路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【安倍晋三 回顧録②】:「トランプの本性を隠すのに必死でした」安倍元首相が生前に語っていた"日米外交交渉の舞台裏"

2023-03-18 23:57:40 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【安倍晋三 回顧録②】:「トランプの本性を隠すのに必死でした」安倍元首相が生前に語っていた"日米外交交渉の舞台裏"

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【安倍晋三 回顧録②】:「トランプの本性を隠すのに必死でした」安倍元首相が生前に語っていた"日米外交交渉の舞台裏"

 2022年7月8日、選挙演説中に凶弾に撃たれ、非業の死を遂げた安倍晋三元首相。生前、その肉声を読売新聞特別編集委員の橋本五郎氏らが聞き取っていた。あまりに機微に触れる――として一度は安倍元首相が刊行を見送った36時間にわたる未公開インタビューをまとめた『安倍晋三 回顧録』(中央公論新社)より、「外交交渉の舞台裏」について紹介する――。

【画像】2018年6月12日、米朝首脳会談で握手をするトランプ大統領と金正恩委員長  

 ※本稿は、安倍晋三【著】、橋本五郎【聞き手】、尾山宏【聞き手・構成】、北村滋【監修】『安倍晋三 回顧録』(中央公論新社)の第9章「揺れる外交 米朝首脳会談、中国「一帯一路」構想、北方領土交渉 2018年」を再編集したものです。 ※肩書は当時のものです。

 ■北朝鮮に制裁を続けるべきだと思っていた  

 ――日本は長年、北朝鮮に対して圧力路線で臨んできました。輸出入の全面禁止や船舶の入港禁止といった制裁を行ってきたほか、ミサイル発射に対しては、国連安全保障理事会の非難決議採択を各国に働きかけた経緯があります。韓国側の説明を受けて、日本も対話路線に転換した方がいいと思いましたか。

 私は、制裁を続けるべきだと思っていました。米国の軍事的な圧力は北朝鮮に効いている。だから北朝鮮は韓国の仲介に乗ってくるわけで、もう少し制裁を続けるべきだ、と。でも、トランプはそうではなかった。米朝は直前までツイッターで互いに激しく罵倒し合っていたにもかかわらず、突如として対話路線に舵を切ったわけです。3月、トランプが「金正恩に会う」と明言したので、すぐにトランプと電話で会談しましたが、トランプの頭の中は、すでにディール・モードになっていました。<button class="sc-SxrYz hqjiZN" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38"></button><button class="sc-SxrYz hqjiZN" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38">2017年2月10日、アメリカのホワイトハウスで共同記者会見を行う安倍首相とトランプ大統領 - 写真=EPA/時事通信フォト</button>

2017年2月10日、アメリカのホワイトハウスで共同記者会見を行う安倍首相とトランプ大統領 - 写真=EPA/時事通信フォト(株式会社プレジデント社)

 ■トランプ氏は米国の安全保障チームの主張を聞き入れなかった  

 ――4月17~18日にかけて米フロリダを訪問し、トランプ氏の別荘で首脳会談を行いました。核・弾道ミサイルの「完全、検証可能かつ不可逆的な廃棄」を目指す方針で一致したと伝えられています。

 私はトランプに、「在韓米軍を撤退させてもらっては困る。米朝首脳会談をやるならば、拉致問題解決の必要性もしっかり言ってもらいたい」と述べました。「完全、検証可能かつ不可逆的な非核化」を意味するCVID(Complete, Verifiable and Irreversible Denuclearization)は、日米共通の目標であり、しっかり実現しなければならない、とも強調しました。実は会談前に、米国の国家安全保障会議(NSC)のメンバーから、「ミスター安倍からトランプに、しっかりCVIDを守るように言ってほしい」と繰り返し要請されていたのです。トランプは米朝首脳会談に前のめりになっていたので、米国の安全保障チームの主張を聞き入れようとしなかったのでしょう。 

 でも、この時の会談で、トランプは私の話に対して「分かった」とは言わないのです。大きなディールを控えている時に、俺の背中に荷物を乗せるな、という感じでした。

 ■警戒されていたが、じつは軍事行動に消極的な人物  

 ――史上初の米朝首脳会談は6月12日、シンガポールで行われました。日米首脳は電話会談を繰り返し、6月7日には、ワシントンで再び直接会談しました。頻繁に連絡を取り合ったのは、トランプが安易に妥協して北朝鮮と関係を改善することを危惧したからですか。

 日米が北朝鮮への圧力を主導する。そういう政策を何とかトランプに取ってもらいたかったのです。私は「金正恩が最も恐れているのは、突然トマホークを撃ち込まれて、自分の命、一族の命が失われることだ。武力行使のプレッシャーをかけられるのは、米国だけだ」とトランプに言い続けました。

 トランプは、国際社会で、いきなり軍事行使をするタイプだ、と警戒されていると思いますが、実は全く逆なんです。彼は、根がビジネスマンですから、お金がかかることには慎重でした。お金の勘定で外交・安全保障を考えるわけです。例えば、「米韓合同軍事演習には莫大(ばくだい)なお金がかかっている。もったいない。やめてしまえ」と言うわけです。

 ■日本海への空母打撃群派遣に反対していた  

 米軍が2017年、日本海周辺に空母打撃群を派遣した時も、トランプは当初、私に「空母1隻を移動させるのに、いくらかかっているか知っているか?  私は気にくわない。空母は軍港にとどめておいた方がいい」と言っていたのです。

 確かに、空母打撃群は、空母1隻に加えて、イージス艦や補給艦など数隻の艦艇と、潜水艦や約70機の航空団などで編成されているので、それらの移動には相当の経費がかかるでしょう。でも、私は「いや、空母をパールハーバーやサンディエゴ、横須賀の港に置いておくだけでは、空母の意味がないでしょう。空母打撃群は、海洋で活動するためにあるのです。大西洋、太平洋、インド洋、アラビア海。アメリカの戦略的な利益に合致する場所にいるべきです。たまたま今はその場所が、日本海だということです」と反論したのです。  

 そうしたら、トランプは、国家安全保障担当大統領補佐官のハーバート・マクマスターに向かって、「マクマスター、どうなんだよ」と。マクマスターは「安倍さんの言う通りです」と答えていました。それでもトランプは「俺は納得がいかない」とぶつぶつ言っていました。何とかその場は収めてもらいましたが、苦労しました。

 ■トランプ氏の本性を隠しておこうと必死だった

 しかしもし、「トランプが実は軍事行動に消極的な人物だ」と金正恩が知ってしまったら、圧力が利かなくなってしまいます。だから、絶対に外部には気づかせないようにしなければならなかったのです。「トランプはいざとなったらやるぞ」と北朝鮮に思わせておく必要がありました。私だけでなく、米国の安全保障チームも、トランプの本性を隠しておこうと必死でした。

 米朝首脳会談前に繰り返し対話したのは、CVIDを堅持しようとしたためです。でもなかなかうまくいかない。4月27日に南北首脳会談があり、金正恩は初めて板門店(パンムンジョム)の軍事境界線を越えて韓国に入りました。文在寅韓国大統領は「もう戦争は起きない。朝鮮戦争の終戦を目指す」と言い、米朝首脳会談に向けた環境を整えようとしたわけです。私はトランプに「文在寅は楽観的過ぎる」と言ったのですが、分かってもらえなかった。

 ■拉致問題の提起を優先しようと決めた  

 そこで私は、米朝会談の直前、論点を絞ったのです。CVIDは、そもそも世界が共有している基本的な方針だから、トランプへの要請から外そうと。日本としては、拉致問題の提起を優先しようと決めました。

 私はトランプに、「拉致問題を解決できなければ、北朝鮮支援の金を出せといわれても、日本は出せない。日朝の国交正常化は、普通の国同士の正常化とは事情が全く違う。日本は税金を使って、過去の清算をしなければならない。国民の納得感が得られなければ、支援は無理だ」と話しました。「かつて韓国が『漢江(ハンガン)の奇跡』と呼ばれる経済成長を達成したのも、1965年に結んだ日韓請求権協定・経済協力協定に基づいて、日本が5億ドルを援助したおかげだ」ともね。するとトランプは、日本が北朝鮮を支援するという話に興味を示したんです。

元内閣総理大臣 安倍 晋三、読売新聞特別編集委員 橋本 五郎、読売新聞論説副委員長 尾山 宏、前国家安全保障局長 北村 滋

 元稿:PRESSIDENT Online 主要ニュース 政治・金融・財政 【トレンド・話題・「安倍晋三 回顧録」・担当者:沙鴎 一歩フリージャーナリスト】 2023年03月17日 18:17:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【安倍晋三 回顧録①】:「麻生さんは自分を悪い人間のように見せようとする」安倍元首相が生前に語っていた"2人の本当の関係"

2023-03-18 23:57:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【安倍晋三 回顧録①】:「麻生さんは自分を悪い人間のように見せようとする」安倍元首相が生前に語っていた"2人の本当の関係"

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【安倍晋三 回顧録①】:「麻生さんは自分を悪い人間のように見せようとする」安倍元首相が生前に語っていた"2人の本当の関係"

 2022年7月8日、選挙演説中に凶弾に撃たれ、非業の死を遂げた安倍晋三元首相。生前、その肉声を読売新聞特別編集委員の橋本五郎氏らが聞き取っていた。あまりに機微に触れる――として一度は安倍元首相が刊行を見送った36時間にわたる未公開インタビューをまとめた『安倍晋三 回顧録』(中央公論新社)より、その一部を紹介する――。<button class="sc-yyapj QSknM" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38"></button><button class="sc-yyapj QSknM" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38">閣議に臨む安倍晋三首相(左)と麻生太郎副総理兼財務相=2018年5月15日、首相官邸 - 写真=時事通信フォト</button>

閣議に臨む安倍晋三首相(左)と麻生太郎副総理兼財務相=2018年5月15日、首相官邸 - 写真=時事通信フォト(株式会社プレジデント社)

 ■【この記事の画像を見る】  

 ※本稿は、安倍晋三【著】、橋本五郎【聞き手】、尾山宏【聞き手・構成】、北村滋【監修】『安倍晋三 回顧録』(中央公論新社)の第4章「官邸一強 集団的自衛権行使容認へ、国家安全保障局、内閣人事局発足 2014年」を再編集したものです。 ※肩書は当時のものです。

 ■最初の1年8カ月間、閣僚を交代しなかった  

 ――内閣改造を(14年)9月3日に行いました。改造はおおむね1年おきに行われてきましたが、この時は1年8カ月ぶりでした。

 内閣改造は政権の体力を消耗します。閣僚になって喜ぶのは十数人だけ。当選回数を重ねているにもかかわらず、選ばれなかった人は100人前後にのぼり、「なぜ俺が選ばれず、あいつが閣僚になったんだ」という不満が湧き起こるのですよね。閣外に去る人も肩を落とすでしょう。最初の1年8カ月間、交代しなかったのは正解だったと思います。閣僚の問題は全く起きず、政権に安定感が出ました。  

 ――改造では、女性活躍を掲げて女性5人を起用しましたが、わずか1カ月半で、経済産業相の小渕優子、法相の松島みどり両氏がダブル辞任しました。

 松島さんの場合は、自身のイラストが入ったウチワを地元で配って、これが公職選挙法違反の疑いがあると国会で追及された。しかし、これが寄付に当たるというのは無理があると思います。小渕さんの場合、政治団体の政治資金の調査に時間がかかるということだったので、やむを得ませんでした。

 ■石破氏の幹事長続投は政権の不安定要因  

 ――自民党役員人事では、石破幹事長の後任に谷垣禎一法相を充てました。菅義偉官房長官が強く幹事長交代を迫ったと言われています。石破氏が、幹事長ポストを利用して次期総裁選を有利に進めようとしていたからだ、という情報もあります。

 自民党の幹事長は、党の資金配分を一手に担っています。党の躍進のためにお金を使うのであれば良いのですが、仮に自分の派閥を大きくするとか、自分の総裁選の準備のためにお金を使っていたとしたら、それは看過できない。菅さんは党内に目を光らせていて、「石破さんの幹事長続投は政権の不安定要因になる」と言っていました。でも、当時も石破さんの人気は高かった。しかも自分で続投希望を表明していた。その人を交代させるのであれば、それなりの理由が必要でしょう。だから、これから安全保障関連法など困難な課題に取り組む上では、より安定感を優先させたいということで、谷垣さんに代わってもらうことにしたのです。

 私が2012年の総裁選で勝利して演説した時、谷垣さんの功労を称えたのですが、党内からものすごい拍手が起きたのです。前にも述べましたが(第3章)、私の演説の中で、最大の拍手は、谷垣さんに触れた部分でした。この人には支えてもらわないといけないと思いました。石破さんも、谷垣さんが後任だと知り、「全く文句はない」と言っていました。石破さんには、安全保障関連法の困難な答弁が控えているから、「防衛相でどうでしょうか」と聞いたら、地方創生相を希望したので、意向通りに就任してもらったわけです。

 ■財務省は意向に従わない政権を平気で倒しに来る  

 ――読売新聞の世論調査では、改造前に51%だった内閣支持率が、改造後に64%に跳ね上がりました。  

 女性5人と谷垣さんのおかげですね。谷垣さんには助けられました。社会保障と税の一体改革に道筋を付けた本人ですが、この年の秋、増税を延期して衆院を解散するという私の考えに理解を示してくれました。私が解散と消費増税の延期を考えているという話をした時、谷垣さんは「総理の考えであれば、それで結構です。ご安心ください。選挙の準備はできています」と言ってくれたのです。

  ――衆院解散は、14年11月18日に記者会見し、15年10月からの消費税率10%への引き上げを1年半先送りすることとセットで表明しました。「国民経済にとって重い決断をする以上、信を問うべきだ」と述べて、21日に解散しましたが、増税延期という国民受けしそうな政策変更と、解散を同時にしたのは、ある意味で狡猾な手法と言えます。  

 増税を延期するためにはどうすればいいか、悩んだのです。デフレをまだ脱却できていないのに、消費税を上げたら一気に景気が冷え込んでしまう。だから何とか増税を回避したかった。しかし、予算編成を担う財務省の力は強力です。彼らは、自分たちの意向に従わない政権を平気で倒しに来ますから。財務省は外局に、国会議員の脱税などを強制調査することができる国税庁という組織も持っている。さらに、自民党内にも、野田毅(たけし)税制調査会長を中心とした財政再建派が一定程度いました。野田さんは講演で、「断固として予定通り(増税を)やらなければいけない」と言っていました。

 増税論者を黙らせるためには、解散に打って出るしかないと思ったわけです。これは奇襲でやらないと、党内の反発を受けるので、今井尚哉秘書官に相談し、秘密裡に段取りを進めたのです。経済産業省出身の今井さんも財務省の力を相当警戒していました。2人で綿密に解散と増税見送りの計画を立てました。

 ■麻生氏は財務省を黙らせることができる  

 ――11月は、前半に中国でアジア太平洋経済協力(APEC)、いったん帰国して中旬にミャンマー、豪州と外遊が多かったですね。  APECの前に、谷垣幹事長には解散の意向を伝えました。その後、何となく永田町に解散風が吹き始めたので、議員が皆地元に戻ったんです。増税論者も含めて。ここまでうまくいくとは、思っていなかったです。

 問題は麻生太郎さんで、解散は賛成だけれど、増税先送りには反対していたのです。豪州からの帰りの政府専用機内で、説得したのです。景気次第で増税を見送る「景気条項」は撤廃すると、私が約束したので、最終的には了解してくれました。麻生さんは親分肌だから、財務省を黙らせることができるのです。

 ――麻生さんは政権の屋台骨でした。  

 麻生さん、高村さん、菅さん。この人たちを抜きに長期政権は築けませんでした。麻生さんとは、人間的に肌が合うんですよ。お互い政治の世界で育ったという環境も影響しているのでしょう。首相時代は、漢字が読めないとかさんざん批判されましたが、ものすごい教養人です。歴史に造詣が深く、読んでいるのも漫画だけではないのだけど、自分を悪い人間のように見せようとするのです。あれは、もったいないですよ。自然に振る舞えばいいのに。彼は毛筆で手紙を書くじゃないですか。あんな政治家ってもう最後ですよね。

 ■長期政権なんて気にする余裕はない  

 元内閣総理大臣 安倍 晋三、読売新聞特別編集委員 橋本 五郎、読売新聞論説副委員長 尾山 宏、前国家安全保障局長 北村 滋

 元稿:PRESSIDENT Online 主要ニュース 政治 【政局・安倍晋三 回顧録・元内閣総理大臣 安倍 晋三、読売新聞特別編集委員 橋本 五郎、読売新聞論説副委員長 尾山 宏、前国家安全保障局長 北村 滋】 2023年02月28日 15:17:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【安倍晋三回顧録】:「都合のいいところだけ切り取っている」──安倍元首相に批判された前川喜平・元文科次官が大反論

2023-03-18 23:57:20 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【安倍晋三回顧録】:「都合のいいところだけ切り取っている」──安倍元首相に批判された前川喜平・元文科次官が大反論

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【安倍晋三回顧録】:「都合のいいところだけ切り取っている」──安倍元首相に批判された前川喜平・元文科次官が大反論 

 学術会議問題で野党のヒアリングを受けた前川元次官(時事通信フォト)(NEWSポストセブン)

 元稿:小学館 主要出版物 週刊ポスト【NEWS ポストセブン】 2023年03月06日 07:15:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【安倍晋三元首相】:「トランプ氏の本性隠そうと必死」の回顧録発売

2023-03-18 23:57:10 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【安倍晋三元首相】:「トランプ氏の本性隠そうと必死」の回顧録発売

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【安倍晋三元首相】:「トランプ氏の本性隠そうと必死」の回顧録発売

 昨年7月に死去した安倍晋三元首相による生前の36時間にわたるインタビューを収録した「安倍晋三 回顧録」(中央公論新社)が8日、発売された。外国首脳らとの秘話や衆院解散を断行した勝負勘、財務省との暗闘など、8年8カ月という憲政史上最長の政権を担った舞台裏を語り尽くしている。

<button class="sc-kxWrTZ dfffwL" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38"></button><button class="sc-kxWrTZ dfffwL" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38">安倍晋三回顧録 (中央公論新社)</button>
  安倍晋三回顧録 (中央公論新社)(株式会社 産経デジタル)

 良好な関係にあった米国のトランプ前大統領に関しては「実は軍事行動に消極的な人物」だと北朝鮮が知ったら圧力が利かなくなるため「本性を隠しておこうと必死だった」と振り返った。

 また、中国の習近平国家主席が「もし米国に生まれていたら、米国の共産党には入らないだろう。民主党か共和党に入党する」と語っていたことを明かし、「思想信条ではなく、政治権力を掌握するために共産党に入った」「強烈なリアリスト」と評した。

 国内政治では、消費税率引き上げをめぐり対立した財務省への不信を色濃くにじませた。「財務省と、党の財政再建派議員がタッグを組んで、『安倍おろし』を仕掛けることを警戒していた」としたうえで「増税先送りの判断は、必ず選挙とセットだった。そうでなければ、倒されていた」と語った。

 元稿:産経新聞社 主要ニュース 政治 【政局・安倍晋三元首相・回顧録発売】  2023年02月08日  13:08:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【安倍元首相】:「回顧録」に重大証言 森友土地取引は「深刻な問題」と自ら認めていた

2023-03-18 23:57:00 | 【公文書・国民の知る権利・国民共有の知的資源・情報公開・権力者による隠ぺい】

【安倍元首相】:「回顧録」に重大証言 森友土地取引は「深刻な問題」と自ら認めていた

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【安倍元首相】:「回顧録」に重大証言 森友土地取引は「深刻な問題」と自ら認めていた

 ちょっと奥さん、聞きました? 安倍さんの本のこと。

 回顧録が出たんですって(8日発売)。

 ご本人はもちろん去年の事件で亡くなってますけど、読売新聞の名物記者が生前に聴き取っていたそうですよ。それが今、読売の子会社の出版社から発売されたんです。

<picture>問題の箇所(提供写真)</picture>

     問題の箇所(提供写真)

 ■8日発売の「回顧録」の重大証言

 それでね、その本のことが早速、複数のメディアに出てるんですよ。いや、広告じゃなくて記事で。313ページにある安倍さんのこんな言葉を取り上げてるんです。

 「森友学園の国有地売却問題は、私の足を掬うための財務省の策略の可能性がゼロではない」

 森友問題、覚えてません? 籠池理事長夫妻の話とか、いろいろありましたもんね。でも安倍さんが話しているのは、国有地の値引き売却のことなんです。財務省近畿財務局が森友学園に9億円の国有地を8億円も値引きして売ったって大問題になったアレですよ。6年前のちょうどきょう、2月9日の朝日新聞の報道でバレたんです。

