【社説②】:神恵内村長選 核ごみの真摯な議論を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:神恵内村長選 核ごみの真摯な議論を
高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた文献調査が進む後志管内神恵内村できのう、村長選が告示された。
6選を目指す現職の高橋昌幸氏と、核ごみ問題を批判する新人の瀬尾英幸氏による一騎打ちとなった。選挙戦となるのは36年ぶりで、調査継続の可否が争点になる。
核ごみは無害化までに10万年かかり、住民の生活だけでなく、1次産業や観光業を柱とする北海道の将来にも深刻な禍根を残しかねない。調査が続く限り道民の不安は解消されない。
処分場建設が可能な「適地」の存在や、交付金の扱いなど核のごみを巡る課題は多い。疲弊した地域の立て直し策も含め、両候補は真摯(しんし)に議論してもらいたい。
高橋氏は第一声で「地層処分の問題は村民の意見を聞いて調査を続行するか決断したい」と述べ、調査継続について明言を避けた。
瀬尾氏は「核の問題にくさびを打ちたい。文献調査から概要調査に進むのは必ず反対する。ひいては泊原発を廃炉にする」と訴えた。
隣接する泊村で脱原発活動に取り組む瀬尾氏は、無風を避けるとして立候補した。
神恵内村の文献調査は高橋氏が国の申し入れを受諾し、同じ後志管内の寿都町とともに2020年11月に始まった。その判断の是非が問われてしかるべきだろう。
初めて選挙で審判を受ける高橋氏が、争点隠しとも受け取れる対応をするのは納得できない。新人の挑戦に堂々と応じるべきだ。
交付金は文献調査で20億円、概要調査ではさらに70億円が配分される。しかし国の「科学的特性マップ」で神恵内に適地はほとんどない。そもそも巨額の交付金を伴う調査は妥当と言えるのか。
高橋氏は選挙戦で漁港施設の整備や故障した村営温泉の再開などを訴える。
大型事業には数億円の予算が必要で、借金で賄わない限り交付金を充てるのは避けられまい。完成後の維持費の確保など中長期計画も有権者に提示すべきだ。
瀬尾氏は交付金に依存しない事業展開を目指すと言う。人口約800人の自治体をどう活性化するのか展望を示してもらいたい。
寿都町でも昨年10月、文献調査の是非を争点に現職と新人が争う町長選が行われた。片岡春雄町長が6選を果たしたが、反対者が一定数存在することが明示された。
選挙戦は地域の課題を村民が考える貴重な機会だ。候補の主張を吟味し、1票を投じてほしい。
元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2022年02月23日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。