【震災復興】:石巻の中心市街地で名画の上映会を立ち上げ 第1弾「ひまわり」 空洞化が心配の街で気軽に場を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【震災復興】:石巻の中心市街地で名画の上映会を立ち上げ 第1弾「ひまわり」 空洞化が心配の街で気軽に場を
街の活性化が大きな課題となっている宮城県石巻市の中心市街地で、市民にスクリーンで名画を楽しんでもらおうという試みが始まろうとしている。東京の新聞社で長年働き、21年にUターンした本庄雅之さん(63)が「石巻名画座」という上映会を立ち上げ、第1弾として戦争の悲劇を描いた傑作「ひまわり」を3月25、26日に同地域にある複合エンタメ施設シアターキネマティカで上映する(有料、中学生以下無料)。
石巻駅や市役所、立町・中央エリアなどからなる中心市街地は、震災時にほぼ全域が浸水するなど大きな被害を受け、商店の廃業などが続いた。震災前に16万人超だった市の人口は、現在13万人台まで減少。しかも内陸部に移動しており、中心市街地の空洞化が心配されている。本庄さんによると、映画館もかつては5つあったが次々閉館。震災では老舗が津波にのまれ、残っていた最後の劇場も17年に閉館した。石巻駅から数キロの場所にシネコンはあるが、高齢者らには気軽に行きにくい。
にぎわいを取り戻そうと、さまざまな活動は続いている。シアターキネマティカは震災後にUターンした人々らが空き家を改修して22年に完成した施設で、単館系の映画や落語、演劇などを提供。近くには音楽系の映画を上映するライブハウスもある。それらに、本庄さんの良質な名画を上映していく思いも加わる。
11年震災時、本庄さんの市内の実家は1階が水没し大規模半壊。両親は秋田に避難したが、父親が体調を崩して同年6月に急死し、母親も17年に病没した。東京と実家を往復する中で「中心市街地の寂しさと娯楽が足りないと感じました」。Uターン後は昨夏まで地元の石巻日日新聞で記者をした。「1人住まいの高齢者も結構います。気軽に出かけて楽しむ場があってもいいと思います」とし、老若男女が楽しめる身近な娯楽の定着を目指している。【久保勇人】
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・東日本大震災からの復興】 2023年03月12日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。