【政局】:「兵力・労働力の増強」が岸田政権の真の狙い? “異次元”少子化対策が戦前とダブる不気味
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政局】:「兵力・労働力の増強」が岸田政権の真の狙い? “異次元”少子化対策が戦前とダブる不気味
「新型コロナウイルスの次に乗り越えなければならない大きな壁が少子化だ」
自民党が27日に党本部で開いた「こども・若者」輝く未来創造本部の会合で、こう声を張り上げたのが本部長を務める茂木敏充幹事長だった。
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少子化対策の本当の狙いは…(岸田文雄首相)(C)日刊ゲンダイ
同本部はこれまで、岸田文雄首相が掲げる「異次元の少子化対策」に関する論点整理や、実現化に向けた具体策について検討を進めてきた。この日は、児童手当の所得制限撤廃や小中学校の給食費無償化、新婚・多子世帯への住宅支援──などを柱とする提言を了承。29日にも、小倉将信こども政策担当相に提出し、政策のたたき台への反映を目指す考えだ。
「わが国の社会経済の存立基盤を揺るがす、待ったなしの課題だ」
提言には少子化に対する与党の強い危機感がにじみ出ているのだが、政策実現に必要な財源や具体的な金額に踏み込んでいないことから、ネット上では、<統一地方選に向けた選挙アピール><本気度が感じられない>といった意見も少なくない。
さらに岸田政権が、敵基地攻撃能力(反撃能力)保有を含む防衛力強化を掲げ、「防衛費を5年間で約43兆円に増額」という姿勢も示しているためか、SNS上でみられるのは、<少子化対策の本当の狙いは『兵力・労働力の増強』ではないか>との見方だ。
■人口増強策を進めていた近衛文麿内閣と似ている岸田政権の姿
なるほど、歴史を振り返れば、過去に大東亜共栄圏の確立を目指し、人口増強策を進めていた当時の近衛文麿内閣と今の岸田政権の姿は似ているとも言える。
近衛内閣当時の1941年1月の新聞紙面を見ると、「一家庭に平均5児を 一億目指し大和民族の進軍」といった見出しや、「産めよ、殖やせよ」という唱導とともに、一つの家庭につき平均5児以上をもうける──ことなどが細かく書かれているほか、「従来の西欧文明にむしばまれた個人主義、自由主義の都会的性格がいけないのだ」「自己本位の生活を中心にし、子宝の多いことを避ける都会人の多いことは全く遺憾至極である」との記述もみられる。
自民党少子化対策調査会長の衛藤晟一元少子化対策担当相が、子ども政策に関する党会合で、奨学金の返済免除制度の導入をめぐり、「地方に帰って結婚したら減免、子どもを産んだらさらに減免する」と訴えて批判の声が上がったのは記憶に新しいが、これも「子宝の多いことを避ける都会人の多いことは全く遺憾至極である」という当時の風潮と重なるのかもしれない。
近衛内閣以降、日本は軍国主義化の道を突き進むことになるのだが、果たして岸田政権はどうなるのか。
元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・政治・岸田政権】 2023年03月28日 14:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。