 抑止力強化の応酬ではなく外交によって武力衝突を回避し、地域の安全確保に取り組んでいく。沖縄から平和的な対応を主張するよりどころとして、県民投票結果の重みは増している。
 そもそも、辺野古新基地は完成が見込めない。大浦湾側で見つかった「マヨネーズ状」とも言われる軟弱地盤の改良が必要となり、建設の総工費は政府の試算でも当初の2.7倍に当たる9300億円に膨らみ、2022年以降としていた普天間飛行場の返還は30年代以降にずれ込む。
 それであっても国内で施工例のない難工事となり、安定した施設が完成できるという保証はない。このため玉城デニー知事は昨年11月に、沖縄防衛局が県に申請していた設計変更を不承認とした。
 安全性が担保できず、普天間周辺の早期の危険除去にもつながらない設計変更を認めるわけにいかない。そして反対が7割を超えた県民投票の民意こそが、県の不承認の正当性を何より裏付けている。
 設計変更の不承認によって施設全体を完成させる根拠は失われた。それにもかかわらず沖縄防衛局は辺野古側の埋め立てを続けている。大浦湾側のサンゴ移植に許可を出すよう県に申請までしている。
 地方自治や行政手続きをゆがめ、環境を破壊する暴挙だ。政府は埋め立て工事を即時に停止すべきだ。
 何より、辺野古新基地をはじめ有事の際の出撃拠点となる県内の各基地は、攻撃対象となる可能性がある。政府は県民の判断材料となる情報を隠さず開示する必要がある。
 政府は軟弱地盤の存在を把握しながら公表せず、18年12月の土砂投入の開始に踏み切っていた。新基地が建設される米軍キャンプ・シュワブに陸上自衛隊の水陸機動団を常駐させることで、米海兵隊と陸自が極秘合意していたことも判明している。
 防衛省は表向き否定するが、日米は「対中同盟」の色彩を強め米軍と自衛隊の一体運用が進む。国民に明かされない共同作戦計画が進行している事態は想像に難くない。
 台湾海峡を巡る緊張を、ロシアのウクライナ侵攻のような軍事衝突にまでエスカレートさせてはならない。基地建設を止め、外交による対話を強めなければならない。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年02月26日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【金口木舌】:遠い国のことではない

2022-02-28 05:04:30 | 【ロシア・北方領土・シベリア開発・サハリン石油天然ガス・ウクライナ侵攻犯罪】

【金口木舌】:遠い国のことではない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:遠い国のことではない

 「病院壕に数多の傷兵診たまひし医師の悲憤を胸痛く聴く」。歌人・屋部公子さん(93)の歌集「遠海鳴り」の中で、印象深い作品の一つだ

 ▼東京で戦争を体験した屋部さんは戦後、古里の沖縄へ帰郷した。南風原の陸軍病院壕跡に足を運び、詠んだ作品群も歌集に収めた。ひめゆり学徒ら戦場に動員された女学生たちと同世代だけに「もし沖縄戦の時に沖縄に住んでいたら、どうなっていたか。自分で足を運んで実際に見て詠んだ」と語る
 ▼戦争を学ぶ際、過去に終わったことや遠い場所で起きたこととして終わらせないように肝に銘じたい。今の私たちにつながっていると捉えることで戦争の教訓を深く理解できるはずだ
 ▼ロシアのウクライナ侵攻も、遠い国の人ごととして終わらせることはできない。多数の死傷者が出ている。どんな理由をつけても、戦争がもたらす悲劇を正当化することはできない
 ▼現地住民を案じる沖縄戦体験者からは「戦争で犠牲になるのは弱い者」との声が上がる。自分事として捉え、私たちにできることは何か。改めて考えたい。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2022年02月26日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説】:ウクライナ侵攻 ロシア軍は即時撤退せよ