 しかも安倍昭恵さんが森友の小学校の名誉校長だったから「首相の妻に忖度して値引きしたんじゃないか」って国会で炎上して、“忖度”って言葉が流行語になったでしょ。あの値引きが「財務省の策略」じゃないかって安倍さんが言ったんですって。穏やかじゃないですよね。消費増税の先送りを巡る暗闘があったから、安倍政権を倒すための策略じゃないかって言うんですよ。

 それでね。記事では強調されてませんけど、「策略」発言に続く安倍さんの言葉が、もっと凄いんです。

 「財務省は当初から森友側との土地取引が深刻な問題だと分かっていたはずなのです」

 どこが凄いって、財務省と森友学園の土地取引は「深刻な問題」だって安倍さん自身が認めてるんです。でも安倍政権では、値引きは地中で見つかったゴミの撤去費用だから“問題ない”って言い張ってたじゃないですか。いつ考えが変わったんでしょう? 「深刻な問題」なら調べなきゃダメですよね。簡単です。土地のボーリング調査をすれば、地中の深いところに本当に大量のゴミがあるのか、すぐわかりますよ。

 それに、あの値引きは不当だっていうのは、不動産鑑定のプロ集団も指摘しているんですよ。大阪府不動産鑑定士協会が3年前に公表したこの問題の報告書があるんですけど、ゴミの撤去費用は「信用性に欠ける」し、値引きの根拠とされた鑑定について「依頼者である近畿財務局の意向に沿う形で鑑定評価書が作成され、結果として依頼者に都合良く利用された」って。この報告書は今でも協会のホームページに載っていますから誰でも見られますよ。すっごくわかりにくいところにありますけどね。

 ■http://rea-osaka.or.jp/info/weblog_1589213453.html

 今回この回顧録が出たおかげで、遅ればせながら私たちも安倍さんの発言を知ることができました。それにしても、今になってわかったのは残念ですよね。「深刻な問題」と考える理由を安倍さん自身に聞くことは、もうできないんですから。発言を記録した記者さんは、そこを安倍さんに尋ねていないのかしら?

 でも真相解明の道はあるんです。土地取引を担当した財務省の職員はわかってるんですから、ぜひ与野党協力して国会で証言を求めてほしいじゃないですか。それが「財務省の策略」という言葉を遺した安倍さんの供養にもつながるはずですよ。ね、岸田さん。

相澤冬樹
著者のコラム一覧
 ■相澤冬樹 ジャーナリスト・元NHK記者

 1962年宮崎県生まれ。東京大学法学部卒業。1987年NHKに記者職で入局。東京社会部、大阪府警キャップ・ニュースデスクなどを歴任。著書『安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由』(文藝春秋)がベストセラーとなった。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・安倍元首相の「回顧録」出版】  2023年02月09日  13:50:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【ニュース裏表】:「安倍回顧録」で詳述〝ザイム真理教〟の恐ろしさ 「私を引きずり下ろそうと…」官僚の本分を超え政治の領域を侵犯、安倍氏が強い危機感

2023-03-18 23:56:50 | 【財務省・財政予算健全化・基礎的収支・会計検査院・国債・国と地方の借金】

【ニュース裏表】:「安倍回顧録」で詳述〝ザイム真理教〟の恐ろしさ 「私を引きずり下ろそうと…」官僚の本分を超え政治の領域を侵犯、安倍氏が強い危機感

 【ニュース裏表】:「安倍回顧録」で詳述〝ザイム真理教〟の恐ろしさ 「私を引きずり下ろそうと…」官僚の本分を超え政治の領域を侵犯、安倍氏が強い危機感

 『安倍晋三回顧録』が話題だ。

 トランプ前米大統領、中国習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領らへの評価が面白い。個人的に注目しているのが、財務省への評価だ。消費増税の先送りを決めたときに、財務省が安倍降ろしを画策したと安倍元首相は同書で発言している。

<button class="sc-kxWrTZ dfffwL" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38"></button><button class="sc-kxWrTZ dfffwL" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38">安倍晋三回顧録(中央公論新社)</button>
  安倍晋三回顧録(中央公論新社)(株式会社 産経デジタル)

 ■【ランキング】最も負担に感じている税金は?

 「安倍政権批判を展開し、私を引きずり下ろそうと画策した。彼らは省益のためなら政権を倒すことも辞さない」。穏やかではない。この点を国会の質疑で問われた岸田文雄首相は、財務省の安倍降ろしを「感じたことがない」と否定した。〝財務省ムラ〟の住人である岸田首相らしい答弁である。

 この財務省の政治介入とでもいうべき動きは、安倍政権下でもマスコミで話題になっていた。2014年12月の衆院選の時だ。私も当時、ネット媒体で「安倍首相、消費増税めぐる財務省の政界工作を示唆 省益優先で不況下に緊縮財政の罪」と題する論説まで書いている。回顧録でも明言されているが、この衆院選は消費税10%への引き上げを先送りするために、国民の真意を問い、それによって財務省の政治介入を防ぐ狙いがあった。

 当時、安倍氏自らが「財務省が『善意』ではあるが、すごい勢いで(消費再増税に向けて)対処しているから党内全体がその雰囲気だった」として、この増税ありきの雰囲気を転換するためだったと報道番組で明言している。

 財務省の攻勢が、官僚の本分を超えて、政治の領域を侵犯していることに、安倍氏が強い危機感を抱いていたことがわかる。回顧録では、その点をより明白に語っている。財務省の「善意」の増税攻勢を受けていたはずの、岸田首相が気付かないはずはない。もし気が付かないのであれば、それは財務省が増税を説得するまでもなく、陣営(財務省ムラ)の一員だったからだろう。

 安倍氏は選挙に勝利して消費税を延期し、さらにもう一度再延期を成し遂げた。だが、財務省には議員たちを説得する以上の工作も可能だ。予算編成の権力を利用して、安倍政権では最初の13年度以外はすべて緊縮財政を押し付けた。このため金融緩和だけに頼る形になり、それでも雇用や経済成長は大きく改善したが、デフレ脱却はできなかった。

 消費税10%を最後は防ぐことができなかったが、むしろ安倍政権だからこそ2回も延長できたのだろう。回顧録は、「ザイム真理教」の恐ろしさを伝えてもいる。 (上武大学教授)

 元稿:夕刊フジ 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・ニュース裏表 田中秀臣】  2023年02月15日  17:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【検証】:籠池氏名誉棄損発言を含む「安倍晋三回顧録」増刷で、「安倍官邸チーム」VS籠池氏の対立再燃か!

2023-03-18 23:56:40 | 【公文書・国民の知る権利・国民共有の知的資源・情報公開・権力者による隠ぺい】

【検証】:籠池氏名誉棄損発言を含む「安倍晋三回顧録」増刷で、「安倍官邸チーム」VS籠池氏の対立再燃か!

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【検証】:籠池氏名誉棄損発言を含む「安倍晋三回顧録」増刷で、「安倍官邸チーム」VS籠池氏の対立再燃か!

 2023年2月上旬に、中央公論新社から、【安倍晋三回顧録】が出版された(以下、「回顧録」)。2022年7月8日に、参議院選挙の街頭演説中に銃撃されて死亡した安倍晋三氏が、首相退任後の2020年10月から2021年10月までの間に、読売新聞特別編集委員の橋本五郎氏と尾山宏論説副委員長の18回にわたるインタビューで語っていた内容を、安倍晋三氏自身の著書として公刊したとのことだ。発売後、新聞、テレビ等で紹介されるなどして大きな話題になっており、Amazonでは書籍全体のベストセラー1位を続け、既に4刷5万部の重版が決定され、部数は累計で15万部に上るとされている。

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(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

 編集責任者の橋本氏は、同書の序文で、

「安倍さんの回顧録は歴史の法廷に提出する安倍晋三の陳述書でもあるのです」

 と述べている。史上最長の首相在任期間の間に、それまでの首相がなし得なかった、国家安全保障会議の設置、武器の禁輸見直し、集団的自衛権の容認、特定秘密保護法、共謀罪法の制定など国民の間で賛否が分かれる多くの問題について業績を残したことを考えれば、安倍氏の肉声の記録としての回顧録を出版することの意義は大きいと言えよう。

 しかし、同書中の籠池泰典氏に関する記述には、刑事上・民事上の名誉棄損に該当する可能性があることを、2月15日に「論座」Web版で公開した【話題の書『安倍晋三 回顧録』の籠池泰典氏に関する記述は、名誉棄損に当たる可能性がある】で指摘している。今後の重版分について、このような指摘を受けた上での出版ということになると、内容の「虚偽性」についての認識も明確になるので、刑法の名誉棄損罪による処罰も現実的な問題となる。

 刑法の規定を踏まえて、同罪の成否について具体的に検討してみることとしたい。

 ◆名誉棄損罪の要件

 刑法230条は、1項で

 「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。」

 と規定し、2項で、

 「死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。」

 としている。

 同条2項は、「死者に対する名誉棄損」についての規定であり、「死者を主体とする名誉棄損」ではない。死者は行為をなし得ないのであるから当然である。

 しかし、このように、社会的影響力の大きい死者の発言を内容とする公刊を行う場合、その内容によって他者の名誉を棄損することがないよう、すなわち、「死者の発言」公表による名誉棄損に当たることがないよう、十分な注意が必要であることは言うまでもない。故人の発言を内容とする出版については、名誉棄損の内容を認識して出版を判断した者が法的責任を負うことになる。

 そこで、まず、刑法の名誉棄損罪の一般的な要件について確認しておこう。

 名誉棄損罪における「名誉」とは、人が社会から受ける一般的評価である。その「社会的評価」を低下させる行為が「名誉棄損」である。厳しい批判をしても、それが「批評」や「論評」にとどまるのであれば、「表現の自由(言論の自由)」の範囲内なので、刑事処罰の対象とはならない。

 また、社会的評価を低下させることを公にしても、「事実の指摘」がなければ、名誉棄損罪には該当しない。個人の自尊心やプライドなどの「名誉感情」が傷つけられた場合には、侮辱罪が成立するにとどまる。

 刑法230条の2で「公共の利害に関する場合の特例」が規定されており、

 「前条第1項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。」

 とされ、同条2項で、

 「前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関 する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。」

 とされている。

 名誉毀損の要件に該当しても、公共の利害に関する事実で、公益を図る目的で、真実であると認める理由がある場合には、違法性が阻却され、名誉毀損罪は成立しない。そして、起訴されていない犯罪行為を摘示した場合は、「公共の利害に関する事実」とみなされるので、「真実であることの証明」があれば、処罰されない。

◆籠池氏についての安倍氏発言の「真実性」

 回顧録で、森友学園元理事長の籠池泰典氏に関して、名誉棄損に該当する疑いがあるのは以下の記述である(252頁)。

理事長(籠池泰典氏)は独特な人ですよね。私はお金を渡していませんが、もらったと言い張っていました。その後、息子さんが、私や昭恵との100万円授受を否定しています。この話が虚偽だったことは明確でしょう。理事長は野党に唆されて、つい「もらった」と口走ったんでしょ。理事長夫妻はその後、国や大阪府などの補助金を騙し取ったとして詐欺などの罪に問われました。もう、私と理事長のどちらに問題があるのかは、明白でしょう。

 この記述は、一次的には、安倍氏が、橋本氏らのインタビューでそのような発言をした、ということを内容とするものであるが、それによって、籠池氏の社会的評価を低下させる具体的事実を指摘したと認められれば、籠池氏に対する「名誉棄損」に該当することになる。同記述で書かれているのは、泰典氏が「(100万円を、安倍氏ないし安倍昭恵氏から)もらったと言い張った」という事実、そして、その話が「虚偽だった」ということである。

 籠池氏が「もらったと言い張った」場は、最終的には、2017年3月23日の衆参両院の予算委員会での証人喚問の場である。つまり、国会の証人喚問で宣誓の上、100万円授受について、「虚偽の証言」を行ったとの「籠池氏の犯罪事実」を摘示した、ということである。

 そこで、問題となるのが、真実性が認められるか、真実だと信じることに相当の理由があったと認められるか、である。

 回顧録では、この点について、安倍氏が

「(籠池氏の)息子さんが、私や昭恵との100万円授受を否定しています。この話が虚偽だったことは明確でしょう。」

 と述べたとされている。この「息子さん」というのは籠池氏の長男の佳茂氏のことだと思われる。同氏が100万円授受話を否定しているので、泰典氏の100万円授受話が虚偽だったことが明確になったとの趣旨である。

 少なくとも、「泰典氏が100万円をもらったと言い張ったのが虚偽だった」と同書で示されている根拠は、「佳茂氏が、私や昭恵との100万円授受を否定している」ということだけである。

 では、この「佳茂氏が100万円授受を否定している」というのは、事実なのか。

 森友学園問題が表面化した当初、両親の籠池夫妻を支える立場で共に行動していた佳茂氏は、夫妻が詐欺罪で逮捕・起訴された後の2018年秋頃から、花田紀凱氏、小川榮太郎氏などの、安倍氏に近い言論人に接近するようになった。

 そして、佳茂氏は、2019年9月24日に、以下のようなツイートを投稿し、その直後に、安倍氏批判に転じた泰典氏夫妻を批判する【籠池家を囲むこんな人たち】と題する同氏の著書が公刊された。

一番、森友学園騒動が盛り上がったのは、寄付金100万円の問題ですね。2017年3月15日、父がメディアに向けて昭恵夫人から寄付金100万円を受け取ったとの発言をしたのですが、この発言をしろと言ったのは菅野完です。捏造であり、報道テロです。

 ツイートでは「捏造」という言葉を用いているが、著書では、その点については、以下のように書いている。

今となっては、それがあったかなかったかどちらでもいいような状態です。別に法的に問題があるわけではないし、むしろそれが寄付であるなら、それはそれできれいな話です。

しかし、この100万円授受話の真相は、菅野完から言われたシナリオ通りの話を3月15日の小学院の中で私が父に耳打ちし、敢行されたものだったのです。そういう意味では父は、言われたことをしたまでであり、何らの落ち度もありません。

 要するに、泰典氏が100万円寄付の話を公言したのは、菅野完氏の指示にしたがったものだと言っているだけで、「100万円授受の事実」がなかったとか、創作だったと言っているわけではない。むしろ、「それが寄付であるなら、それはそれできれいな話です。」と書いていること、父の籠池氏について「何らの落ち度もありません。」などと、泰典氏が100万円授受の証言をしたことには問題はないという趣旨のことも言っているのであり、100万円授受の事実自体はあったことを前提にしているようにも思える。

 佳茂氏は、この著書の公刊後、菅野完氏から、上記投稿と著書について名誉棄損による損害賠償請求訴訟を起こされ、敗訴が確定している。

 その訴訟で、被告佳茂氏は、「被告の認否」で、「100万円授受」については「真偽不明である」としている。つまり、佳茂氏は、ツイートで「捏造」というインパクトのある言葉を使用しただけで、「100万円授受話」の真偽についてはわからないということなのである。

 また、「籠池泰典氏が、100万円の寄付の話を公言したのは、菅野完氏に指示にしたがったもの」という点についても、菅野氏が上記訴訟で、そのような事実はないと主張したのに対して、佳茂氏側は、泰典氏の発言内容についての証拠を提出したようだが、判決は、このような佳茂氏側の主張は認められないとした上、同証拠についても

「原告が訴外泰典のメディア対応を仕切って、対応する相手を管理していたこと、訴外泰典の自宅に原告に近しいマスコミ関係者が寝泊まりするようになって、訴外泰典の言動を記事にしていった記載があるに過ぎず、上記指示を受けた旨の記載はない」

 と判示している。

 要するに、佳茂氏が100万円授受を否定した事実はない。安倍氏が、「息子さんが100万円授受を否定し、籠池氏の話が虚偽だったことは明確になった」と認識していたとすれば、誤解である。

 回顧録で、このような安倍氏の発言を掲載することは、「泰典氏が100万円をもらったと言い張ったのが虚偽だった」との事実を摘示し、しかも、その事実を、「籠池氏の息子が100万円授受を否定した」という存在しない事実によって、あたかも真実であるかのように見せかけようとしたということになる。単に、社会的評価を低下させる事実を摘示するより、一層悪質・重大な名誉棄損行為だと言える。

 回顧録の中に、このような安倍氏の発言を記載するのであれば、「佳茂氏は100万円授受を否定していないことは、訴訟上も明らかになっているので、この安倍晋三氏の発言は誤解によるものです」との注記を付すことが最低限必要だった。

 しかし、同回顧録には、そのような注記は全く記載されていない。

 ◆100万円授受がなかったとする根拠

 もっとも、「籠池氏が100万円授受について虚偽の発言をした」という事実について、泰典氏の息子の佳茂氏の発言が「100万円授受」を否定する根拠にならないとしても、回顧録の編集責任者の橋本五郎氏等や、出版元の中央公論新社の側が、佳茂氏の発言以外に、「泰典氏が100万円をもらったと言い張ったのが虚偽だったこと」が真実だと信じる十分な根拠を有している、というのであれば話は別である。

 そこで、問題になるのが、泰典氏が述べる100万円授受の一方の当事者である昭恵夫人の供述との関係だ。昭恵夫人については、自身のフェイスブックのアカウントで、泰典氏の国会証言の直後に、「籠池さんに100万円の寄付金をお渡ししたことも、講演料を頂いたこともありません。」とする投稿が行われている。

 しかし、この昭恵夫人のフェイスブック投稿は、昭恵氏本人が作成して投稿したものとは考えられず、内容も、安倍首相官邸側の泰典氏の証言に対する反論を記載したもので、昭恵夫人自身の話を内容とするものとは考えにくい。

 まず、この昭恵夫人のフェイスブック投稿は、それまでの昭恵夫人の投稿とは多くの点で表現が異なっており、昭恵夫人自身が自ら書き込んで投稿したものとは思えない。

 第一に、昭恵夫人のフェイスブックの投稿は、すべて年号が西暦表示になっており、数字はすべて半角表示であるのに、このコメントでは年号が元号で表示され、数字がすべて全角で表示されていることである。

 第二に、昭恵夫人が使うとは考えにくい典型的な「役人用語」が多く使われている。特に「旨」「当該」「何らか」などの言葉は、典型的な「官僚的、公用文書的表現」であり、そのような役人仕事、公的事務の経験がない昭恵夫人が書いた言葉とは思えない。

 これらのことから、このFBコメントは、昭恵夫人が直接フェイスブックに書き込んで投稿したのではなく、別に作成された文書を、フェイスブックの投稿欄にコピー・アンド・ペーストしたのではないかと考えられる。

 では、この「別に作成された文書」が、昭恵夫人自身が話したことを内容とするものか、それとも官僚が作成したものなのか。

 内容面からしても、昭恵夫人自身が書いたものではないことが疑われる。その後の菅官房長官の記者会見での説明や、安倍首相の参議院予算委員会での答弁と比較すると、むしろ、証人喚問での籠池証言に対する「首相官邸側の反論ないし弁明」そのものであり、官邸側が作成して、昭恵夫人のアカウントで投稿した可能性が高いと思える。

 「100万円授受」をめぐって、泰典氏の供述と対立している昭恵夫人の供述が、泰典氏より特に信用できると判断する理由があるとは思えない。昭恵夫人が100万円授受について「渡した記憶がない」否定していることが、同氏の話が虚偽だと信じる根拠になるものではないことは明らかである。

 ◆籠池氏偽証告発に向けての自民党調査チームの動き

 籠池氏が2017年3月23日の証人喚問で行った証言に関しては、同月28日に、「籠池氏偽証告発」に向けての自民党調査チームの調査結果が公表されている。

 自民党の西村康稔総裁特別補佐が、西田昌司参議院議員、葉梨康弘衆議院議員とともに、党本部で緊急の記者会見を行い、衆参両院で証人喚問を受けた森友学園の籠池泰典氏による複数の発言に虚偽の疑いが濃厚だとして、議院証言法に基づく偽証罪での告発について「偽証が確定すれば考えたい」などと述べた。

 偽証の疑いがあるとして、告発をめざす調査の対象とされた事項は、

 ①籠池氏は、「学園の職員が払込取扱票の振込人欄に“安倍晋三”と書き、郵便局に持参した」などと証言したが、「安倍晋三」の筆跡が籠池氏の妻が書いたとされる字に似ていることから、郵便局に行ったのは、職員ではなく籠池夫人ではないか。

 ②寄付依頼書に「安倍晋三小学校」の記載がある払込取扱票を同封して使用した期間について、籠池氏は、「(安倍首相が)衆院議員時代、つまり総理就任、24年12月以前」であり、「使用してきたのは、ほんの一瞬」と午前の参議院予算員会で証言し、衆議院では「5カ月余り」と訂正したが、平成26年3月にも配っている。27年9月7日の100万円の振込に使われた払込取扱票にも「安倍晋三小学校」が記載されていることから、もっと長期にわたって使用していたのではないか。

 の2点だった。

 このような自民党の調査チームの調査結果は、自民党として総力を挙げて(おそらく官邸、内閣情報調査室等も協力して)、泰典氏の国会証言の中で偽証告発の対象となるものがないかを徹底して検討したが、①、②のようなものでしかなかったのである。この時点で、泰典氏の「100万円授受」証言についての虚偽であることを疑う根拠がほとんどなかったことは間違いない。

 また、その後、籠池夫妻は検察に詐欺罪で逮捕され、300日にもわたって身柄拘束されたが、検察捜査でも、100万円授受について泰典氏の偽証の話は全く出てこなかった。鈴木宗男議員や、守屋武昌元防衛事務次官など、過去の議院証言法に基づく偽証事件の多くは、証言後に、別の犯罪の容疑で検察の捜査が行われた結果、国会での偽証も明らかになったケースだ。泰典氏についても、検察は、100万円授受の証言が偽証である疑いがあるのであれば、詐欺罪の捜査と併せて、それについても徹底して捜査したはずだ。検察捜査で、泰典氏の国会での偽証の話が全く出てこなかったのは、同氏の証言の偽証を疑う理由がなかったということである。

 ◆名誉棄損罪の主体は誰か

 では、回顧録で安倍氏の発言内容を公開することによる名誉棄損の主体は誰か、犯罪は誰について成立するのか。

 回顧録に、著者の安倍晋三氏と並んで名前を出しているのは、「聞き手」の橋本五郎氏、「聞き手・構成」の尾山宏氏、「監修」の北村滋氏である。

 そして、回顧録の「謝辞」(395頁)には、

北村滋前国家安全保障局長は、第1次内閣から蓄積してきた資料の提供や事前の安倍さんとの打ち合わせをはじめ、インタビューのすべてを支えてくれました。また事後的な原稿のチェックや掲載写真の選定もお願いしました。それがなければ、このような形で歴史的かつ実証的な回顧録が世に出ることは不可能だったと思います。

 と書かれている。

 これらの記載からすると、安倍氏のインタビューは、橋本氏と尾山氏の2人で行い、その内容を尾山氏が「インタビュー録」の原稿にまとめたもので、北村氏は、そのインタビューの際の資料を提供するなどした上、原稿をチェックし、それによって出版する回顧録の内容が固まった、ということのようである。

 そして、回顧録の末尾の「奥書」には、

@2023 Shinzo ABE,The Yomiuri Shimbun, Shigeru KITAMURA

Published by CHUOKORON-SHINSHA,INC.

 と記載されており、この回顧録の著作権は、故安倍晋三氏、読売新聞社、北村滋氏に、出版権が中央公論新社に帰属するということのようだ。

 読売新聞社に著作権が帰属している理由は不明だが、同社の論説委員である橋本氏、尾山氏がインタビューの「聞き手」であるというだけでなく、回顧録の編集に読売新聞社が組織的に関わっているということであれば、同社についても、泰典氏に対する名誉棄損の責任が生じる可能性がある。

 いずれにせよ、上記の「謝辞」と「奥書」の記載からすれば、「第1次内閣から蓄積してきた資料」に基づいて、「安倍官邸」を代表して、回顧録の作成全般に深く関わったと言えるのが北村氏であり、その中の「泰典氏が100万円をもらったと言い張ったのが虚偽だった」との事実摘示についても、北村氏が最も重い責任を負う立場であることは間違いないと考えられる。

 北村氏は、警察官僚出身で第二次安倍内閣で内閣情報官、内閣安全保障局長を務めた人物だ。内閣情報官は、政府の情報収集活動を統括する。2017年3月に籠池氏の国会証人喚問が行われた際も、政府として可能な限り籠池氏に関する情報を収集したはずであり、その情報が内閣情報官を務めていた北村氏の下に集められていたはずだ。そのような情報を知り得る立場の北村氏が、「息子さんが100万円授受を否定し、籠池氏の話が虚偽だったことは明確になった」との安倍氏の発言を回顧録の出版によって公にすることの意思決定を行ったのであれば、当時の「安倍官邸」を代表して、再び籠池氏との対決に打って出たことになる。

 ◆「死者の発言」の公表による名誉棄損

 最後に検討を要するのが、回顧録について問題になる名誉棄損は、「死者の発言」の公表を手段とするものという特殊性があるということだ。冒頭でも述べたように、「死者に対する名誉棄損」については刑法に明文の規定があり、虚偽の事実を摘示した場合でなければ名誉棄損罪は成立しないとされている。では、「死者の発言」の公表を手段とする名誉棄損についても、明文はないが、虚偽の事実の摘示の場合に限定されると考える余地があるのか。

 死者に対する名誉棄損罪の保護法益は、死者自身の名誉の侵害と考えるのが通説である。死者には名誉感情はなく外部的評価だけが保護の対象となる。死者が歴史的批判や研究の対象になり、虚名は保護されないと考えられ、真実であれば批判してよいとも考えられることが、「虚偽の事実の摘示」だけが処罰の対象とされる趣旨と理解されている。

 一方、「死者の発言」の公表を手段とする名誉棄損の方は、名誉棄損の被害者が存在し、外部的評価だけでなく、名誉感情も保護法益である点は、通常の名誉棄損と何ら異なることはなく、「虚偽の事実の摘示」だけが処罰の対象とされる理由はない。

 もっとも、死者が歴史的批判や研究の対象になるという意味では、「死者の発言」が正確に記録され公開されることにも社会的意義が大きいことは確かであり、「死者の発言」をそのまま公表することが他者に関する事実の摘示に当たり、名誉が棄損される場合も、虚偽の事実を含むものでなければ、違法性のレベルは低いはとの考え方はあり得る。

 そういう意味では、「死者の発言」の公表による名誉棄損については、「虚偽の事実の摘示」に当たる場合以外は、違法性が相当程度軽減され、処罰の必要性が低いと考える余地もあるだろう。

 そうなると、回顧録で取り上げられた「泰典氏が100万円をもらったと言い張ったのは虚偽だった」との安倍氏の発言について、その根拠とされた「(佳茂氏が)私や昭恵との100万円授受を否定している」というのが事実と異なることの認識の有無が、名誉棄損罪の処罰を考える上で重要な要素となる。その点が虚偽であることを認識した上で、回顧録を公刊物として世の中に広めたと言えるかどうかが問題になる。

 回顧録については、前掲拙稿【話題の書『安倍晋三 回顧録』の籠池泰典氏に関する記述は、名誉棄損に当たる可能性がある】で、「(佳茂氏が)私や昭恵との100万円授受を否定している」との事実がないと、回顧録の記載が名誉棄損の犯罪や不法行為に該当する可能性を指摘している。

 本稿で引用した菅野完氏が籠池佳茂氏及び出版社青林堂に対して提起した名誉棄損損害賠償訴訟の判決文(東京地裁2021年8月6日判決)は、菅野氏から入手し、同氏の了解の下に【前記拙稿】で引用したものであるが、その際、

「安倍晋三回顧録の籠池氏に関する記述に問題があることには私も気づいていましたが、私自身は、佳茂氏との訴訟との当事者ですので、その問題について指摘することは差し控えていました」

 と述べていた同氏は、2月21日に、自身のブログを更新し、中央公論新社に、「貴社出版『安倍晋三 回顧録』の虚偽記載についての通知」を送付し、「(森友学園の籠池泰典元理事長の)息子さんが、私や昭恵との100万円授受を否定しています。この話が虚偽だったことは明確でしょう。」との記述が、事実から大きく乖離した、虚偽記載だと指摘したことを明らかにしている(【『安倍晋三回顧録』に森友問題に関する虚偽記載があったので、中央公論新社さんに教えてあげました。】)

 出版社の中央公論新社が、2月15日にアップされた拙稿を認識し、菅野氏の通知を受領した時点以降に、回顧録の増刷本を出版して、同書の内容をさらに世に広めるのであれば、該当箇所に上記の「注記」を付すこと、或いは、その旨記載した紙の挟み込みをすることが不可欠である。それを行わないで、従前のままの回顧録を増刷するなどすれば、北村氏や同社の編集責任者らについて、名誉棄損罪による処罰の対象となる可能性は避けられないように思われる。

 ◆籠池氏側の反応

 名誉棄損罪は親告罪であり、被害者の告訴がなければ処罰されることはない。

 回顧録で安倍氏の発言によって籠池氏の名誉を棄損したとしても、被害者が告訴を行わなければ、刑事事件とはならない。

 では、回顧録について、泰典氏側はどう受け止めているのか。

 泰典氏の妻の諄子氏は、「籠池諄子@kagoike2u2u」のアカウントで日々ツイートを投稿しているが、回顧録発売後、100万円授受についての安倍氏の発言の問題を指摘した【前掲拙稿】が公開された後の2月17日に、

 「何故百万円を今頃になってむしかえされるのですか。」

 という趣旨のツイートをし、18日には、

 「小学校の寄付に100万円昭恵さんを通じて渡されたのに、何故詐偽をしたといわれたのかわからない。」

 との投稿を行っている。文意が不明確だが、回顧録の安倍氏の発言で、「100万円授受の話が虚偽だったことは明確」とした上、「理事長夫妻はその後、国や大阪府などの補助金を騙し取ったとして詐欺などの罪に問われました。もう、私と理事長のどちらに問題があるのかは、明白でしょう。」とされていることについて反発しているものと思われる。

 籠池夫妻と安倍夫妻のこれまでの関係や事件の経緯からすると、回顧録での安倍氏の発言に強く反発するのは当然だろう。

 籠池夫妻は、かねてから幼稚園の教育で園児に安倍晋三の礼賛までさせるなど安倍氏を強く支持し、昭恵夫人は、籠池夫妻が経営する学校法人の名誉校長にまでなっていた。ところが、国有地売却の問題化で、籠池夫妻は窮地に立たされ、100万円授受の話を公言したことで、自民党側(おそらく安倍晋三氏が中心になって)が強く反発し、国会での証人喚問が行われ、そこで、籠池氏が100万円授受を明言する証言をしたことで、自民党側が調査チームを作って検討したものの、上記のとおり、全くの不発に終わったことは前記のとおりだ。それとほぼ同時に、それまで検察では問題にすらされていなかった籠池氏の補助金不正受給の告発について、突然「告発受理」が報じられ【籠池氏「告発」をめぐる“二つの重大な謎”】)、それが、その後、幼稚園での府や市からの補助金不正受給の詐欺事件の捜査に展開していった。ここで、従来は補助金適正化法違反とされていたのに、強引に詐欺罪で逮捕された(【検察はなぜ”常識外れの籠池夫妻逮捕”に至ったのか】)。籠池夫妻については、既に詐欺罪で実刑が確定しており、近く収監される予定だが、一連の検察捜査を、安倍氏の意向に沿う「国策捜査」と批判している。

 籠池夫妻にとっては、もともと親しい間柄だった安倍夫妻との対立が生じた起点が100万円授受の話だったのであるが、その対立から派生した詐欺事件について司法判断が確定していても、起点となった100万円授受の話については、泰典氏が国会で宣誓の上証言し、検察の捜査でも偽証が指摘されることがなかったことで、偽証ではなかったことが確定したと考えているはずだ。それを、安倍晋三氏が死亡した後の今になって、「泰典氏の100万円授受の話が虚偽」などという話を蒸し返されるのは、絶対に許せないと考えるのが当然であり、上記の諄子氏のツイートには、そのような思いが込められているのであろう。

 今後、回顧録が、問題の個所に注記が付されたり、その旨の紙が挟み込まれたりすることもなく、同一の内容で大増刷されて、その内容が広く国民の間に拡散され、それによって出版社や著者が巨額の利益を得るということになれば、泰典氏が、実刑で収監された後であっても、名誉棄損による告訴を行う可能性は十分にあると言えよう。

 中央公論新社、読売新聞社、北村氏は、そのリスクを敢えてとろうとするのであろうか。

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郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士

1955年、島根県生まれ。東京大学理学部卒。東京地検特捜部、長崎地検次席検事、法務省法務総合研究所総括研究官などを経て、2006年に弁護士登録。08年、郷原総合コンプライアンス法律事務所開設。これまで、名城大学教授、関西大学客員教授、総務省顧問、日本郵政ガバナンス検証委員会委員長、総務省年金業務監視委員会委員長などを歴任。著書に『告発の正義』『検察の正義』(ちくま新書)、『「法令遵守」が日本を滅ぼす』(新潮新書)、『思考停止社会─「遵守」に蝕まれる日本』(講談社現代新書)など多数。

 元稿:YAHOO!JAPAN ニュース 主要ニュース 社会 【話題・森友疑惑・担当:郷原信郎 郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士】 2023年02月22日  17:39:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【安倍晋三・回顧録】:発売1週間で15万部の大ヒット…それを見て岸田首相が「ほくそ笑んでいる」ワケ

2023-03-18 23:55:50 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【安倍晋三・回顧録】:発売1週間で15万部の大ヒット…それを見て岸田首相が「ほくそ笑んでいる」ワケ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【安倍晋三・回顧録】:発売1週間で15万部の大ヒット…それを見て岸田首相が「ほくそ笑んでいる」ワケ

 ◆ご満悦な岸田文雄

 生前の安倍晋三元首相へのインタビューをまとめた『安倍晋三 回顧録』が発売から1週間で発行15万部を突破した。

 ◆アピールへつながるか

 前出・デスクが言う。

 「本を読んだ側近から、この部分について指摘を受けた際、岸田さんは目を細めつつ満足げに頷いていたそうです。岸田さんはすでに刊行前の本に目を通し、記載については知っていたものの、あえて自分から言及することはせず、周囲から言われることを待っていたようです(笑)」  

 元稿:現代ビジネス 主要ニュース メディアと教養 【話題・「安倍晋三・回顧録」・担当:週刊現代(講談社)編集部】  2023年02月21日  07:56:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【最長政権の軌跡 安倍晋三 回顧録】:<7>多角的検証で真実迫る…早期出版「美化」防ぐため

2023-03-18 23:55:20 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【最長政権の軌跡 安倍晋三 回顧録】:<7>多角的検証で真実迫る…早期出版「美化」防ぐため

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【最長政権の軌跡 安倍晋三 回顧録】:<7>多角的検証で真実迫る…早期出版「美化」防ぐため

 安倍晋三・元首相が長期政権の舞台裏を明かした「安倍晋三 回顧録」(中央公論新社)で、聞き手を務めた読売新聞の橋本五郎特別編集委員に、回顧録の意義や、歴代最長政権となった要因などを聞いた。 

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「安倍晋三 回顧録」の聞き手を務めた橋本五郎特別編集委員=伊藤紘二撮影(読売新聞)

  ――安倍氏に注文をつける点は。

 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 政治 【政局・連載・「最長政権の軌跡 安倍晋三 回顧録」】  2023年02月18日  14:48:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【最長政権の軌跡 安倍晋三 回顧録】:<6>硬軟自在のリアリスト ハト派的政策にも力

2023-03-18 23:55:10 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【最長政権の軌跡 安倍晋三 回顧録】:<6>硬軟自在のリアリスト ハト派的政策にも力

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【最長政権の軌跡 安倍晋三 回顧録】:<6>硬軟自在のリアリスト ハト派的政策にも力

 ◆ 「岸、池田内閣がやったことを、1内閣でやっちゃおう」

 安倍晋三・元首相が長期政権を担うことができたのは、硬軟織り交ぜて戦略的に政策を実現してきたことが大きい。タカ派のイメージが強かったが、ハト派的な政策にも力を入れた。その参考にしたのは、日米安全保障条約を改定した岸信介内閣と、所得倍増計画を掲げた池田勇人内閣だ。

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 安倍氏は安保関連法成立後の2015年9月、「1億総活躍社会」を目指す方針を表明し、17年の衆院選では「全世代型社会保障」を掲げた。「安保関連法で支持率が低下することは分かっていたから、局面の転換を図ろうとした」と狙いを明かす。 

 自民党幹事長だった谷垣禎一氏は当時を振り返る。安保関連法の成立直後、「次はみんなが協調できる政策を打ち出してください」と提案すると、安倍氏は「そういうことを考えています」と応じた。谷垣氏は「厳しい言葉で対立をあおっても、終わった後には亀裂を修復しようという発想があった」と語る。

 ◆ 「一度は通らなければならない道だった。総理在任中の二度目の参拝はできない、と思っていました」

 第1次内閣で靖国神社を参拝できなかったのは、安倍氏にとって「痛恨の極み」だった。首相に返り咲いた安倍氏は、政治的に最も影響のない時期を模索した結果、終戦記念日などを外して、13年12月26日に参拝することを決めた。

 首相秘書官の今井尚哉氏には「参拝するならば、秘書官を辞める」とまで言われたが、「外交的に摩擦を起こしても行くべきだ」と判断した。実際、中国や韓国だけではなく、米政府からも「失望している」との批判を受けた。安倍氏は「やるべきことは果たせた」と強調する一方、その後、在任中の参拝を控え、これ以上の摩擦を引き起こすことはなかった。官房長官を務めた菅義偉・前首相は「参拝前に見送った時には緊張していたが、首相官邸に帰ってきた時は本当に肩の荷が下りた感じだった」と証言する。

 安倍氏は保守派の「岩盤支持層」に支えられたが、情勢を見極めて柔軟に対応できるリアリストでもあった。その一例は、15年8月に政府が閣議決定した戦後70年の安倍首相談話だ。

 安倍氏が考えたのは、戦後50年の村山首相談話の「誤り」を正したうえで、国民のコンセンサスや国際的な了解を得られる首相談話を作ることだった。

 安倍氏は村山談話について、「善悪の基準に立って日本が犯罪を犯したという前提で謝罪している」としたうえで、「当時の世界はどうだったのか、という視点がすっぽり抜けている」と指摘。こうした点を踏まえ、70年談話は、日本は国際社会の潮流を見誤ったという政策的な現状認識の誤りに基づいた内容になった。書きぶりを工夫して、「私がおわびします」といった表現を避ける一方、「侵略」、「おわび」、「植民地支配」、「痛切な反省」といった村山談話のキーワードを盛り込んだ。

 このため、安倍氏は保守派から批判を浴びた。「常に100点満点を求めてくるが、政治の現場では無理だ」と打ち明ける。一方でリベラル層からは評価されたといい、「期待値を上げすぎないということは、政権運営の要諦だ」と語った。

 ◆ 「そもそも政治家として目指したものは、憲法改正であり、拉致問題の解決でした」

 17年5月3日付の読売新聞のインタビューで、憲法9条に自衛隊の根拠規定を追加することなどを柱に20年の施行を目指す考えを表明した。衆参両院で憲法改正に前向きな勢力が、国会発議に必要となる「3分の2」を超えていたが、安倍氏は「実質的にはあまり意味がない」と、厳しく見積もっていた。

 その理由について、「公明党を説得できない限り、前に進まない。『加憲』を掲げているが、改憲勢力に計算するのは無理がある」と説明。特に公明党の山口那津男代表には「憲法本体はダメという雰囲気」を感じていたという。この状況を打開するためには、世論の喚起が必要だと考え、19年の参院選では、憲法審査会の議論に応じない野党への批判を強めた。安倍氏は「本当に力を入れた」と振り返るが、「3分の2」を割り込む結果となり、改憲の機運は高まらなかった。

 拉致問題に関しても、安倍氏は「在任中に結果を出せなかった」と悔やんだ。トランプ前米大統領や中国の 習近平シージンピン 国家主席らに働きかけて、 金正恩キムジョンウン 朝鮮労働党総書記と会談する際、拉致問題を提起してもらったが、目に見える進展はなかった。前国家安全保障局長の北村滋氏は「ありとあらゆることをやったが結果を出せず、じくじたる思いを抱いていた」と語る。

 昨年7月8日、安倍氏は参院選の街頭演説中に凶弾に倒れた。首相退陣後、体調も回復し、自民党最大派閥・安倍派会長として再始動していたところの惨事だった。歴代最長政権で安倍氏がやり残した憲法改正や拉致問題は、現政権が引き継ぎ、取り組んでいかなければならない宿題でもある。

 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 政治 【政局・連載・「最長政権の軌跡 安倍晋三 回顧録」】  2023年02月17日  11:29:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【最長政権の軌跡 安倍晋三 回顧録】:<5>コロナ逆風、菅氏にバトン…対策批判され自身も不調に

2023-03-18 23:54:50 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【最長政権の軌跡 安倍晋三 回顧録】:<5>コロナ逆風、菅氏にバトン…対策批判され自身も不調に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【最長政権の軌跡 安倍晋三 回顧録】:<5>コロナ逆風、菅氏にバトン…対策批判され自身も不調に

 「官邸の力が、知事や厚生労働省の技官、さらに医師会には及ばなかった」

 世界中を襲った新型コロナウイルスに、安倍政権は翻弄(ほんろう)された。「官邸一強」と呼ばれた強力な首相官邸主導は、十分に機能しなかった。

 安倍晋三・元首相は当初、国内の流行は抑え込めると踏んでいた。だが、2020年1月15日に国内初の感染者が確認されて以降、感染は急拡大。病床は逼迫(ひっぱく)し、十分なPCR検査数も確保できない「目詰まり」に苦しめられた。

     (写真:読売新聞)(読売新聞)
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       (写真:読売新聞)(読売新聞)

 感染収束の兆しが見えない中、政府は全国一斉の休校要請や布マスクの配布など様々な対策を講じた。安倍氏は「走りながら考えた」と説明するが、調整不足なども相まって、世論の批判を浴びる結果となった。中国の習近平(シージンピン)国家主席の国賓来日や東京五輪・パラリンピックも延期となり、4月7日には、緊急事態宣言の発令に踏み切った。

 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 政治 【政局・連載・「最長政権の軌跡 安倍晋三 回顧録」】  2023年02月16日  11:11:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【最長政権の軌跡 安倍晋三 回顧録】:<4>「シンゾーが言えば大統領も聞く」…トランプ氏と蜜月築く

2023-03-18 23:54:40 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【最長政権の軌跡 安倍晋三 回顧録】:<4>「シンゾーが言えば大統領も聞く」…トランプ氏と蜜月築く

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【最長政権の軌跡 安倍晋三 回顧録】:<4>「シンゾーが言えば大統領も聞く」…トランプ氏と蜜月築く

 ◆ 「大上段に構えて文句を言い、日米関係が厳しくなっても、何の利益にもならないでしょう」

 特に耳目を集めたのは、トランプ前米大統領との蜜月関係だ。トランプ氏は2016年の大統領選中、日本企業の批判や日米同盟を軽視するような発言を繰り返していた。安倍氏は「没交渉はまずい」と、大統領選後の11月17日、ニューヨークに赴き、世界の首脳で初めてトランプ氏と会談した。

 安倍晋三・元首相は第2次内閣発足以降、「地球儀を 俯瞰ふかん する外交」を掲げて80か国・地域を訪問し、国際社会での日本の存在感を高めた。安倍氏は「外交の基本はリアリズムだ」と強調する。

 「米国第一」を掲げるトランプ氏の言動には批判が多かった。だが、安倍氏は「日本が彼の標的になれば国全体が厳しい状況に陥ってしまう。国と国の関係を考え、割り切って付き合う」と意に介さず、ゴルフなどを共にすることで親密な関係を築いた。

 懐に飛び込むことで信頼を得た安倍氏は、トランプ氏から米国の外交や内政の相談を受けた。杉山晋輔・元外務次官(前駐米大使)は「『シンゾーが言えば大統領も話を聞くから』と、米当局からトランプ氏への説得を頼まれることもあった」と証言する。

  安倍氏が腐心したのは、トランプ氏に安全保障政策の重要性を理解させることだった。トランプ氏は好戦的な対外イメージとは裏腹に軍事行動に消極的な考えの持ち主で、このことに北朝鮮が気づくと圧力が利かなくなるため、大統領周辺とともに「本性を隠しておこうと必死だった」と明かす。安倍氏は「つくづく異例ずくめの大統領だった」と振り返った。

 「中国との外交は、将棋と同じです。相手に金の駒を取られそうになったら、飛車や角を奪う一手を打たないといけない」

 「安倍外交」は、視野の広い国際戦略を打ち出したことも特徴の一つだ。安倍氏が16年に提唱した「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)は、海洋進出を強める中国への対抗を念頭に置いた構想として、米欧やインドなど各国で定着している。

 この構想は、第1次内閣の07年8月、インドで日印の結束を訴えた「二つの海の交わり」という演説が原点だ。スピーチライターを務めた谷口智彦・元内閣官房参与は「中国の巨大な大陸に対し、海のつながりが対抗軸になる」と解説する。

 安倍氏は各国の首脳と会談した際、中国の話題を必ず出して、軍備増強や強引な海洋進出を警戒すべきだと説いた。中国側に伝わることも見越した発言だったという。その真意を「中国は、勝負を仕掛けるとこちらの力を一定程度認める。厄介な安倍政権は長く続くぞ、と思わせる神経戦を繰り広げてきた」と説明する。

 一方で、安倍氏は17年6月、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」への協力を表明し、経済面では連携にカジを切った。「安全保障上の課題をマネージしながら、中国の市場的価値をチャンスに変えるのが政治の技術」との考えがあったからだ。杉山氏は対中外交について、「対抗するだけでなく、対話の道も模索し、重層的だった」と指摘する。

  「硬直的な考え方にとらわれていたら、結局、国は衰退しちゃいます」

 課題を前進させるためには、路線変更もいとわなかった。北方領土問題もその一つだ。

 安倍氏は16年5月にプーチン露大統領との会談で、8項目の経済協力プランを柱に「新しいアプローチ」で解決することで合意した。さらに18年11月の首脳会談では、歯舞群島、色丹島の2島引き渡しを明記した1956年の日ソ共同宣言を基礎に交渉を加速させていくことを確認した。「4島一括返還」方針の事実上の転換は、2か月前にプーチン氏が「年末までに前提条件なしに平和条約を結ぼう」と提案してきたことを受けた対応だった。

 2018年12月の日露首脳会談では、19年6月に大阪で開催される主要20か国・地域(G20)首脳会議に合わせた会談での決着を目指す方針で一致していたと明かし、「日露が最も近づき、本当に2島返還のチャンスだった」と強調した。

 しかし、実際の実務協議では、露側が北方領土への米軍駐留などに懸念を示し、交渉は行き詰まった。安倍氏はプーチン氏と通算27回の会談を重ね、信頼関係の構築に努めたが、「ロシアの米国不信は拭えなかったのかもしれない」と分析する。安倍氏が首相退任後も交渉は停滞したが、昨年2月にロシアがウクライナを侵略したことで完全に暗礁に乗り上げた形となった。

 安倍氏の思い通りに進まなかったのは、北方領土問題だけではなかった。20年には、新型コロナウイルス対応に苦しみ、政権の体力を奪われることになる。

 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 政治 【政局・連載・「最長政権の軌跡 安倍晋三 回顧録」】  2023年02月15日  11:36:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【最長政権の軌跡 安倍晋三 回顧録】:<3>「伝家の宝刀」2度抜いて難局突破、政治力を回復

2023-03-18 23:54:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【最長政権の軌跡 安倍晋三 回顧録】:<3>「伝家の宝刀」2度抜いて難局突破、政治力を回復

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【最長政権の軌跡 安倍晋三 回顧録】:<3>「伝家の宝刀」2度抜いて難局突破、政治力を回復

 「増税論者を黙らせるためには、解散に打って出るしかない」

 衆院解散は、首相の「伝家の宝刀」だ。安倍晋三・元首相は在任中2度、その刀を抜いた。2014年11月、消費税率の8%から10%への引き上げ時期を、15年10月から17年4月に1年半先送りする方針とセットで最初の解散を表明した。

(写真:読売新聞)

(写真:読売新聞)

 消費税率の段階的な引き上げは、12年6月の民主、自民、公明による3党合意に基づくものだ。安倍氏は意思決定に関与していなかったが、13年10月に14年4月からの8%への引き上げを予定通り決定した。財務省から「いったん景気が下がってもすぐ回復する」と説明されたが、なかなか回復せず、財務省への不信感を募らせた。

 増税延期を掲げた「奇襲」解散は、財務省を意識したものだ。「自分たちの意向に従わない政権を平気で倒しに来る」と警戒し、自民党内の批判を回避するために、政務秘書官の今井尚哉氏と水面下で準備を進めた。

 安倍氏が懸念したのは、幹事長の谷垣禎一氏の反応だった。野党・自民党総裁として3党合意をまとめた当事者だったためだ。

 谷垣氏は証言する。

 安倍氏から「今の経済情勢を見ると、消費税率を上げる時期ではない」として、解散の意向を伝えられた。財務相経験者で、財政健全化を重視する立場だったが、「最初に決めた段取りでできるほど簡単な話ではない」と考えて受け入れた。

 安倍氏は「谷垣さんに助けられた」と、この時を振り返る。

 「そもそも自民党の総裁任期はおかしいでしょう。2期6年は短すぎます」

 安倍氏は自民党総裁に復帰した直後の12年秋から、総裁任期延長が念頭にあった。長期政権でなければ、憲法改正や外交・安全保障の安定などを実現できないと考えていたためだ。その道筋は見えていなかったが、きっかけを作ったのは、自転車事故でけがを負った谷垣氏の後任の幹事長に起用した二階俊博氏だった。16年8月の就任時の記者会見で任期延長に言及し、流れを作った。二階氏は「党内を見渡して、それが一番良いと思った」と話す。

 安倍氏は二階氏との間柄について、日中関係になぞらえて「戦略的互恵関係」と評する。政治的リアリズムにこだわる、安倍氏ならではの言い回しだ。任期延長について「打ち合わせなんかしていない。お願いすると借りができる」と述懐した。

 その後も反対論はくすぶったが、17年3月の自民党大会で総裁任期を「連続3期9年まで」に延長する党則改正を実現した。安倍氏は「二階さんの政治力がなければ、3期目は実現しなかった」と語った。

 21年9月末まで首相を務めることが可能になった安倍氏は、18年9月の総裁選をにらみながら、2度目の衆院解散を模索した。

 「不意を突いて、解散というカードを切ったつもりだったのだけれど、向こうから『ジョーカー・小池』が出てきてしまった」

 安倍氏は17年9月、消費税の増収分の使途変更などを掲げ、衆院解散を表明した。秋の臨時国会で、野党は「森友・加計学園」問題の追及を強める構えを見せていた。同年7月の東京都議選で圧勝した小池百合子・東京都知事が率いる「都民ファーストの会」を警戒し、国政進出の機先を制する狙いもあった。

 だが、解散表明と同じ日に、小池氏が「希望の党」の結党を発表。自民党内に動揺が広がり、安倍氏に解散中止を直談判する動きもあった。安倍氏は「小池さんにやられた、と思った」と当時の心境を明かした。

 安倍氏は小池氏を「トランプのジョーカー」に例える。「ジョーカーなしでも多くのゲームは成り立つが、ある種のゲームではグンと強い力を持つ」と分析する。

 だが、その後、希望の党は失速した。小池氏が解散翌日、民進党からの合流を巡り、安全保障政策や憲法観などで「排除する」と発言したことが影響したためだ。安倍氏は「自民党がハト派の首相だったら、保守層が流れたかもしれないが、岩盤支持層は崩れなかった。小池さんは目算を誤った」と指摘する。

 17年の衆院選で自民党は追加公認を含めて284議席を獲得した。2度目の解散で政治力を回復したことで、内政・外交両面の重要課題への取り組みを加速させることになる。

 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 政治 【政局・連載・「最長政権の軌跡 安倍晋三 回顧録」】  2023年02月10日  10:47:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【最長政権の軌跡 安倍晋三 回顧録】:<2>安保法制整備、固い決意…支持率低下「承知の上」

2023-03-18 23:54:20 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【最長政権の軌跡 安倍晋三 回顧録】:<2>安保法制整備、固い決意…支持率低下「承知の上」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【最長政権の軌跡 安倍晋三 回顧録】:<2>安保法制整備、固い決意…支持率低下「承知の上」

 ◆ 「政策の優先順位も考えなければなりません。 二兎にと を追えば、政権に負荷がかかります」

 安倍晋三・元首相の2度目の政権運営は、経済政策「アベノミクス」により日経平均株価が2012年12月の内閣発足から半年で約5000円値上がりするなど、順調に滑り出した。

 好調な経済を背景に、安倍氏は国内に反対論の強い政策に着手するが、第1次内閣で「あらゆる課題を全面突破しようとした」という反省から安全保障政策は先送りした。13年7月の参院選までに優先したのは、環太平洋経済連携協定(TPP)への交渉参加だった。

 安倍氏は、自民党副総裁だった高村正彦氏がまとめた「聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉参加に反対」との方針を踏まえ、一定の農産品などの関税撤廃の是非を先送りすれば、交渉参加は可能とみていた。

 自民党の支持団体の農協などには反発が根強く、官房長官の菅義偉・前首相ら政府・自民党内では、参加表明を参院選後とする意見が大勢だった。だが、安倍氏は「早く表明した方が交渉国の中で有利な立場に立てる」と判断。3月に交渉参加を表明し、参院選にも勝利した。菅氏は「大局的観点に立った安倍さんが正しかった」と話す。

 その後のTPP交渉を任された甘利明・元TPP相は「交渉は何回も壁にぶつかったが、安倍さんの後ろ盾で強気の姿勢を貫けた」と回想する。各国との協議は15年10月に大筋合意に達したが、トランプ前米大統領が離脱を表明。米国を除く11か国の協定として18年12月に発効した。

 ◆ 「国滅びて法制局残る、では困るんですよ」

 安倍氏は第2次内閣発足にあたり、沖縄県米軍普天間飛行場移設を巡る民主党政権の迷走などで冷え込んだ日米関係の立て直しが不可欠と考えていた。

 参院選を乗り切った安倍氏は、13年12月に国家安全保障会議(NSC)を創設し、特定秘密保護法を制定するなど、安保体制の強化策を矢継ぎ早に実現した。さらに、集団的自衛権の行使容認に向け、同年8月に内閣法制局長官を外務省出身の小松一郎氏に交代させる異例の人事で、憲法解釈の変更に布石を打った。

 「憲法上認められない」とする従来の主張に固執する法制局に、安倍氏は「北朝鮮に核(の使用)を 躊躇ちゅうちょ させるのが政治の責任だが、そんなことは憲法解釈とは関係ありません、という姿勢だった」と憤った。

 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 政治 【政局・連載・「最長政権の軌跡 安倍晋三 回顧録」】  2023年02月09日  11:41:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【最長政権の軌跡 安倍晋三 回顧録】:<1>中曽根康弘・元首相の「教え」、心にきざみ

2023-03-18 23:54:10 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【最長政権の軌跡 安倍晋三 回顧録】:<1>中曽根康弘・元首相の「教え」、心にきざみ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【最長政権の軌跡 安倍晋三 回顧録】:<1>中曽根康弘・元首相の「教え」、心にきざみ

 安倍晋三・元首相が生前、政権運営や外交の舞台裏を語った「安倍晋三 回顧録」(中央公論新社)が8日、発売される。回顧録につづられた安倍氏の言葉や当時の関係者の証言から、最長政権の軌跡をたどる。

                 ◇ 

 「首相は常に最前線で風を受けている。逆風を受けても、前に進んでいくんだ、という強い気持ちが必要です」

 安倍氏が語る、宰相としての心構えだ。通算3188日間の首相在任中、安全保障関連法など難題を成就させてきた。その気概の背景には、1980年代に5年間の長期政権を築いた中曽根康弘・元首相の「教え」があると明かしている。

 2003年に若くして自民党幹事長に抜てきされた安倍氏は、中曽根氏に引退を勧告するつらい役回りを担った。1対1で沈黙が続き、説明に困っていると、「君も貧乏くじを引いたな。幹事長の役目は選挙に勝つことだ。応援するよ」と逆に激励され、涙が出るほどうれしかったという。その3年後に首相に就任した際、中曽根氏から受けた「自分が正しいと確信がある限り、常に間違っていないという信念でいけ」との助言を心に刻んでいた。

 直接的な指導だけではない。第2次内閣以降の人事は「中曽根内閣を参考にした」と打ち明ける。中曽根内閣では安倍氏の父・晋太郎氏が外相、竹下登氏が蔵相を4年近く務めた。安倍氏は「安定した長期政権を築くには柱は代えない方がいい」と学んだ。

 証言もある。官房長官を務めた菅義偉・前首相は第2次内閣発足から間もない頃、安倍氏が中曽根内閣に触れ、「うまくいった政権は閣僚も長かったんだよな」と、あえて自分の耳に届くようにつぶやいたのを聞いた。菅氏は「官房長官を長くやれという事実上の辞令と受け止めた」と懐かしむ。

 歴代最長政権を実現できた最大の要因は何か。安倍氏はこう答えている。

 「第1次内閣で失敗を経験したことでしょう」

 安倍氏は、第1次内閣の1年間を「普通の政治家人生の15年分にあたるんじゃないか」と振り返った。

 ◆「同じ過ち繰り返さない」決意の再登板 経済最優先

 

  「私は第1次内閣当時、首相の職を担うには未熟すぎました」

 2006年9月、安倍晋三・元首相は戦後最年少の52歳で首相に就いた。「戦後レジームからの脱却」を掲げ、教育基本法改正や防衛庁の省昇格などを実現したが、閣僚の不祥事が相次いで07年参院選では惨敗。体調の悪化もあり、わずか1年で退陣した。

 安倍氏は、官房長官を務めた経験から、当初は政権運営を楽観していたという。当時の考えを「うぬぼれだった」と自省し、「経済政策が弱かった」「党内に配慮や目配りができなかった」と反省点を分析した。

 第1次内閣で内閣広報官を務めた長谷川栄一氏は07年暮れから、体調が戻りつつあった安倍氏を励まそうと、高尾山(東京都八王子市)登山に誘い出した。長谷川氏は「当時は再登板するとは思っていなかった」と振り返る。

 だが、この登山は再起の契機となった。登山客から激励の声をかけられ、安倍氏は「自信の回復につながり、だんだんともう一度挑戦しようという気分が湧いてきた」と回想した。

 ◆「やる気になったきっかけは菅さんの言葉です」

 12年9月の自民党総裁選には、安倍氏、石破茂氏、石原伸晃氏、町村信孝氏、林芳正氏の5人が立候補した。安倍氏は、党員票を含む1回目の投票で石破氏を下回ったが、議員票による決選投票で逆転勝利を収めた。安倍氏の出身派閥が割れる形となったが、決選投票で町村氏が安倍氏への一本化に動いたことなどが勝因となった。

 安倍氏はそもそも総裁選出馬に慎重だったが、総裁選の1か月ほど前、菅義偉・前首相に背中を押される形で出馬を決断した。菅氏は安倍氏の私邸を訪ね、「ぜひ出るべきだ」と促し、「決選投票に持ち込めば勝つ」と熱心に説いた。結果は、菅氏の読み通りとなった。

 出馬の経緯は、菅氏が昨年9月の国葬での弔辞で、銀座の焼き鳥屋で安倍氏を説得したと明かしている。菅氏によると、この説得の後、決意が揺らいでいないかの確認で私邸を訪れたという。菅氏は「絶対にもう一回、首相をやらせたいとの思いだった」と振り返る。

 一方、安倍氏は、総裁選の勝利には麻生太郎・元首相の支持が不可欠と考えていた。12年8月下旬の深夜、安倍氏は麻生氏の行きつけのバーに足を運び、「麻生さんの支持が得られなければ出馬しません」と伝えた。

 麻生氏は「野党転落後の3年間、自民党を引っ張ってきた」として、党総裁だった谷垣禎一氏を支持する腹づもりだった。しかし、谷垣氏が出馬を断念したことで、安倍氏の支持に回った。これで安倍氏が総裁選に臨む環境が整った。

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 ◆ 「かつて厳しい体験をした官邸チームで、もう一度、政治を動かしてみよう」

 12年12月16日。自民党が圧勝した衆院選投開票日の夜、第1次内閣で首相秘書官だった北村滋氏は、安倍氏から都内のホテルの一室に呼ばれた。最新の内外情勢のレクチャーの依頼だった。北村氏は「すでに首相官邸内の体制を固めていたのだろう」と推し量る。

 首相に返り咲いた安倍氏は、政務の首相秘書官に、第1次内閣で事務の首相秘書官を務めた経済産業省出身の今井尚哉氏を起用。北村氏を内閣情報官(後に国家安全保障局長)、長谷川氏を首相補佐官に充てた。首相官邸の中枢スタッフに3人を迎えたのは、「必ずあの時の失敗、挫折の経験をいかしてくれるだろう」との期待があったためだ。

 安倍氏は、12月26日に首相官邸入りした際、「同じ過ちは繰り返さない」と誓った。再結成された「官邸チーム」が第1次内閣の教訓を踏まえ、最優先課題として最初に掲げたのは、経済再生だった。

 政権の金看板として「アベノミクス」などを打ち出したことで、政権初期の内閣支持率を安定させることができた。安倍氏は「国民的なニーズだった経済政策の実行を根幹に据えた」と説明する。集団的自衛権の憲法解釈変更などの難題に取り組むためにも、政権基盤を固める必要があった。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・連載・「最長政権の軌跡 安倍晋三 回顧録」】  2023年02月08日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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