2022-02-28 05:04:25 | 【ロシア・北方領土・シベリア開発・サハリン石油天然ガス・ウクライナ侵攻犯罪】

【社説】:ウクライナ侵攻 ロシア軍は即時撤退せよ

 『漂流する日本野羅針盤を目指し手』:【社説】:ウクライナ侵攻 ロシア軍は即時撤退せよ 

 ロシア軍は24日、ウクライナに侵攻した。プーチン大統領は「自衛目的」と説明するが、およそ武力行使する側の決まり文句である。

 主権国家の主権と領土への不介入は国際社会のルールである。このルールを踏みにじる行為は決して容認できない。ロシアに対しウクライナからの即時撤退を要求する。全面的な武力衝突を避けるため、国際社会に、結束して事態の早期収拾を求める。
 ロシア国防省は、ウクライナの首都キエフなど各地の軍事施設をミサイルで空爆したと発表した。米CNNテレビはベラルーシ側からウクライナ北部に軍事用車両の車列が入ったと報道した。
 ロシアは隣国ウクライナのNATO加盟に強く反対していた。ウクライナに欧米の軍事施設が配備された場合、ミサイルがモスクワに到達する時間が「10~7分、あるいは5分にまで」大幅に短縮され、ロシアにとって安全保障上最も重大な脅威になると主張していた。
 ウクライナやNATOからすれば防衛力の強化だが、ロシアはそれを脅威に感じる。他国の力の増大に脅威を感じ、これを恐れて行動する。これを繰り返すと安全保障のジレンマに陥る。そのジレンマを避けるために、第2次大戦後に国家同士が協力、対話をする以外にないという合意が生まれたはずだ。
 合意の結果、国連が誕生し、世界の平和と安全に責任を持つ国連安全保障理事会が設置された。だが安保理の機能不全は深刻だ。安保理がウクライナ情勢を巡る緊急会合を開いていた真っ最中にロシアはウクライナに侵攻した。ロシアは安保理で責任を果たすべき常任理事国だ。
 安保理緊急会合でケニアの大使が行った演説に賛同したい。
 プーチン大統領がウクライナ東部の2地域の独立を承認したことについて、ケニア大使は「この状況は私たちの歴史と重なる」と述べ、次のように非難した。
 「私たちの国境は自分で引いたものではない。ロンドンやパリ、リスボンなど植民地時代のはるか遠くの大都市で引かれたものだ」
 アフリカは欧州列強の植民地支配を受け、列強同士が勝手に決めた国境によって分割された。その状況を、ウクライナの現状に重ねたのだろう。大国の利益や安全保障の手段として小国が利用された歴史を繰り返してはならない。
 一方、ウクライナ情勢が東アジアの平和の不安定要素になることを危惧する。
 ジョンソン英首相はロシアがウクライナに侵攻すれば「衝撃や動揺は世界中に広がる。反響は東アジア、台湾にも及ぶ」と指摘した。台湾への威嚇を強める中国を念頭に置いた発言とみられる。米軍基地が集中し自衛隊の配備増強が続く沖縄が、紛争に巻き込まれないよう、外交力の強化を日本政府に求めたい。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年02月25日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【金口木舌】:ものづくりの裾野

2022-02-28 05:04:20 | 【経済・産業・企業・起業・関税・IT・ベンチャー・クラウドファンティング

【金口木舌】:ものづくりの裾野

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:ものづくりの裾野

 県内の製造業を訪ねる連載で複数の企業を取材したことがある。滝つぼや竜巻で水が滑らかになる仕組みを研究し、オゾン水生成装置を開発した企業があった。金属を使わずに合成樹脂で吸着する義歯を開発したスタジオも

 ▼共通するのは製品を利用する人の意見を聞いたことだ。「売るだけでなく顧客の使用環境まで改善したい」と話していた。沖縄で生まれた製品の県内製造にこだわる技術者もいた
 ▼沖縄職業能力開発大学校で、学生たちが黒糖を自動で割る装置の改良を重ねている。黒糖本舗垣乃花との共同開発だ。従来は手作業で割っていたが、従業員への負担が重かった
 ▼昨年は上級生が一口大に割る工程を自動化。本年度はブロック状の黒糖を割る最初の工程から自動化した。「将来は製品開発の現場で働きたい」と話す学生の目は輝いていた
 ▼同大学校の就職率は100%近い。学生の希望や適性に応じて学びを支援し、企業とマッチングした成果だという。教育機関と企業が若者たちの志を支え、ものづくりの裾野を広げている。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2022年02月25日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする